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第1137話「イーザの居場所」

更新ですっぽ!∑(゜Д゜)ぽー!


流石に1week分の更新となると時間がかかります!


14時に到着して開始……現在16:14分


前書き少しでこんな時間かかるるるー!(〃ω〃)白目………


 アナベルはイーザの言葉を聞いた後何かを決心したかのような顔を見せる……


 そして僕ではなくイーザに対して言葉を発した。



「イーザアンタにはさっき聞いたけど……どうだい?気持ちは固まったかい?」



「アナベルさん……何の話ですか?端折らないで……説明を………」



 僕はアナベルとイーザの様子を見て、非常に怖く感じた。



 その所為でイーザがする返事の前に言葉を挟んでしまった………


 しかしイーザは僕を見る事もなくアナベルへ返事をする。



「私は……此処に残ります………」



「そうかい……それは死より苦しいよ?あたしを見な………何もかも無くして此処で無限の時を過ごす……意味がわかるかい?『死なない』んじゃない……『死ねない』のさ……その二つは似ている様でも、大きく意味が違うんだ」



 アナベルはそう言うと、イーザを諭す様な目をする。



「アナベルさん……私は……自分の意思で……皆を見守りたいんです……かつてアナベルさんがそうであった様に………」



 イーザの目は真っ直ぐアナベルを見据えて、その信念は揺るがない様を見せる。


 アナベルはその目を見ると『はぁ……仕方ないね……この馬鹿の知り合いには……馬鹿しかいないのかねぇ……』と言って笑う。



 しかしイーザは『もうアナベルさんは一人じゃ無いですよ?口うるさい私が居ますから!』と言う……


 

「じゃあ……決定だ!おいヒロ。アンタが首を突っ込める問題じゃないけど……当分は倉庫を使って此処へも顔を出しな!」



 アナベルはそう言うと、入って来た扉を指差す。


 そして『アンタだけは出入り自由にしておくよこの狭間にね!』と言って扉の姿を倉庫の物と同一にした。



「これで『アンタ』はいつでも入れる……はぁ……困った事をやらかしちまったねぇ……ヤキが回ったもんだこのアタシも………」



「アナベルさん!責任の半分は私も持ちますから………」



 イーザが気を回してかそう言うが、アナベルは目を丸くして大笑いをする。



「はん!半人前のアンタが偉そうに……アタシが使う魔術の一つでも使える様になったらその言葉を使うんだね!!」


 そう言ってアナベルは、イーザのお尻を強く引っ叩いた……




 ◆◇



「くそ……まだ出てこねぇ……何話してんだ?気になって仕方がねぜ………」


「マモン……落ち着きな!……大方想像はついてるだろう?此処とくれば倉庫で……特殊空間と言えば『消滅』さ!……イーザの運命は……」


 その言葉にマモンはさらに苛立ちを見せて、ソウマとサイキは悲しい表情になる。


 自分達はついて行こうと思えば行けた筈だ……しかし臆病風に吹かれて『聴く』事ができなかった。


 彼等はそう思った……



 しかし現実はそうではない……アナベルが言霊をつかって『来るな!』と意思表示したのだ。



 その言霊を破れるのは相手も『言霊』で『それでも自分は聴きにいく』と言わなければならない。


 言葉の発する強さや力が、そのまま現れるのが『言霊』の特徴なのだ。




「で……出てきたわ……イーザが!!サイキお姉様……」




「「「「「イーザ!!」」」」」



「何だい?揃いに揃って……それも悪魔まで人間の名を呼ぶだなんて……世も末だねぇ!」



 アナベルのその言葉に、ついマモンもヘカテイアもイーザから距離をとってしまう。


 悪魔たる誇りなのか……はたまた照れ隠しか……恐らくは後者だろう。


 現にマモンはすぐに言い訳を口ずさむ………



「俺はちげぇよ……串肉代を返してねぇ……それに信奉者の願いを叶える前に死んじまったんだ!契約が成就するまで気にかけてやるのが悪魔の慣わしだって……だけだ」



「ほぉ?その割には出てきた時の喜ぶ姿は何だったんだろうね?」



 そう言ったアナベルは意地悪くこう言う。



 かつて穢れの世界を二分する戦いで、熾烈を極めたマモンの悪魔勢力とヘカテイアの魔神勢力……


 お互い決着がつかず已む無く戦いをやめた奴等が………


 人間の娘一人が帰ってきた事に喜んでるだなんて……本当にあのマモンとヘカテイアなのかねぇ……と……



 ヘカテイアは金貨袋を取り出して、『私は好みがイーザと同じだけよ!ちょっとヒロ!?……今から買い物するんだから早くイーザをこっちに寄越しなさい!』と言う。


 僕はヘカテイアに異世界での買い物を『許可』した覚えはない。


 以前の金貨は、それなりの理由があったから渡して『買い物を許可した』だけだ。



 そしてマモンはコレまたアナベルに喧嘩を売っている。


 しかし尻に火をつけられてはノタウチ回っているので、本気では戦う気がなさそうだ。



「皆さん……心配かけてすいません!私……死んじゃいました!!……へへ………でもコレからはアナベルさんの居る場所で受付嬢やることになったので……」



 その言葉にヘカテイアとマモンは言葉が被る……



「良いんじゃねぇの?……うげ………」


「良いんじゃないの?……ちょっと!!………」



 アナベルはその言葉を聞いてほくそ笑むと『アンタ達……たまには此処に顔を出しな!こんな跳ねっ返りを置いていかれると、アタシが対処に困るんだ!だから話し相手にちゃんと来るんだよ!』と言う。



 マモンは『……そう言われちゃ……仕方ねぇな……』と言って、まだ冷え切ってない、若干生暖かい串肉を包みごとイーザに投げて渡す。



「お前に貰った分の串肉くらいは差し入れてやるよ!でもヒロがこの倉庫を開けたらだがな!!」



 そう言って倉庫を後にする……


 ヘカテイアは『素直じゃないわねぇ……イーザ、このお金でアタシとアンタの分の異世界製品買っといて!後でヒロに倉庫を開けさせるから!アンタのお薦めで良いから……。ジェムズマインで使っても恥ずかしくない奴で……宜しくね!』と言ってこれまたドアから出て行く。



 ヘカテイアは『次回面会』の予約を僕では無く、イーザ経由ですでに取り付けたようだ。



 そもそも異世界製品を使っての『恥ずかしくない物大作戦』とは荒唐無稽な計画である。


 ジェムズマインでは作れない、技術で作られた物ばかりなのだから……誰も使ってない物を手に入れられない人達が受け入れる方が難しい。



 『どっちもどっちだなぁ』と思いつつ僕は二人を見送った。



「イーザ………」


「ソウマさん……何泣いてるの?貴方らしくないわ……」



「俺が……一緒に王都の方に行っていれば!!………お前の反対を押し切って居れば………お前は………」



「ソウマさん……貴方の責任では無いわ。一緒に行ってても私は多分スキルを使った。死を覚悟して使ったら最後……私のスキルは戻れない物だった。それを知らなかったのは自分の落ち度よ?」



「俺がいたら……そもそもスキルなんか使わなかったかもしれないじゃ無いか!それに……ファイアフォックスのメンバーが居たら違う運命が………」



 そう言ったソウマの肩を、力一杯イーザは叩く。



「冒険者ソウマ!忘れたの?私はギルド職員であり今や冒険者登録もしたの!……」



 冒険者ギルドに加盟した者は何時何時……死が訪れるか分からない。


 それは誰のせいでも無く、自分の責任……


 僕もソウマも理解はしている。


 それを感じ取ったのか、イーザは駄目押しをした……



「もう分かってるでしょう?ソウマさん……それが冒険者としての鉄則なはずよ?」



 そう言った彼女は、優しくソウマを抱き込んだ。



「後悔してるなら……他の人を救ってあげて。」



「だけど……イーザ!……俺は…………俺は!無念で心が……張り裂けちまう……」



「ソウマ……私みたいに剣を持てない人がこの世界には沢山いるわ。彼等は何も出来ずただ死を待つだけ……そんな彼等を救えるのは多分貴方だけ……タンクである貴方は相手の攻撃に耐えられる。文字通り『護る力』よ?」



「護る力?」



「ええ……だから……私だけじゃ無く、皆を守って?」



 ソウマは、『自分はイーザを守れなかった』と言うが、イーザは『充分守って貰った……ソウマにもエクシアにも……ファイアフォックスにも……ヒロを待つ間ずっと守ってくれたよ?』と言う。



 ソウマにとってそれがイーザとの別れの言葉になったのは言う迄も無い………


 生前のイーザにはもう逢えない……



 魂の欠片となったイーザは確かに僕を介せば永遠に逢えるが、本来の人間であるイーザではない。



 街で出会い、他愛もない話で笑い合った彼女にはもう逢えないのだ。



 ソウマは自分の携帯に繋いであった消防署のマスコットキャラをイーザに渡す。


 自分が異世界人であった証拠の品だ。



「すまん……イーザ。今の俺にはコレくらいしか渡せない。コレは異世界の品で……今の俺の宝だ……自分が異世界人だと言う誇りだ」



「貰えない……想いの詰まった大切な物なんでしょう?」



「大丈夫だ……俺は……絶対に元の世界に帰る。この世界にいる苦しむ皆をイーザの代わりに救って……悪辣貴族のクソどもが居なくなった世界を見届けて!……平和になったこの世界から元の日常に……だからもうコレは必要ない。お前が持っていてくれ。俺の……大切な友人だった証拠に!」



 ソウマはその品を強引に渡すと、溢れそうな涙を堪え上を見たまま倉庫から飛び出していった。


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