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第1094話「大問題発生!?」

更新なのですぞー_(:3 」∠)_


これが予約であればまだ病院ですw




「僕が王都に行ってる間は連絡役を頼んだよ?何かあったら知らせてね?」



「え?……あ……ああ!任せておけば平気だよ。ベロニカはマーキングしてある。何かあればすぐに向かえるし、危険だったら黒穴で避難させるさ」



 そう言ったヘカテイアはあからさまに様子がおかしい……



「ヘカテイア……悪魔っ子なら朝食の時と夕食の時に宿屋に行く。彼等を送り出したから、今から僕もその宿屋に挨拶に行くから一緒に行こう。もしかするとまだいる可能性があるから……」



 僕はヘカテイアと悪魔っ子が見事にすれ違っていた事を思い出す。


 そのタイミングは分刻みでずれていた。



 お互い1分長くいれば、その存在を確認できた筈なのだ。


 

「………なんか……気にかけてもらってすまないね………」



「僕はそもそもヘカテイア達に命を救われたんだよ?これからも頼る事は多いんだ。核の再移植も自分では出来ないんだから……」



 僕が『だから気にする必要はない』と言うと、珍しく力無く笑う。



「さぁ、久々の『陽だまり亭』へ行こう!ヘカテイアには悪魔っ子の件、僕にはアリン子に事もあるからね!」



 ◆◇



「おお!?噂には聞いておったが………領主になられてまだ一度もご挨拶できてなかった!生きているうちにまた会えてよかったよ!」



「随分と留守にして申し訳ない……アリン子の世話も大変だったでしょう?」



 僕がそう言うと、亭主は渋い顔をする。



「領主様のテイムした魔物じゃからな……問題はない筈じゃが……些か問題というか……大問題になっておるんじゃ……」



 そう言った亭主にヘカテイアが詰め寄る。


「悪魔っ子は?もう食事を済ませたのかしら?」


「ほ?どちら様かな?稀に見かけてた気がするが……現れてはすぐに消えるお方と認識しておるが……悪魔っ子とな?今日はピクニックだからお弁当にしてくれと言われておってのぉ……もう早朝に渡してもうたので、夕飯までは来ないぞ?」



「そ……そう……じゃあまた夕暮れ時に来るのね?分かったわ……」



「領主様の知り合いじゃろう?ならお前さんの飯も用意しておこうか?その様子だと……うむ何も言わん方がいいな……耄碌爺と喧しい戯言になってしまう……」



「うふふふ……じゃあお言葉に甘えるわ。あの子が来るか、夕飯ができたらこの鈴を鳴らしてくれるかしら?何処にいてもわたしには音が届くから……」



 そうヘカテイアが言うと、宿の爺さんに一つの鈴を渡す。


 死の女神ヘカテーを模した細工がある、黒金製の鈴だった。



「さて、じゃあ問題の巣穴に行くかの……坊主覚悟しておく事じゃの!……おっともう領主様じゃったな……」


 僕たちは陽だまり亭の亭主を先頭にして、ジェムズマインの地下にあるトンネルアントの巣に降りる。



「おーいアリン子良い子にしてたかい?」


「領主様……呼んでもアリン子は来ませんぞ?今は歩けませんのでな……」



 僕はアリン子が大怪我をしたのかと思い、急いで巣の奥へ進む………



「お爺さん!道はどっち?右?真ん中?左?それとも下?」



「えっと……右行って下行って左から真ん中に回り込んで……ありゃ?違かったかの……左から真ん中で……そのあと下?」



 僕は『そのあと下?』の疑問系にもはや爺さんも区別がつかないと把握した………



「く……アンバーを連れてくればよかった……『根』のスキルで……」


 そう言いかけた瞬間、奥から何かの気配を感じた。



「と………トンネル・アント!?お爺さん避難して!!他の巣とくっついてしまった可能性があります!!」



「待ってくれ!あああ!ヒロ殿待ってくだされ!あれはアリン子の家族ですじゃ!恐らくは足音を聞きつけて儂等を迎えに来たのでしょう。」



 僕はその言葉に驚きが隠せない……アリン子の家族という事は、アリン子が結婚して繁殖をしている証拠だからだ。



「キチキチキチ……」


 トンネルアントが何か合図をしたのか、爺さんは『ヒョイ』っとトンネルアントの背中に跨る……



「ヒロ様も蟻の背に乗ってくだされ!かなり遠いので乗ってないと最奥部へは出られませんぞ?」



「そ………そんなにトンネル拡張したの?……伸ばしすぎでしょう!?」



 僕は驚きつつも蟻の背中に乗る……


 進む事10分あまりで、最奥部に辿り着いた。



 蟻の歩行スピードは人の歩みなど比べ物にはならない……その10分なのでかなりの距離であり、深度となる。



 僕は途中で進むべき道を見失い、記憶できなくなってしまった。


 アリの巣は複雑とはいうが、まさにその通りだった。


 

 王国のダンジョンへ行く前にこの場所に入って本当によかったと思う位だ。




『キチキチキチ……主……ヤット帰ってきた。待ってた!アリン子は沢山家族出来た………』



 ね……念話が奥から……アリン子?が人間の言葉で念話?



 僕はそう思いつつ光の魔法で光源を作る。



「な?なんて大きな……空間………これを全部アリン子が?」



『私じゃ無い。子供達が作ってくれた……私と主の隠れ家。外で何があっても此処なら外敵が来ない!火龍のブレスも熱が届かないから焼かれない』



 その言葉に奥を見ると、かなり大きい蟻の個体が居た。


 前に見たクイーン種なので、クイーンで間違いない立派な佇まいだ。



 言葉に驚きが隠せないが、それよりもっと驚いたのが、クイーン・タイラントであったアリン子が『クイーン』即ち女王蟻になっていた事だ……。



 アリン子……クイーン種になったの?



『180日位前突然クイーンになった。主の力が沢山流れてきて変質してあっという間にクイーンになれた……』



 僕はその事を聞いて、180日という事は大凡復活した時期と合致すると理解した。



『私嬉しい……主が私と同じ魔物の眷属になった。それどころか魔物を統べる者……偉大なる魔王種になった。多分私が変われたのはそのおかげ』



「って事は……180日で家族が大きく増えて……巣が大きくなったって事?」



『そう……おかげで娘もできた。主の力の塊を元に私が作った娘……3匹の娘を紹介する。おいで?娘のアリン子達………』



 その呼びかけに、『娘達には、魔物なりの名前くらい付けてあげれば良いのに……』と思ったが、魔物に名前の概念は無いので『仕方ないのか?』と思いつつ、部屋の奥を見る。



『すたすたすた………』



『『『偉大なるお父様、はじめまして!』』』



 念話の声を揃えてそう言った様に驚かされるが、それ以上に驚くことがあった……



「…………え?なんで……人型なの?見た限り二足歩行して……人型だけど?本当にアリン子と同じトンネルアントなの?それもクイーン種?」



『私が変質した後に生まれたから……主の魔素の影響を多く受けて人型になったんだと思う……他の個体はトンネル・アントのままだから、多分クイーン種だけこうなるのだと思う』


 そのセリフに僕は一体何匹の眷属になったんだろう……と思ってしまう。


 真上に人の街があるので、餌場と考えないで欲しいものだが……



「アリン子……まさか人間は襲ってないよね?」



『お爺ちゃんに農業教えてもらった。今はトンネルアントマイタケに、アントナメタケ、アントタマゴタケを作ってる……お爺さんがそれを野菜と交換してくれるから餌が沢山……』



 その言葉を聞いて、おじいさんはそっぽを向く。



『お爺さんはそれを街で売って、お肉を買ってきてくれる。お肉は森で魔物を取るかお爺さんにお願いする……』



 僕は『成程………此処はダンジョンじゃないから穢れが一定以上溜まらないのか……』と感心する。


 魔物とて穢れを発するが、野良の魔物はダンジョン種と比べて人のそれと比べては若干多いだけだ。



 その事実に気がついたのは、僕が悪魔兼魔王種になり、実際ダンジョンに関係のないアリン子を目で見て確かめたからだ。




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