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第1145話「エルフ国の危機・閑話……其々の神1」

今日も更新はりきります!\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/予約ですけどw


『太陽の教団』



「申し上げます!炎の聖獣壁画にある……聖杯の焔が………また一つ燃え尽きました………」



 その言葉を受けた瞬間、あたりは騒がしくなる……



 場所は、太陽の教団と呼ばれる組織内部の最奥部『神獣の祭壇』より僅かに奥の『太陽の間』である。


 太陽の教団とは日……即ち太陽と強く関わりがある火を祀る教団組織である。



 日は地上を照らし、悪しき者を排除する力が有る……その為、太陽その物を信奉するものが世界には多い。



 報告された炎の聖獣壁画とは、太陽教団が祀る神獣であり、巨大な壁に数匹の獣の絵が描かれている。



 その聖獣は『魔物としても実際に存在』する。


 しかし彼等が祀っているのは『魔物の方』ではなく、精霊化現するとされている『力ある精霊の事』だった。



 そして、聖獣壁画の前には『聖杯』と呼ばれる巨大な杯が用意されている。


 その聖杯は不思議な力があり、灯っている焔は今まで誰が何をしようとも何があっても消えなかったのだ……その火は信徒達からは『聖火』と呼ばれていた。



 しかしその一つが消えた……太陽教団としては騒がないでいる方が無理という物であった。


 


「ベンヌに続き……朱雀も消えた……今度は何が消えた!?」



「フェ………フェニックス……で御座います!!」



「「「「「フェニックスだと!?」」」」」



 周囲がより一層騒がしくなる……当然太陽の間を管理していた大司教達も、その報告に言葉を無くす。


 その騒ぎの理由は消えたことが問題だけではなかったからだ。



「祭壇祈祷大司教様………フェニックスといえばベンヌや朱雀と違い……誰がその身に纏い化現させる事が出来るか既にわかっている………古の………」



「言うな!司教………それ以上は……。お前より格が低い司祭や神父の目や耳があるこの場だぞ!?」



「も……申し訳御座いません…………動揺の余りつい………」



 大司教は大きな声で司教を叱りつけると『これから翌、日の出までは聖杯異変に報告以外は如何なる言葉も禁ずる!誰も言葉を発するな……本来聖杯が消えた時点でそうするべきである!』と言って、太陽の間を出て行った。



 大報告を受けた司教が向かう場所……それは数名の枢機卿がいる場所である。



 今日の太陽の間を仕切ってたのが彼であるだけで、毎日その担当は変わる。


 枢機卿が大司教の代わりに座る日もあるくらいだ。



 ちなみに異世界の教会組織は、根本が地球とは大きく異なる。


 何故なら民の為に祈りを捧げたりする他、教会聖戦士……即ちパラディンを伴い凶悪な魔物と対峙するからだ。


 各地で行った布教活動の報告は勿論、強大な敵に立ち向かう為助力を得る為に、太陽教会内部は入れ替わり立ち替わり人員が変化する。


 大司教は目的の場所に着くと、息を整え覚悟を決め必死に言葉を吐き出した。



「す……枢機卿様………とうとう……三つ目の聖獣が………壁画前の聖火が……燃え尽きました………」



「なんだと?…………先日は悪魔の目撃例……今回は……聖火だと?」



「く……どの聖獣だ?まさか……悪魔目撃例に関連がある……フェニックスとは言うまいな?」



 枢機卿二人の言葉を受けて、大司祭は冷や汗を拭いながら『そ……そのフェニックスであります!!』と答える。


 その言葉には当然だが、焦りが見られる。



 この件においては自分が原因を作り出したわけでは無いが、大司教は報告をするだけで胃が縮む思いをする……


 しかし枢機卿の追及は続いた。



「悪魔の目撃例があった時点で、我々はパラディン聖騎士団の出撃を命じたでは無いか!!太陽エルフの姫……スゥの居場所は掴めていたと言うのに……何故こうなった!?」



「掴めておりました……聖騎士団も急ぎその地に向かい、スゥ様の宿敵である悪魔を滅ぼす手筈で御座いました……しかし………『監視者』の報告では……忽然と姿を消したと………」



「何を言っておる!!……姿を消したではすまぬ………我等が太陽の教団が祀る聖獣はあと一匹なるぞ!!……それでスゥ姫の安否は?」



「紫の枢機卿!……安否問題だけでは済まぬ……聖火が消えたのだ!……もはや命の灯火は………。大司教!聖遺骸があるならばそれが何処だろうと持ち帰れ!」



「金の枢機卿……そこが問題だ!大司教達の報告が曖昧なのだ……そもそも火の鳥を纏う姫を監視者は何処で見失ったのだ!!」



「悪魔が複数目撃されたローズガーデン周辺にて御座います。ローズガーデンとは……王国侯爵爵位であるヒロ侯爵が治める領地であり、商団を装って潜入中の……太陽教団の大司祭・レウナードが悪魔に襲われ落命した場所に御座います……」



「「「「な!?悪魔発見の地で?」」」」



「スゥ姫が太陽エルフの宮殿を追放された時点で、お前達大司教は何故手を回さなかった!!常々注意する様にと…………」



 大司教は『手を回したが、行く先々で姿を消した』と言い訳をしようか考えたが、その言葉は飲み込んだ。


 自分達が手をこまねいた結果、フェニックスの壁画前にある聖火が消えたのだ。


 

 何を言おうとも『言い訳』でしか無い……


 自分達が信奉する対象を見失ったのだから……



「金の枢機卿に紫の枢機卿それの銀の枢機卿………こうしてはおれん……教皇様方にお知らせに上がらねば………」


「黄の枢機卿……だがなんと言う?……太陽の君が落命したではすまぬぞ?」



「だが仕方あるまい……報告せねば我等が教団だけでは無い……世界の危機なるぞ?」



 そう言った黄色の枢機卿は一人席を外し、更に奥の間に向かっていく。


 色を拝命した枢機卿以外は入れない部屋である。



 ちなみに枢機卿には格があり、色を拝命した者が数居る枢機卿を総合的に統率し、下の枢機卿は各役割ごとに分かれている。



 今から黄色の枢機卿が向かう場所は、その構成メンバーが何があっても変わらない……


 彼が向かう場所はそれだけ特別な場所であった。


 当然その部屋にいるのは、その枢機卿の中でも選りすぐりの者達であるのは言うまでも無く、何より教団トップの教皇が居る。



 実際にはスゥ姫や聖獣を化現出来る対象者が教団のトップであるが、化現対象が分からずにいた為、スゥ姫以外本人達はその事を知らないのだ。


 スゥは当然エルフの姫であり、人間社会と縁を切っていたエルフ国の習わしに従い、一定の距離を保っていた。


 その為、スゥと教団との関係は良好とはいえなかった。



 ◆◇



「黄色で御座います……六色の枢機卿並びに教皇様にご報告が…………」



「我は白の枢機卿だ。教皇様に変わり申す……入り報告するが良い」



「は!……エルフの君が……落命しました。その結果………」



 黄色は自分の報告で皆が驚き、自分達の様に声を上げると予想していた。


 しかし予想を反する様に、その場にいる全員は静かに黄色の報告へ聞き入った。


 

 教皇の代わりに答える白以外は……



「ベンヌと朱雀に続き……フェニックスだな?」



 白はそう言うと、教皇を見る。


 同じ場には白に相対して座る黒の他、赤に青そして緑に茶そして一番奥に教皇が居る。


 誰も口を開かず、白が会話を続ける以上新参者が白もしくはその逆で、一番力がある者が白という事になる。



 『此処の枢機卿達の力関係は自分には理解が及ばない……』と思った黄色は、教皇へすぐに謝罪をする。



「教皇様………申し訳ございません!!」




「あれだけ言っておいたのに……何故に教皇の(めい)も守れぬ………」



 白の枢機卿が冷たくそう言うと、教皇が言葉を挟んだ………


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