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第1105話「戦場の戰姫・イーザの窮地!?」

本日安定の3話目更新death( ˙ ꒳ ˙=˙ ꒳ ˙ )


前回までの手違いは……


王都郊外のダンジョン前まで歩を進める主人公とアンバー。


正門に陣取る民衆が邪魔であったが、トレントキングのアンバーの覇気は凄まじかった。


戦場に到着するとそこには懐かしい顔、ハラグロ男爵が居た。


既に爵位は男爵から伯爵に代わり、貫禄も増していた。


しかしハラグロ伯爵との会話中に聞いた、戦士団から逃げて来た冒険者の一言で更に状況は悪化するのであった。


 アンバーが語った内容は、非常に深刻な報告となった……



『あの要塞の主は我々を感知している様です。だから入り口に魔物を集中させ、王都諸共我々のホムンクルスの素体を破壊しに来たのでしょう』



『それって……素体でも死ねば本体に影響が出るって言う……アレ?』



『ええ……ヘカテイア様とマモン様がそれを確立しました。その情報は既に悪魔達が知る共通情報ですから!』



『それって……僕らの情報が筒抜けで……そこを狙って来た魔王か悪魔がいる……って事なの?』



 アンバーは『筒抜けと言うより、ダンジョンの第一階層は地上も含む』と言い始める。


 幾つかの小高い丘にまでダンジョンの根を増やしている、王都のソレはもはや第一階層は地上にあると言っても過言ではない様だ。


 それだけに巨大なダンジョンであり、非常に長い時をかけて構築した『人間を破滅に追いやる罠』だとアンバーは説明した。


 ダンジョンは人間の欲望や恐怖を糧に大きくなる。


 しかし王都付近にダンジョンがあると知られたのは、そう昔ではない……


 なら『何故ここまで巨大になったのか……』と言う部分が意味する点は重要だ。


 

 その情報の多くは恐らく『王国貴族』にあるだろう……



 その事を考えつつも、『今はまだ助けられる命を救うのが僕の役目』だと視点を切り替える……


「冒険者さん!その場所は?」



「アンタ……行ってくれるのか?なんとかぶん殴って気絶させてでも彼女を救ってやってくれ!これ以上彼女に地獄を見せないでやってくれ!!」



「!?………これ以上彼女に地獄を?…‥どう言うことだ!?」



「イーザさんは死地にここを選んだんだ!!『最後に自分の手で生まれ故郷を守るんだって!!』遠征軍の中でずっと言ってやがったんだ!」


 その言葉に僕は『まだあの事を……10年近くになるのに!?』と心を痛める……



 それだけ彼女は『気に病んでいた』のだ……



 彼女が『ジュエルイーター戦に送り出した冒険者達』は『不浄な想いから送り出したわけではない』と言う事になる。


 言葉で言ってた事は気持ちと裏腹で、ミオへの当てつけでもなく純粋に街を救いたかったのだろう。



 自分が戦えないのであれば、そうであるほどそれが出来る他者へ依存せざるを得ない。



 今目の前にいる彼は『その事情』を『僕より、尚より深く理解している』のだろう……



「アンバー!急ごう……このまま話していたら間に合わない!!」



「御意!」


 僕の言葉にハラグロ伯爵は『暫し待たれよ!我々騎士団も同行するゆえ!』と言うが、隊列行進などしていては間に合うものも間に合わない……



「ハラグロ伯爵様、申し訳ないですが……貴方達騎士の『進軍速度はカメ並み』です……それでは助かるはずの命が……もたない!」



「く………流石……韋駄天の弟子で……ヒロの関係者だな!!貴族の上役相手に言い難い言葉を平然と言いおるわ!!……だが……充分言いたいことは理解した」



 ハラグロ伯爵はそう頷くと『騎兵団今すぐ出発の準備を!歩兵団は第二指揮官の指示にて行動……』そう簡潔に指示を出す。



 するとリーダーと思わしき人物達が忙しなく動き始める……



「全兵士にハラグロ伯爵より通達……『無駄に命を落とすなよ?王都防衛は始まったばかりだ!』との事だ!」



 指揮官数名が自分の兵にそう語りかけると、否応無く指揮が上がっていく……そして周囲で雄叫びがあがった。



「「「「うぉぉぉぉお!!」」」」



「ハラグロ騎兵団は直ちに進軍する!目標は『新手の魔物』だ!楔型にて突撃し反転し距離を保つ!ハラグロ伯爵様の御命令だ……誰一人死ぬな!」


「歩兵団は装備と回復薬を装備!準備が出来次第、騎兵団を追い進軍する!」


 僕の移動準備と共に、第一陣幕で進軍準備をしていたハラグロ伯爵の騎士団の運命が大きく動き出していた……



 ◆◇



「アンバーにハラグロ伯爵……大凡1キロ先に魔物の群れ……。数は‥‥120………おそらく新しく湧いたという目標は……アレだ!」



「はい……確かにそうですね……どうやら中には上位個体も数体混じっている様です。土系魔物が殆どですが、魔獣も混じっている様ですな!」



「ぬ!?1キロ先に?……確かに土煙は確認できたが……あの距離を『感知』など………」



 並走するハラグロ伯爵騎馬はプレートメイルを取り外した、主に伝令に使うタイプの紙装甲の馬だった。


 そうしないと僕とアンバーの脚力にかなわないと判断したからだ。


 騎兵隊の反対を押し切り勝手について来た伯爵は、昔の佇まいより幾分か逞しくなっている。



 悪辣貴族の様な醜い恰幅ではなく、戦士としての筋肉量の増大……それだけ王都の防衛戦線を維持して来た証だろう。



「それにしても恐れいったわ!この馬でもついて行くのがやっとか………流石金級冒険者韋駄天の弟子だな?」



「馬上で口を開くと舌を噛みますよ?……まぁ……その件に関わる詳しい話は後にしましょう!」



 そう話を終わらせた理由は簡単だ……


 僕の目には、地面に膝をつき空を見上げるイーザとその周辺で戦う冒険者を見つけたからだ。



 ◆◇

 


「感知に……反応?……人と並走する魔物?……アレは……悪魔っ子か?……って事は援軍?……イーザ!援軍だ!!テジンが悪魔っ子を呼んできた様だ!もうちょっと踏ん張れ!」



「援軍?……あれ………帰ってきたんだ?あの人……。いつも突然………皆のピンチに来て……助けて回る変な奴……」



「何言ってる!?来たのはヒロじゃねぇ……!女2人とまだマシな方の貴族……ハラグロだ!しっかりと現実を見ろ。生きるのを諦めるなイーザ!!アンタはそのヒロって奴に『命には使い道がある……』そう教わったんだろう?」



 僕のホムンクルスに耳に聞こえた、男の罵声にも似た応援とか細い声……片方は聞き覚えがあり、間違いなくイーザの声だ。



『ゴガァァァァ!』



「クーレ!!オウガの攻撃をいなせ!俺が仕留める!!血族スキルを使いすぎたイーザに戦闘はもう無理だ!!」



「まかせろ!!ぐ………?脚が………くそ……この触手……地面に穴から……リーパーだと?」



 連携を崩され、僕の目の前でオーガの凪払いを受ける冒険者と、リーパーにからにつ絡みつかれる冒険者……



「アンバー!!オーガとリーパーの雑魚を始末しろ!そして冒険者とイーザを守れ!!僕は飛び越えて目前の有象無象を始末する!」



「御意!」



 そう指示を出した後、僕は瞬歩で一気に加速する……



『瞬歩!!』




「焼けて灰も残すな!!ダンジョンのウジ虫め………『フローガ・ウズルイフ・デスプロージョン!!』………」



 悪魔の形をした紅蓮の焔が、漆黒に燃え盛る焔の大津波を起こし目前の魔物を尽く焼き尽くす……



『ギィィィィィ!?』



『ごあぁっっっっ!焼ける……この焔は骨まで……ぐぎゃぁぁ!!』



 魔物断末魔があちこちで木霊する……


 どれも似た様な『人語』では無い叫びだが、中にはオーガの様な『知的な個体』も混ざっている様で稀に恨み辛みを吐き出していた。



「な!?………アレだけの魔物の群れを一瞬で?………お前達は……。それに瞬歩だと?……それを十八番にする奴は………ま……まさか?」



「ハラグロ男爵今は後にしてくれ!イーザさんが……一刻も猶予がない彼女が先だ!」



「わ……分かった!!」



 僕はそういうと『女性の姿のまま』イーザに駆け寄った………


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