第1126話「傷だらけの戦士・エルデリア」
3話目ですヨォꉂ(≧∇≦)
寝落ち用にどぞー!!_:(´ཀ`」 ∠):Zzz……
「元金面てなかなか情報通なんだね……チャタラー……」
「そうだな……まぁ長老の記憶では無いから問題の輩の記憶とは若干差異はあろうが、歴史問題は間違いてはなかろう」
僕とチャタラーは絶賛乗っ取り中の記憶を元に会話をする。
エルフ族の歴史問題や、面を被る輩の経験は手に取るようにわかる。
エルフ族は長命なので、ある程度の役職に就いたものはそれだけ長生きをしている。
面被りは元老院と太いパイプを持つので、その記憶も正しい。
人族に伝わった内容より遥かに正しい内容だ。
問題はそのエルフであっても『知識に差がある』と言う事だ。
元金面から銀面に落ちたエルフと元々銀面のエルフでは、その知識にはビックリする位の差が見られた。
当然出会うお偉いさんの数も違うし、出入りできる場所の大小にも関わるのだから当然だろう。
「地下処理場……別名処理層か……同族のエルフは勿論、不可侵を約束せし人間も纏めて魔物に変えようだなんて……精霊が離れて行くのも無理はないな。もはや精霊族の恥晒しだ」
チャタラーがそう言うと、身体の持ち主が反応を示す………その言葉にひどく苦しんでいる様だ。
「どうやら『騙された』って感じだね……この肉体の持ち主は……」
「人間もエルフも同じさ!腐った果物が木箱に入っていれば、当然周りも腐る。騙されない様にする為には、相手を盲信するべきでは無いって事だな。見えて来たぞ処理層だ」
入り組んだ通路を進み下層へ降りると今度は臓腑の様な壁を境にして、部屋が仕切られている。
僕は本体を使用して、真上に当たる檻部分から感知を最大にして中を見る。
「左に人間、真ん中に処理層左にエルフか………」
「コイツらの記憶にも合致するな?」
当然僕らの様な侵入方法を経験した事がない面被り達は、外側からの対策はしていない。
処理層内側から破ろうとすれば面被り達の波状攻撃に合うが、今僕達はその外側だ。
「まず…‥危険なエルフ達に話をつけに行くとするか……下手すれば仲違いだがな……」
「チャタラー仲違いしている状況でそれは無いと思う。相手が僕達と会話する気があるかって事が重要だよね?」
僕はそう言うと、門番をしている赤面に挨拶をしてから中に入る。
『ズザザ』
「このエルフの恥晒しめ……自国の王女に何をしたのか分かってるのか!!」
彼等が怒るのも無理は無い。
何故ならこの元金面は、自分の国の姫に弓を引いた反逆者だからだ。
自国元老院に所属する兵の裏切り。
それが理由でユイは拘束され封印されたのだ。
共に国を捨て新たな場所で『森エルフ』としてやって行こうとした矢先の裏切りだった。
当然、その裏切り自体がこの銀面に与えられた任務であることは言うまでも無いが……
僕は銀面のエルフを操りつつ、周囲を隈なく見回す。
臓腑のような壁の内側には面被りは僕達以外には居ない。
奥には痛々しい傷を負ったエルフの戦士が居るが、僕達が入室しても動く気配はない。
ステータスを見る限り、どうやらもう死にかけの様だ。
少しでも動けば死期が早まるだろう。
「奥には……相当手練れだった奴がいるな。傷を負う前だったら正直やばかった」
「それ程までに強いの?……」
「強い……力の殆どを使い果たして、もはや精霊核も破壊されている……未だに核があったなら何かを宿していたと思うほどだ……」
僕はチャタラーのその言葉に『ハッ!』として、歩みを進める……
「くそ銀面が……これ以上エルデリア親衛隊長に何をする気だ!!」
『やはり!!あれは……エルデリア……親衛隊長……彼がああまでなるとは……ユイを助ける為に相当な手傷を………』
僕は彼の部下の兵士と思われるエルフを押し退けて奥へ進む……
「エルデリア!!」
「何をしている………まさか……その死にかけはお前の知り合いか?」
チャタラーが驚きつつ僕の方へ駆け寄ってくる。
邪魔をするエルフの戦士を難なく押し退けているのは、当然中にいるチャタラーの穢れの力が大きいからだ。
銀面の肉体強化にそのまま繋がっているのは言うまでもない。
「エルデリア……何をしている!!ユイを……姫を護るのがアンタの役目だろうが!」
「ぐ……おま……えは……!?」
「僕を見ろ!!僕の目を……忘れたとは言わせない……また再会すると約束しただろう!!」
「何を……言っている……銀面………などに………知り合いなど………」
僕は息も途切れ途切れのエルデリアに話し続ける。
そうしなければ、意識を失ったら彼はもう死んでしまうからだ。
僕はすぐに意識を上の檻に意識を飛ばす。
そしてすぐさま僕自身の擬態を解除した。
「サイキにアンバー緊急事態だ!!予定を変更する。アンバーは俺について来い!!アラーネアは此処の全員を守れ!!誰一人死なせるな命令だ!」
「御意!!」
アンバーはすぐにそう反応する。
僕の態度の急変を見て『想定外の事態』と即座に理解したからだ。
「なんじゃとあ。妾に命令じゃと?」
「文句があるか!!アラーネア」
「ヒャイ!!……む……むぅぅぅ!!アンバー妾を怒鳴らんでも良いではないか……説明も無いから聴いただけじゃ!………守れば良いのじゃろう?守れば!!」
「今から僕はこの檻の床を破壊する!全員巻き込まれるなよ!!」
『バキバキバキバキ!』
僕はアンバーに防衛を半分任せていたホムンクルスの力を解放して、鉄の檻の床面を破壊する。
吹き抜けになっているその構造の為に自由落下するが、その辺りは魔力を操り落下位置をエルデリアの監獄房に移すだけだ。
『ドゴン!!』
落下の衝撃は凄まじいが、ホムンクルスの本体に穢れを纏わせればなんて事は無い。
しかし落下して穢れを使った事で、判明した事がある。
此処は『ダンジョンの中』であると言う事だ。
非常に濃厚な穢れを回収出来たことが、その証明である。
しかし今は、そんな状況判断よりやる事が別にある。
僕は急いでエルデリアに元に駆け寄るが、当然檻を破壊されて金面や銀面が騒ぎ始める。
「チャタラーにアンバー!入り口を固めろ。入る奴は八つ裂きで構わない!!」
「御意!」
「チィ!折角潜入したってのに……後で事情を話せよ!!」
その言葉に檻の方にいたチャタラーも、アンバー同様女性擬態のまま檻から飛び降りる。
僕は入り口の事をアンバーとチャタラーに任せて、エルデリアに方に集中する。
「エルデリア!!俺を見ろ!」
「だから……俺には……銀面に……知り合いなど………」
既に意識が飛び掛かっているエルデリアには、今の僕が銀面に見えているようだ。
「エルデリアよく聞け……お前が護る相手は誰だ!!」
「なんだと……ユイ様に……決まってる……」
「ならば眠らずに護れ!!それが親衛隊長だろうが!目を瞑らず俺を見ろ!!エルデリア」
「銀面の……お前に……ユイ様を……裏切った……お前らに………」
「そうだ!怒れ!怒りは力を呼び起こす……眠る暇があったら怒って……ユイを護れ!新鋭騎士団長エルデリア………」
「怒れだと?………我は死なん!!ユイ様を……ユイ・エルドリアン・ディープ・フォレスト様を……次の王妃にする迄は絶対に死なん!!」
僕は悪魔の腕をそのまま傷に押し当てる。
当然エルデリアは苦しむが、そうする事でしか出来ない事がある。
出来ない事……それは『エルデリアの中の精霊核を再構成する』事だ。
僕はカサンドラの見様見真似でエルデリアの中の精霊核の破片を集める……
「くそ……破壊された部分が大きすぎる………チャタラー!!ヘルレイザーの擬似核をひとつくれ!」
「チィ……ヒロ貴様………悪魔遣いが激しいぞ!!……仕方ねぇ……受け取れ!!………」
僕はチャタラーの投げた擬似核を受け取ると、そのままエルデリアに腕ごと突き刺した。




