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第1149話「共同作戦」

更新2話目なのですよー(  '-' )ノ)`-' )ぺし


「面被り達よいいな?これは我等が崇拝する精霊、精霊女王のアンバークイーン様及び我等が新しい主様から受けた任務だ!気を引き締める様に!!」



「「「「はい!!」」」」



「班分けした通りに『魔道窟』と『妖魔窟』に分散、いいか?この任務は情報戦だ……決して相手を殺す戦いではない!我等が同胞を元老院から一人でも多く救い出せ!」



「「「「はい!!」」」」



「重要案件だが、魔道窟にはモア様と月の戦士団が居ると思われる。妖魔窟には取り残された太陽の戦士団だ!見つけ次第ヒロ様とチャタラー様に報告。恩寵者などの手が追えない相手が出た場合はマモン様とヘカテイア様だ。抜かりない様に!」



 エルメーディアの説明に出てきた『魔道窟』は『魔洞窟』では無い。

 

 魔道士が扱う様なマジックアイテムやエルフ族が多く扱う祭壇がある施設である。



 いわば『魔道に関するほら穴』という意味だ。


 そして施設といっても、処理層の関連箇所である為に、ダンジョンに似た構造であるのは言うまでもない。


 

 その情報源は、処理層のエルフ製ダンジョンコアである事は言うまでもなかった。


 エルフお手製だろうが造られたコアである事は間違いない。



 『処理層のコア』はトレンチと当然のことながら通信が可能だった……


 王都の自然生成されたダンジョンコアでも可能だった事から、当然そうだとは思っていたが……処理層コアを掌握する事で色々なことが判明した。


 

 他のコアと大きな違いは『コアからは魔物を生み出せない』と言う点だ。



 出発の前段階でだが、エルメーディアの他に処理層のコアとの間でもこんなやり取りをしたのだ……




『マイマスター以上の事から処理層のコアは不完全だと推測します』



「じゃあダンジョンと呼ばないのは、魔道に関する要素が多いから魔道窟て事?」



『このコアからの情報ではそうです。マジックアイテムを生成する重要拠点かつ、他の用途への再利用可能な場所ですね。名前の由来は『エルフ学問における、魔道学に精通するほら穴』からきている様です』



「じゃあもう一方は何故妖魔窟なの?」



 僕がそう聞くと『其れは私が答えます……』と言って、エルメーディアが質問へ答えた。



「妖魔窟は同族のエルフを罠に嵌め、精霊力を奪い化け物に堕とした上で人間やドワーフ達への敵を作る為に造られました」



 エルメーディアはそう言うと、苦しそうに『元々は私もそこの施設の出ですから』と言った。


 おそらくだがその同族とは『ハーフエルフ』の事なのだろう。


 

 彼女達はハーフエルフの事をもはや敵とは思っていない。



 其れどこか迫害した事を恥だとさえ感じ始めている。



「妖魔という表現は……じゃあ……魔物に堕としたという意味なのか……あやかしと魔物を言葉で掛け合わせてるって事だね?」



「………そう……です………」



 文字通り『妖魔のほら穴』であり、敵対する同胞に『エルフの姿を借りた偽物』と意味を込め『まやかし』と言う単語をつけた様だ。


 その主なる素材は『同胞のエルフ』であり『迫害していたハーフエルフ』も含むという事だ。



 付け加えると、妖魔窟は処理層の前段階であり『いずれ処理層に改造する場所』であったそうだ。


 僕は更に疑問を口にする……


 処理層コアに聞く方が早いのだが、この告白じみた言葉は彼女の懺悔でもあると推測したからだ。



「でも……コアでは魔物は生み出せないんでしょう?」



「その為の実験施設でありましたから……。方法は我々がしていた魔物部位からの培養ですね………。エルフは既に成功例もあり、その処理工程が出来る箇所を増やす段階でした」



「なるほど……ダンジョンコアに頼らず生成が可能で、エルフでは成功したから今度は俺達人間だったって話か」



「ちょっとソウマ!言い方!」



 ソウマは『サイキ……だってそうだろう?』と言うが、彼自身その実験素材になりかけたのだから、文句の一つも言いたくなるのだろう。



「でも分かった事がありますね………」



「なんだよ?分かったことって?」



 ソウマの一言に、僕は誰かの手を介して造られたダンジョンコアの事を話す。


 まずダンジョンコアには複数種類がある事……これはトレンチと初めて交信した際に既に予想していた事だ。



 トレンチのダンジョンコアは『プラント』に値する要素が多い。



 中で何かを作り外に出したりする為だ。



 しかしエルフが作った処理層は実験室と言いつつも、面被り達エルフの居住スペースが異常に多い。


 その事から推測するに『居住層』であったとも推測される……



 所謂、SF映画に出てくる様な『スペース・ステーション』の様な作りだと思ったのだ。


 居住層に実験施設……実験施設とすれば『トレンチ』の方がその名に相応しいとも思えてくるのだ。



 だとしたら……エルフ達には『トレンチと同じコアは作れない』と言う結果さえ見え隠れしてくる。



「エルメーディア……悪いけどトレンチコアまで一緒に来てくれる?黒穴だからすぐ着くし」



 そう言った僕は『エルフ眷属でも黒穴が通れる身体になったから平気だからさ』と言う。


 この言葉は『エルフだから黒穴が心配かも』と言うつもりで言ったが、全く気にしてなかったのか、エルメーディアは二つ返事で了承した。



「エルメーディア……このダンジョンコアなんだけどエルフの技術では作れそう?」



「む……無理だと思います……。我々が長い月日でやっと処理層のコアを作りましたが……これはエルフ製なのですか?もはや完璧な技術というより普通にダンジョンコアだと思いますが………」



「って事は他に処理層もおそらくこれ以下って事だよね?」



「恐らくは………これ魔物も産めるダンジョンコアですよね?それを………エルフが?」



「ああ……そうでは無いんだ。これは由来不明のオーパーツ的な物で……って言っても説明は難しいか………」



 僕は伝来不明の物体であるオーパーツの単語について説明をする。



「オーパーツ………た……確かに!今の技術ではとてもでは無いですが無理でしょう……。エルフと人間が力と知恵を絞っても、恐らくは素材さえ不明です………」


「素材か……確かにそうだね……。そう言えば、あの処理層のコア素材って何か知ってる?エルメーディアは精製と深く関連を持ってるんだよね?」




「はい。あの素材は……」



 そうエルメーディアが言うと、事細かい説明をしてくれた。


 正直意味がわからなかったのでトレンチのダンジョンコアに記録を頼んだが、既に熟知していた。


 何故なら、処理層のコアからその製造過程まで全てを手に入れていたからの様だ。



「……穢れの結晶に……あとは巨人の足跡苔とモーグルセバイタスの唾液……えっと………」



「あ………エルメーディア………今更でごめん。流石に一度じゃ覚えきれないや………」



「ああ!そうですよね!!100の素材なんか普通記憶できませんね……私も覚えるまで苦労しましたし。何度も上司に怒られました。その上司って父なんですけどね!……今度書き留めてお渡しします」



 僕は『処理層コアに聞けば済む』とは言えなくなり、必死に言葉を飲み込んだ。


 そんな事があったのだが、エルメーディアは堅物傾向にあるらしく陣頭指揮をとって皆の指示を明確にしていた。


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