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第1131話「交易都市ローズガーデンと酒商人」

お昼の時間だよぉ〜!ꉂ(≧∇≦)いっぱい食えよー!


満腹を通り越して吐くまで食えよー!∠(゜Д゜)/イェーイ


 しかしソウマは、僕の様子がおかしい事をマモン達に説明する……



「あ……それか……今説明してやるよ………」


 

 そう言ってマモンは、ユイナとエクシアに会った森の宿の日の事から説明をする。


 ソウマが知りたい情報だけを説明するので、悪魔化した事は話していない。



「お……俺を………忘れただと?」



「だからアンタだけじゃ無いって言ったわよね?ユイナの事も忘れちゃってたんだって!!」



「いやいや……今の話では思い出したんだろう?」



「だから……思い出したのはユイナの事だけで、カナミもミクもアカネもミサも異世界人は全部忘れてんだって!」



 ヘカテイアもマモンもソウマに『馬鹿かお前は……』と言うが腑に落ちない様だ。



「でも切っ掛けがあれば思い出すんだよな?まぁ気長にやるっきゃ無いか……それにしてもエルフの試練ねぇ……」



「すいません……ソウマさん……」



 僕の言葉にソウマは『さん付けはやめてくれよ!なんか他人行儀で嫌だよ……前も<さん>ついてたけど……前は随分かかってようやく取れたんだぜ?』という。


 お兄さんの様な言い方なので、僕とは相当仲が良かった事を連想させる。


 携帯の記念写真でも仲がいいのは一目瞭然だが、思い出せないのだ。



 非常に記憶がないのがもどかしい……


 そう思っていると、不意にソウマは口を開く。



「だが解放してくれた事の説明は………聞く限り元老院が悪そうだが……何がどうしてこうなんたんだ?少し考えればわかる事じゃないか?元老院が怪しいと……」



「そうだ!村の被害も決して小さくはない!俺達の村を焼かれ、ここまで連行されたんだぞ!襲われた冒険者だって少なくないぞ!」



「そもそも、エルフ達の身内問題に人族は巻き込まれたんだよな?お前ら……どう責任を取る!!」



 面被りも森エルフも、その間違ってない発言には言葉がない……



 彼等には損害を補填する金銭もなければ、家を元通りにする手段もない。


 なので此処は、僕が一肌脱ぐしかないだろう……



「それについてはローズガーデンで皆さんを受け入れる手はいかがでしょうか?あそこは交易都市でこれからもっと商売も盛んになるでしょうし……まぁ元の村が良いなら大工衆を派遣して家を建てる事からスタートになるでしょうけど……」



「はぁ?冒険者風情が決められることかよ!領主ならまだ知らず………」



「ああ……僕がヒロ侯爵本人です。まぁ皆さんにはこの件は内密にする緘口令を出す予定ですがね?……言ったら此処よりひどい目に遭いますよ?」



 僕がそういうと、民衆は周りを見回す……



 僕が手を翳すと、今までは黙っていた金面に銀面、黒面に赤面そして白面が手に持った面を被り、鎖を手に持つ。


 チャタラーとマモンは『久々の魂食い放題か?』と喜んでいるが、もう一人のヤバイ人であるヘカテイアは、自分の召使い用の人選選びに余念がない様だ。



 全員がソウマに縋るが、ソウマは無邪気に笑っている。



「今も昔もコイツはかわらねぇよ?ファイアフォックスにはそれなりの秘密があるって有名だろう?これがそうだ!」



「でも……ソウマ様……流石にこれは……」



「はっはっは……濁酒酒連合商団のドブーロク……それに皆も観念して、お口にチャック!それが幸せになる秘訣だ!」



「まさか……この私にこれを受け入れろと?腐っても王国いちの酒商人ですぞ!酔った勢いなどでも腐った契約は私はしません!それなのに……」



「マッコリーニの様に大商人になるには、無駄に開かぬ口が一番だぜ?」



 ドブーロクは僕を見る………



「ほう……マッコリーニとな?奴に並べると!?ならば!!この私が皆を黙らせましょう!そのかわり……ローズガーデンでの販売許可をお願いいたします!あそこは交易都市で酒の流通が尋常ではない。しかし酒業者は誰も出入りの特選業者になれていない……」



「良いですよ?代わりに全員を雇用する契約で……兵士は全員傭兵団としてあなたが管理して、ローズガーデンに駐在させてください。街を守る人材は多い方がいい。費用は街が払います」



「く………は?此処にいる全員をですか?どれだけ人数が…‥50名は間違いなくいますぞ?」



「人員は交代制だとしても多い方がいい。職人のボイコットで酒がダメになってバカを見るのは貴方でしょう?」



「はぁ?酒蔵でも作る気ですか?あの街に………」



「はい?……酒を売るって事は、大規模な仕込み場完備の酒蔵を開くのでは?街の郊外に酒蔵を建設して醸造所を作りましょう。街とすれば税収も手に入る。そこで安定して酒を作り……」



「やりましょう!このドブーロク……ヒロ侯爵様の右腕となりローズガーデンをもっと大きな街……いや第二の王都にして見せますぞ!!」



 ソウマは『ヤレヤレ……また始まった……』と呆れ果てる。




 しかし周囲の民衆や冒険者達は、思わぬ雇用先が見つかったので大喜びだ。


 冒険者は荒野で死んで魔物の餌にならずにすむ……そして村人達は、いつ来るかわからない旅人を取り合いせずに済む。



 農家の人達は、畑仕事で育つか分からない作物を毎日ヒヤヒヤして育てなくて済む。



 大規模な酒蔵ともなれば、人数は必要だ。


 酒の仕込みに販売、配送人員に地方分店職員まで含めて入れれば、50名では人数が足らないくらいだろう……全員が結果オーライの形だ。


 僕は酒商人のドブーロクへ、その方法を言って聞かせる。



「マッコリーニの奴……全部ヒロ侯爵様の受け売りか!!くそ……まんまと………騙されたわ!………」



 どうやら怒った様だ………



 だが今まであった宿場がゼロになるのはいただけない……


 問題を一つ解決すると、悩みは別のところで出てくるものだ。



 その問題解決もする必要がありそうだ……


 しかし僕達には急ぎでやることがある……ユイの救出が酒よりも最優先なのは言うまでもないからだ。



「でも途中の村で寝泊まりできないのは……些か問題だな………何か手段を考えましょう……。しかし今優先すべきは森エルフの姫ユイの救出が最優先です」



 僕はそう言うと、アラーネア達にも降りてくる様にいう。


 もはや面被り達は脅威ではないからだ。



「そう言えば……ユイの居場所だけど……」



「ユイ様はこの実験施設の最新部に居ます。銀面の話では……此処は研究施設などではなく『ダンジョン』だと…言っておりましたが……本当なのですか?」



「そうだね……此処はダンジョンだ。中心部にユイの気配を感じていたが、どうやら最奥部にあたる部分だね。何かコアの様なものが無かったかい?エルメーディア………」



「コアですか?おそらく黒い球体と思われる物が壁に埋まっているのは見ましたが……それが何か関係しておりますか?」



 僕は『結構な大きさか?』と尋ねると、ユイが捕縛されている部分は大きく、その他の部分は小さいという。


 どうやら半分アタリで半分ハズレの様だ。



 ちなみに僕はダンジョンというその言葉で、傀儡になっていた銀面を思い出した。


 周りを見回すと、沢山の面被りにリーダー的存在の銀面、それをセクター事に管理する金面が居た。



 金面達だが、エルメーディアの様に恩寵を全員が受け取った訳ではない様だ。


 一応面を外させその確認をしていったが、恩寵効果により身体の腐敗が進んでいたのはエルメーディアただ一人で、その状況が金面達の力関係に率直に結びついていた様だ。


 普通の変異はアンバーへの力移動を行った時点で変質が起こった。


 一度穢れを空にした事で変異が解除され戻ってしまったのだが、どうやらアンバーも一枚噛んでいる様だ。



 魔王アンバーが、精霊核を穢すためにより多くの変質素材を必要としたことが原因だと考えられるが、その情報を纏めるのは時間と情報が圧倒的に足りない。



 僕は移動中に、金面エルメーディアから移した『恩寵』について自分なりの解析を試みる。


 当然鑑定でだ……


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