第1117話「悪辣貴族の暗部達」
ふおー!\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/3話目でガンスー!予約でヤンスー!
前回までの手違いは……
全てを伝えきれずにいた主人公……
チャタラーの一言でサイキの中に居た、イーザ龍剣術が花開いたのだった。
そんな中、ダンジョンコアの詳細説明が始まった。
説明の最後にとんでもない爆弾を秘めていたが、問題はそれだけでは無かった。
アリッサ一行は、チャタラーとアンバーの脅威を目の当たりにする。
彼等が敵だったならば、アラーネアの言う通り誰も生き残れないのは当然な程に、その動きは素早くそして恐ろしい程に残忍だったのだ。
「ちぃ!……コイツら……あの侯爵の手の奴らか………」
「って言うか驚いたね……放り込まれて72日?あたしゃよく生きてたな……」
「その謎解きは簡単だ。ダンジョンでは特殊条件が働く。『移動カウントダウンの即死』『体力減少』『ヒットポイントの減少』それらが起きなければ死の条件は回避され死なない。地上で大怪我を負っても、ダンジョンに入れば別ステータスが働く……何故なら此処は穢れの世界の入り口だからな!」
「地上バッドステータスはリセットされんのかい?……じゃあ……あたしが逃げ回って……一度でも地上に出てたら?」
「あの傷だ……刹那も持たず即死だろうな?傷は開き、膿んで肉の一部は腐敗していた。そう言えば……此処の要塞の主が腐敗とかの烙印持ちだったな。それも影響しているからお前は死ななかったのだろう。眷属……腐敗の剣士として選ばれた証だ」
「腐敗……アリッサが?碌でも無いな……だが……全てはこのクソ野郎の雇い主が原因だな……」
僕はそう言ったグラズの言葉を聞き、闇に潜んでいた兵士達の事を見る。
スタッド・レザーの鎧に刻まれた刻印は例の侯爵様の家紋だったのだ。
「イーザを見殺しにした奴が……アラーネアを利用して、アリッサを傷つけたと?」
「待って!……イーザを見殺しって………まさか……ゴールドマン家の侯爵なの?…………私達を襲った?」
「襲った?アイツが……皆を襲ったの?」
僕はあまりの内容に驚き声を上げる。
今分かった事だが、ダンジョンコアのリンクは僕の感情で、強制的に主導権を変えれるらしい。
「そうよ……私達はローズガーデンに始めは居たのでも……ヒロの話でジェムズマインの街の話を聞いたでしょう?だから詳細を伝えに行ったのよ」
「そうなんです……そこで私が余計な真似を………」
シリカに何かと聞いたら『錬金術師』と言う事を明かして、僕の代わりに街に尽くすと言っていたそうだ。
「そんな事で彼等は信じたの?」
「いえ……街のテカーリンギルドマスター達やヒロ様にゆかりがある人は信じてくれましたが……王国の貴族達は……」
僕は『そりゃそうだろう』と思ったが、サイキとアリッサの説明で状況が一変した。
アリッサ達パーティーの安全は、アラーネアに頼んで王国の彼女の巣にした。
其処ならば襲う馬鹿はホリカワ以外いないからだ。
その上アラーネアは国王との約束で王国内部を特殊状況下では自由移動できる……彼女の帰還は国王を驚かせつつもスタンピード対策には強い味方になったと言う。
その結果、アリッサ達は王宮に迎えられた。
当然彼等の安全関係もあり、王宮の王族護衛兵としてだ。
皮肉にも時を同じくして、ジェムズマインでシリカがやらかしたそうだ。
しかしシリカの行動は、違う意味で王国悪辣貴族の目についた。
何かといえば『偽証罪』であり、『偽物』扱いで断罪すると貴族達は言っていたそうだ。
その貴族達の発した情報は、当然国王の護衛兵であるアリッサ達にも聴こえてくる。
何故なら王の間に彼等が居るのだから、どう間違ってもう聞こえないはずがない。
此処で第二の問題……アリッサが偽証罪を回避する為に暴露した。
僕が生きていた事を明かして、起きた事を悪辣貴族達へも全て話したのだ。
その所為で僕とアリッサの約束や、サイキの一件でアリッサがアラーネアの保護者という立場まで理解してしまった。
国王並びに国王派の貴族達は大喜びしたが、悪辣貴族とは新たな戦いが始まった。
戦いの内容……即ち議題は、ダンジョン踏破にアラーネアを使う問題だ。
当然だが反対する王族と、自分の理を求める悪辣貴族の戦いは熾烈であった。
そこで悪辣貴族達は、噂の錬金術師・シリカの確保に動いたそうだ。
シリカの弱みはサイキと分かってしまった以上、拉致は簡単と思われたのだ。
その情報を得たアラーネアとアリッサは、ギルドを通じて危険を通知したがそれが更に悪手だった。
何故ならギルドには当然、悪辣貴族の息がかかった者がいるからだ。
中身は当然悪辣貴族の有利な方へ書き換えられ『サイキとシリカは呼び出された』という形になる。
自分から出向いた訳ではなかったのだ。
仲間を率いて来た騎士団に拘束された二人は当然『偽証』という烙印を押される。
王都から離れた場所だから、唐突に起きたその事件は王も知らなかった。
そもそもの話だが、王が自分の手元にシリカとサイキを呼び寄せなかったのには、ちゃんとした理由がある。
何かといえば当然『ファイアフォックスとエクシア』だ。
エクシアがサイキと仲良くして、サイキはユイナやソウマと仲が良い。
ミクとは親友の素振りさえ見せていると『暗部』から報告を受けたのだ。
当然その結果から、王が予想するのは『サイキは異世界人』ということだった。
ならば『シリカもでは?』となるには時間はかからない。
何故なら異世界名義的に『妹』だからだ。
『ならば………サイキとシリカを王国内部で確保するのは愚策』となったという訳だ。
国王は秘密裏にアリッサへ命令を出した。
『サイキとシリカの状況を確認する様に』という事だ。
何故なら暗部は『悪辣貴族の動向』も注視していたからだ。
しかし残念な事に先に行動を起こしたのは悪辣貴族であり、最大派閥のゴールドマン家だった。
当然アリッサは急ぎ駆けつけ彼等に逆らったが、相手の手の内にはシリカとロナ・ウルグスで親友となったサイキがいる。
逆らう事で彼女達は危険に晒されるのは目に見えている。
結果、アリッサとアラーネアは悪辣貴族の手に落ちた。
その後アリッサパーティーとアラーネアそして、シリカとサイキはダンジョンへ連れて行かれたと言う訳だ。
おそらく悪辣貴族のゴールドマンは、国王陛下とその一派へ『アラーネアは快く引き受けてくれた』とか言ったのだろう。
結果偽物情報を調べた国王は、アラーネアとアリッサそしてサイキとシリカを助けるべくダンジョンへ身を投じ、結果崩御したと言うわけだ。
小さい差異情報だが、アリッサがシリカのことを仲間と知り得たのはサイキの通知が元の様だ。
何故なら、アリッサは先にアラーネアによってサイキ達とは離れている。
そしてアリッサが知っている知識は、氷洞穴内で遭遇した『シリカは敵』までの情報なのだ。
その欠落部分を補う為の情報を知り得る方法は、僕が居ない以上はサイキの報告以外無いのは分かっている。
その上アリッサの居場所は、氷穴移動前の氷洞穴でサイキも耳にしている。
何故ならサイキもアラーネアに一緒に連れて行ってもらう筈だったからだ。
◆◇
「マジか……自分で情報を整理したけど……酷いにも程があるな………」
「そうじゃの……まさか妾を助けにきた国王が傷を負って崩御するとは……王妃ポラリスと娘達のシリウスにカノープスは……乱心してないと良いのじゃが……」
「どうするの?……此処のダンジョンを踏破したことが分かれば……陛下不在の今……王都は滅茶苦茶よ?」
「でもお姉様……ヒロ様にはもっと大切なイーザさんのことがあるんですよ?」
「それだけでは無いんだがな………」
チャタラーがそう言うと、全員が注目する………
「それだけでは無いんだ?って……どういうことですか?チャタラー様………」
「私が話して良いものか?ヒロ………」
「何の話?エルフ国?それともドワーフ国?まさか……帝国問題?……あ!お願いしてた正体不明の魔物突発事件?」
「お前の龍核と精霊核の問題は忘れたのか?それにフローゲルの墓所の件も……そもそもその為に此処にサイキとシリカを探しに来たのだろう?」
僕は『あ!』という顔をすると、呆れた様にチャタラーは『お前らしいよ……』と笑った。




