第1101話「王都へ! 」
安定の更新のお時間!
確認できました!安定して更新できてますねꉂ(≧∇≦)
前回までのお話。
キリ良く閑話で締めました!
今回のお話から『RE!王都編』が再開します!\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/
僕は朝靄の中、ローズガーデンの主要メンバーに挨拶をする……
その理由は当然、ダンジョンに取り残された仲間サイキとシリカそしてアラーネアの救助であり、悪辣貴族殲滅の為に王都へ向けて旅立つからだ。
悪辣貴族殲滅というが、別段殺し回る訳では無い。
彼等の爵位を剥奪するのが目的である。
現時点では陛下が崩御され、次期国王陛下選出で揉めている様なのだ。
目の前にダンジョンがあり、スタンピード中なのにとても悠長な事だと感心してしまう。
貴族の状況次第では『一回全てを破壊してやり直す方が民衆に為かもしれない……』とマモンとヘカテイアが言っていた。
単純に今の信奉対象を、龍族から自分達へ切り替えたいだけなのが見え見えなので、僕の判断で『即決却下』をした。
「では……王都のダンジョンまでちょっくら遠征に行ってきます!あれだけ大きいダンジョンだと、ダンジョンコアも気になるし!」
僕は悪魔の情報は漏らしてないが、気になるダンジョンコアの話は冒険者らしく付け加える。
「おいヒロ!!お前俺たちラビリンス・イーターの分までしっかり働けよ?俺達はお前の企みの所為で行きたくても行けねぇんだからな!」
「馬鹿なバームの事は放っておいていいわ!このローズガーデンの街営ギルドの切り盛りは私に任せて!安心して行って来な!」
バームの馬鹿っぷりと奥さんになってより一層しっかりとしたクーヘンの、姉さん女房さに若干押され気味だが……間違いなく街は安全だろう。
「クーヘンさん!お子さんが安全に過ごせる街づくりをお願いします!バームさん脳筋だから考えなさそうなんで!」
「アッハッハ!違いない!アタシに任せておきな!でも……罷り間違っても死ぬんじゃないよ?」
「クーヘン!?お前馬鹿だなぁ……ヒロは殺してもしなねぇよ!そういう奴って稀に冒険者にいるだろう?冒険者としてはどんな危険な場所でも死なねぇのに……街で嫁に刺されて死ぬ奴!」
クーヘンは『それはお前だよ!浮気したら……股間にブロードソードブッ刺してそのまま置物にするからな?』と睨みを効かす。
どうやら力関係は健在の様だ。
町長とイスクーバに街の全権を委ね、僕とアンバーは一路ダンジョンへ向かう。
当然2人で潜るとは言えないので、仲間は先に向かっているとしてあるのは言うまでもない。
「領主様!もう街からはかなり歩きました。此処らで馬から降りて一気に走りませんか?」
「そうしたいところなんだけど……この周辺は元ウィンディアさんの領地でね。今はシャインのお兄さんが治めてるんだ。多分騎士団が見回って……あ!ホラ!!」
そう言って指差した方向には、爵位を拝命したテイラーの騎士団達が領内警備をしていた。
「そこの女達止まれ!!冒険者の装いだが……二人で何処へ行く?」
「私はローズガーデン及びジェムズマインの領主様から騎士爵を拝命したテールです。此方はお付きのアンバー騎士団の一員です。王都のスタンピード対策として向かう所で、領主様からはその件について領内通行許可は得てますが?」
僕はヘカテイアから教わった擬態魔法で女性に扮している。
当然元の姿であっても問題は無いのだが、人の目につけば悪辣貴族達が警戒しないとも限らない……
あくまで僕は戻ってきた体を装い、長く放置したローズガーデンの運営にかかりっきりという姿でなければならないのだ。
なので当然街の中でも『今は忙しいので、他者との面会はしない』という小細工を徹底してもらっている。
しかし流石に相手はテイラーが率いる騎士達だ。
すぐさまその様子を伺いにきた。
「な!?領主殿から騎士爵を拝命!?という事は……ヒロ侯爵様が自領へ御戻りになられたのか!?……すまぬがヒロ侯爵様の安否について詳細をお伺いしたい!我が主様に報告せねばならんのでな!」
「詳しくは申し上げられませんが……今は長旅からの帰省で酷くお疲れに……当然それなりの怪我も負ってますし……。問題は男爵の爵位から侯爵になられた事と、自領の管理を一日では何も出来ないという事ですね。当然誰とも面会をなさりません」
「では何故騎士様は爵位を?」
「私とアンバーは遠方でヒロ様に拾われ、この数年特訓していただきました。ヒロ様は王都のダンジョンを気にされてますが……何分自領管理があります故。代わりに私とアンバーを向かわせた次第です。王都の事を考えればテイラー様も同様では?」
そういうと騎士団は僕が乗る馬のすぐそばで跪くと『お役目ご苦労様で御座います。引き止めてしまい申し訳ございません』という。
「テール騎士様。我々、鉄鎖騎士団が領外まで補佐致します。自分の兵と思いお使いくださいませ!」
僕は彼等ならそう言うと思い、アンバーには無理をさせないでおいたのだ。
「ええ……それでは自領境界線までお願い致します。戦闘は時短のため我々が行います故、手出し無用にてお願いします。素材の占有はそちらにお譲り致しますので」
「め!滅相もございません!この周辺ではジャイアント・マンティスやグレート・ボア、プラント・アナコンダなど出るのです。お二人でなど……」
騎士がそ言うとおあつらえ向きに翅を唸らす魔物が近づいてくる。
肉食のジャイアント・マンティス三匹の群れだ。
「く!言った側から……ジャイアント・マンティス三匹か……騎士団は前に!!盾組め!!仲間に援軍要請!狼煙を………」
リーダー騎士がそう言った瞬間、会話にアンバーが割り込む。
「お前ら邪魔だ……カマキリ風情にビビる奴があるか!」
アンバーはそう言うと、騎士達の身の丈も有る大きな棍棒でジャイアント・マンティスの上半身を薙ぎ払っていく……
素材は当然自分の素材である、ダークトレントの高強度樹皮で作った物だろう。
見かけは凄く美人なアンバーだが、中身はトレントの魔王なので発する言葉と外見がチグハグしている。
そして華奢な身体から繰り出される一撃、はもはや場違いである。
しかしそれを考えたら負けだ。
「主様、戦闘は速やかに終わりました。先を急ぎましょう!こんなんでは朝日が登ってしまいます………」
「そうですねアンバー。早く行かねば……。もしその素材が必要ならこの場にお残りを……。魔物の遺骸は他の魔物の餌になりますよ?我々は先を急ぎます故……それでは……」
そう言って僕はその場を後にする。
騎士団の一人は狼煙をあげてしまったので『あたふた』して消すべきかどうか悩んでいる。
リーダーは『自分などお荷物だ』と理解した所為で本来の『同行任務』を忘れた。
最後の一人は、『魔物の遺骸が他の魔物の餌になる』話を聞いた所為で、燃やすべきか穴に埋めるべきか、放置して同行するべきかを悩んでいる。
そんな彼等を放置して、警戒速度で馬を走らせる。
今全速力で走れば当然全員が追ってくるのは間違いない……
だからこそ悩む隙を与えているのだ。
◆◇
「上手くいっただろう?アンバー。この人間の世界にも色々面倒が転がってるんだよ!」
「全速力で走れば……人間などついて来られないのでは?」
そう言うアンバーに僕は『警戒されれば、彼等の領内では動きにくい』と説明をする。
目的の問題点が『気がついてない』と勘違いしてくれていれば此方はやり易い。
しかし万が一警戒されて鼠穴にでも隠れられたら、通路がわからぬ僕達ではもう見つけられない。
アンバーは『周囲丸ごと破壊すればいい……そうすれば問題ごと無くなる』と言うが、『それは精霊の考えでは既に無いよ?』と諭すと我に返った様だ。
「自分はダークトレントになった実感がします。以前では出なかった破壊衝動……それを普通に口にしてました……」
「モンブランの事を考えつつ発言したらどうかな?彼女だったら何が嫌がるかとかさ?」
そう言うと、アンバーは『成程!それがマモン様が言ってた抑止力か……』と言うが………何を話していたのか凄く気になる内容だ。
しかしアンバーはその件を話そうとはしないので、おそらくマモンとの何か約束を交わしたに違いない。
『僕と居る条件もしくは派閥に入る条件』と言った所だろう……




