第1162話「這いずる悪魔」
こんにちわー\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/
本日第二話目更新ですぞ!
時間が不定期ですいません_(:3 」∠)_
しかし相手は確かに『エルレディア』と言った。
どうやら居るのは、あの森エルフのエルデリアの遠い親戚にあたる『エルレディア』の様だ。
しかしその暗闇にマモンは何も気にせずに入っていく。
感知にはエルフらしき反応が一つあるだけで、他には敵の気配はないのである意味安全なのだが……
マモンであれ悪魔種なのだから、相手が相手だけに本来ならば気をつけるべき対象なのだ。
しかしマモンは全く気にせず話しかける……
「おい死にかけエルフ……気を失う前に答えろ!テメェ等の隊長は何処だ?」
「お前……声に聞き覚えが……ゴホゴホ……隊長なら更に奥だ………。相手はズルズルと這い寄る悪魔だ……。悪魔との戦いでは我々戦士団では未熟……隊長が全てを引き受けたのだ……絶対悪を特定範囲から出さない秘術を持って……」
「成程な……面被り共は見なかったが……その特徴からしてスリザー共がここに居たのか?なら手配した相手が絞れるな………」
「その声……ようやく思い出した……ゴホゴホ……。お前……マモン……なのか?ならば……ヒロ殿はご存命か?」
マモンはその質問に『奴ならそこで話を聞いている。お前もすぐに助かるから手を貸せ!寝てる場合じゃない!!』と無理難題をいう。
チャタラーはそれを聞き何をするか即座に理解できた様で、マモンにフル・ポーションを投げる。
受け取ったマモンは瓶の口を親指を使いへし折ると、エルレディアの頭からぶっかける。
酷い様に思えるが、恐らく酷い怪我なのだろう。
マモンは暗闇だろうと目が問題なく見える様で、その方法が1番得策と考えた様だ。
「おいエルフの女……半分くらいはまだ残ってる。それを飲んでさっさと回復しろ!事が済んだらエルフレアを救出に行くぞ!」
「く………まさか悪魔のマンモーンに助けられるとはな……。悪魔の癖にどういう風の吹き回しだ?あと……此処にいた面被り共と……穢れ界の先兵のスリザー供はどうしたのだ?」
マモンは『今来たばかりの俺が知るか!』と言うと、更に奥の通路を見る。
「スリザーの気配はねぇな……這いずる音もねぇし。低級悪魔だが攻撃力と再生力はピカイチだ。回避距離が限られる洞窟内……そして暗闇と来たらエルフにはしんどい相手だな」
「ちぃ……流石に悪魔種だな……その通りだ。騎士団の大半はこの奥で半数が全滅。戦士団は面被りの罠で手痛いダメージを受けた……スゥ様が奇跡の力を使わねば誰も生きてはおらんだろう……」
マモンとエルレディアは暗闇でそう話すと、光がわずかにある僕達の方に出てくる。
「ヒロ殿!!……エルフレア様がどれだけ心配されていたか………今まで何処…………その気配………ま……まさか……悪魔種に?なんと言う事を!!悪魔種は我々の敵だとスゥ様………」
そう言った事でエルレディアは思い出す。
スゥが無事であるか……存命しているなら負った傷はどのくらいなのか……
エルフレアが居ない今、自分自身はその事を最優先で考える立場だったのだ。
「時にヒロ殿………スゥ様と落ち合えましたか?酷い傷を負ったのですが……不甲斐ない我々の為に『太陽の印』まで使われたのです!」
その言葉にマモンは『ちぃ……太陽使っちまったのか!?……馬鹿な奴……だからあんな状態に………』と言う。
「何を!?悪魔風情がスゥ様のことを悪く言うなら我が黙っておらぬぞ!!」
「何もしらねぇ馬鹿が『印』がどう言うものかしらねぇからそう言ってられるんだ!その所為でお前達が大切なスゥ様は死ぬ事になったんだ!!」
「ス……スゥ様が………し……死んだ!?」
「馬鹿な子ね……この様子だと、この子は本当に何も知らないらしいわ……マモン」
ヘカテイアの言葉にマモンは頷き返した後、呆れた様に『太陽の印』について話をする。
マモンの説明では、『太陽の印』とは磔刑を使った自己犠牲の力とされている。
磔刑とは文字通り『はりつけの刑』であり、その台座はI字・Y字・T字・逆十字・X字・IとYの合成の磔台がある。
なぜそんな種類があるかと言うと、種族によって使用されるものが違うからだそうだ。
ちなみに種族毎に使われる台座は決まっているという。
当然自己犠牲なので、使用者は死に等しいダメージをその身に受ける事になる。
そのかわり『あらゆる奇跡』を呼び寄せる事が可能だ。
それが彼女の持つ『太陽の印』と呼ばれた天族が人族にもたらした『偽りの奇跡』だった。
当然だが天族が美徳を愛するが故の『力』であり、使用する側は『使えば使用者がどうなるか』などは知らない……と言うより知ってはならない。
言葉の通り、その力を得る者は『内容を知ることを禁じられている』のだ。
その効果を知らないが故こその奇跡とも言える……
人族の太陽教団ではその内容を知る者は枢機卿以上の者に限られ、エルフは元老院だけにその知識は許された。
当然本人以外の第三者がその力を利用して、思いにままに奇跡を呼ぶことは出来ない。
洗脳の類であれば、天使族はその洗脳状態を解除して元の人格へ戻した上で『太陽の印』を取り上げたし、心からの願いであるのは言うまでもなく、使い場合は自己犠牲に相当する事態でなければ印は起動さえしない。
ちなみにかつて奇跡を悪事利用しようと計略を巡らせた者は『天罰』として、穢れの世界に生身のまま追放された……
天族はその自己犠牲たる行為を見て、自分の仲間になりたる存在か見極めているのだ。
「な!?……印は……天族の……スキル?………自己犠牲!?死と引き換えの力ですと?元老院は……スゥ様に『エルフの姫しか持てぬ力』と………アレは嘘なのか!?」
「そう言われたなら『嘘』でしかねぇな……アレは誰でも『持て』て、誰でも『使える』……そもそも使用制限もねぇし、神の恩寵の類と同じだ。ある程度の信仰心がありゃ手に入る!」
「ならば……我々でも可能と言うことか?……」
マモンとチャタラーは『バカ正直にも程があんだろう』と言う。
そしてマモンは続け様に『お前は内容を知った今、そのスキルを得ることはできん。そして教えればそいつも使えなくなる』と言う。
「そんな馬鹿げたスキル……なら何故そんな役目をスゥ様に!?元老院は何故?……」
「アンタそれくらい自分で答え出しなさいよ?……『殺したかった』って事でしょう?……王族の末裔たるスゥを………」
「そうだ……お前が落胆しても今更遅い。奴等の計略はおそらく奇跡を使った太陽の姫の抹殺……そうする事で『聖獣フェニックス』はスゥから離れ別の主人を探すからな……」
ヘカテイアの後、続け様にチャタラーがそう言うと、マモンは『おいヒロ……ちんたらやってると勘付かれるぞ?理由なんぞ後でもいいだろう?またお前バカやりたいのか?』と言う。
しかしその言葉に不満があったのか、エルレディアは更に質問を重ねた。
マモンは悪魔であり、エルフの敵としてしか見做せない相手なのだ……エルレディアが疑惑を持つのは当然だ。
「……そもそもマモンよ……。何故そんな重大な秘密を敵であるエルフの私に教える?お前達悪魔の目的はなんだ?……幾ら助けていただいたヒロ殿とは言え……」
今度はそう疑念を僕へ向けたエルレディアに僕は、モアからの一件を説明しようとする。
しかし、僕が口を開くより早くヘカテイアは『チィ!またか?このバカ……』と舌打ちをした……




