第1128話「金面を被る者とその決意」
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しかしチャタラーの一言で、それどころでは無い事態が発生した事を一堂は理解した。
「おい……金面達の様子がおかしいぞ……皆引き上げて………ちげぇ!?……奴等……狙いを変えやがった!!」
「どうしたの?チャタラー……まさか!?……捕らえている人間側を?」
「ああ……その通りだ!!俺とアンバーが普通の小娘じゃねぇと漸く理解したようだ……だから向こうだけでも始末する気だぞ?ありゃ………」
僕とエルデリアは急いで入り口付近に戻る……腐肉のような壁を隔てて向こうは『処理層』だ。
壁を破壊して進んでいたら間に合わない。
「おいヒロ……お前は休んでいろ。少なからずダメージを受けているのは見た限りわかる」
「おい……オリオンお前は俺達を舐めているぞ?此処は何処だ?俺達に縁が深い『ダンジョン』だぜ?」
チャタラーがそう言うと、僕は大きく深呼吸をして穢れを一気に吸い込む。
すると周囲のエルフ達が驚きの声をあげた。
「な!?今までの息苦しさが……嘘のように………」
「光の種族はダンジョン内部では本領を発揮できませんからね!僕の回復と同時に貴方方が身体に蓄えた穢れも貰いました。」
僕は周囲に広がる穢れを、左手に具現化させてエルフ達に見せる。
紫色に光る煙は、光の種族にしてみれば非常に有毒だ。
しかし右手には別の煙が渦巻いている。赤黒く非常に禍々しい煙だ。
「こっちの紫に光る方が『闇精霊が好む穢れの力』赤黒い方があなた方が吸い込んで、別の段階に至った穢れの力……赤黒い方が貴方達を蝕み堕落させる力です」
僕がそう説明すると、何故か身体を操っていた銀面の興味が紫の煙に引かれている。
強く興味を持つのは赤黒い方ではなく、何故か紫色の方だ。
「それは……精霊力なのですか?闇の?……」
「闇の精霊というのは穢れを吸い込み糧にしつつ、浄化する力があるんですよ。他の精霊は単に分解です。闇精霊や血の精霊は穢れに密接な関係があるんだ」
周囲のエルフ達は僕と銀面の会話に驚く……
当然だが、今まで敵としての立場だった。
だが、何故か今は僕とチャタラーに付き従う立場だからだ。
僕は戯れに元金面のエルフに闇の精霊力が好む煙を放り込んでみる……
「こ………コレは?中から満たされる……我が身から無くなった……精霊の力が……回復した!?……闇の精霊の力が煙を糧に?……これは……新たなる我らの可能性?」
「え?」
チャタラーは僕を見て『お前の出鱈目にも程があるぞ?……今度は何をした!?前代未聞の事象をポンポン追加するな!!理解が全く追いつかんぞ!』と言って、オリオンを見る。
「お前といた時もずっとこんな感じか?オリオン………」
「言いにくいが……そうだな。食材に乏しい我々森エルフの食糧事情を改善したのがコイツだ。まさかトンネルアントと共存する未来が出来るとは……昔は思いもしなかったんだがな……」
「ですがエルデリア様……その一件でユイ王女は窮地に………」
チャタラーは『こいつが教えた事で森の姫が窮地だと?救ったのかその逆か全く意味がわからんぞ?それでは……』と呆れ果てる。
当然エルデリアも『うむ……そうなのだ。だから悩ましいことが多く、ユイ様は思い切った行為をな……』と言う。
「思い切った行為?」
僕はそう聞くが、エルデリアは『話は後だ……敵が来たぞ!』と言った。
「人間共に近づかせるなぁ!!一人残らず殺すんだ!!」
「させねぇよ!この俺がいる限りこの監獄に入れると思うなよ糞が!!全てを防ぐ圧倒的スキルの力をおもい知れ!『大盾』」
「き……金面様また『奴』です!……中に入れない様に傷だらけの身体で妨害を……」
「くそ……殺しておけと命じたはずだぞ?何故殺しておかん!」
金面の後ろにいた赤面は『その様な指示は……』と言葉を濁らす。
当然だが、その命令は僕とチャタラーが受けていた。
人族の捕まった場所ではなく、エルフ族の方へ先に向かったのだから当然その情報は出回る訳はない。
「くそ……早く殺せ!……捉えた人間だけでも殺して、ユイ王女の心を穢すんだ……そうすれば最低限此処の封印は完成する!ユイ王女は未来永劫此処の人柱になるのだ!!」
僕はその言葉に『ハセガワ君』の事を思い出す。
「あいつ等……まさか……あの技術はエルフ伝来か?……だとしたら………」
僕がそう呟き悪魔の力を解放しようとすると………
「金面様!お待ちを……この私を見てください!!」
戯れに紫の煙を与えた元金面が、突如闇精霊を発現する。
「「「「「「な!?」」」」」」
「精霊力……我々が長年失ってきた……長老達に付き従うしかなかった力……其れを元に戻す手が!!」
それを見た面被一同は驚愕する……
今まで絶望しかなかった彼等に、唯一差し込んだ光を見たからだ。
「元老院の最長老でもなし得なかった……精霊力だと?それも……闇の精霊………闇夜を照らすダーク・ウィスプだと!?」
「我々は最長老に……騙されています!!全ての原因はエルフ元老院伝来の技術……悪意に染まった此処の技術です!此処は実験場ではなく『ダンジョン』であります!!」
その言葉を聞いた金面は元より、一同が絶叫する。
「嘘だ!最長老様は……母と父を助けると約束したんだ!だから私は命令に従った……なのに……此処はダンジョンだと?そんな世迷言を!銀面の癖に……此処はエルフの技術の推を集めた地下施設……『アンダーワールド』だ!」
そう言った金面は仮面を投げ捨て、その半身を露わにする。
身体は信者の服で隠れているが、顔は無惨に半分腐り果ててもはや化け物になっている。
その様は先日戦ったモレクを彷彿とさせる。
「穢れの恩寵……いや……あれは腐敗の恩寵か……腐毒の恩寵……」
「よく知ってるな!これは腐敗の恩寵……元老院様が自ら私達金面に与えてくださった恩寵だ!我が半身を捧げ……母と父の……魔物化した両親を救うため私は……幼馴染である同胞さえ手にかけたのだ!未来を誓った……愛するエルミンでさえ!!」
その言葉で、僕は金面が『女性』である事に気がついた。
既に半分は腐り果て、残す半分は髪も抜け落ち……美女であるエルフの特徴など等に無くした哀れな姿だった為、性別も分からなかったのだ。
「金面様……今なら……今ならエルフとして……死を受け入れることはできましょう!!元金面として……恩寵を受け入れられなかった未熟な私の言葉など聞きたくも無いでしょうが……ですが!!」
僕は会話の最中に、瞬歩で金面の背後に回る。
そして勢いよく悪魔の腕を腐った部分に突き刺した。
「がぁ!?……キサマ………」
「な!?……ヒロ様……お待ちを……せめてエルフとして……最後の時を………」
僕は部位的に悪魔化して、とある実験をする……エルデリアの時に思いついた事だ。
「今からすることは……痛いぞ?しっかり意識を持ってろよ?」
「な?ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!…………」
「チャタラー!!二核持ちのホムンクルスと擬似核を!……アンバーお前も手伝え!」
「チィ……お前……今度は何をするつもりだ……クソッタレ……もうヤケだ。好きに使え!!受け取れ。ホムンクルスと擬似核だ!」
「承知!……しかし主よ……私は何をすれば?」
僕は擬似核を受け取ると、金面を抱えたままアンバーの元まで跳躍する。
「アンバー!お前は俺を信頼するか?」
「我が命は……主人の為に!!」
「悪いねアンバー……ちょっとした冒険を一緒にしよう!」
僕はそう言うと、エルデリアに指示を出した。




