第1093話「駆け引き!?ロズとベンのモヤモヤ」
本日3話目でーす( ˙ ꒳ ˙=˙ ꒳ ˙ )
前回までのホニャララ……久々にやりたいと思ってる頃かもw
「ぐ…………でも最下層に到達は無理じゃねぇか……」
「その場合戻ってくればいいだけだろう?今は『救出』が目的なんだって!そもそもアラーネアとヤベェ力を得たヒロだよ?ある意味二人がゴリ押しすればダンジョン自体ぶっつぶれる可能性も見えてんだ」
それを言われたロズとベンはお互い顔を見合わせる。
しかしベンはまだごねている……
「後な……ヒロの話はそれで終わりじゃ無いぞ?」
「まだあんのか?ゲオルなんだよ……」
「エルフの姫さん方の話だ」
そう言ったゲオルは、僕の言いたいことを先読みして伝える。
姫様のお付き合わせて50名と仮定した場合、3人の姫様なので総勢150名が全て忽然消えたことになる。
実際はもっと多いかもしれないし、既に少ないかも知れない。
その状況で責任感の強い姫達が家臣を守らない筈がない。
戦える兵士は戦わせるが、戦闘が出来ない女性や子供は自分が助けに入るだろう……と。
その上、彼女達三姫が消えたのは、サイキやシリカそしてアリッサ達よりも遥かに前だ。
その彼女達の行方を探索し、下手すると姫達だけでも救出しなければならないのだ。
それを急造パーティーででやれば絶対失敗するだろうと……
だからこその手慣れた4人での探索だと言う。
無理に攻めず現時点の居場所をチェックし、チャンスを待てる4人で功を焦らない組み合わせだと。
「くそ……そんな駆け引き……きたねぇよ……」
「駆け引きじゃ無いですよ……全てにおいてもう時間がない……。ドワーフ国と帝国のスタンピードを視野に入れれば人員不足です……ファイアフォックスのメンバーが全員いればと思うほどなんです」
そう言ったことでベンやロズだけでなく、全員が僕が成そうとしていることを理解した。
「僕とアンバーの任務は探索だけど場所が限られてる。ですがロズさん達の任務はそうじゃ無い。それも下手すればエクシアとユイナが敵側になる……」
「なんでだよ?あの二人は国の………あ!?………」
僕はベンに理解できたかと尋ねる………
「国が駐屯地まで作ってる相手を救うからか………だからエクシア姉さんを敵に回す可能性が………」
「多分そうならないとは思いますけどね?知り合いを国の上層部の意見で見殺しにするとは、エクシアさんの場合あり得ないかと……」
「じゃあ………」
「ロズ………それでも一線交える事になるってヒロは言ってんだよ。アタイ達がエクシア姉さんへ弓を弾く形でね!」
「マジかよ…………」
「ベン……仕方ねぇよ……俺たちは姫さん方とは仲間だって誓った間柄だぜ?エクシア姉さんだって、元々救う気で遠征に参加してんだ……。場合によっては姉さん相手でも一時的な交戦はやむなしだ……」
ザムド公爵はその言葉を聞いて『私が内密に手を打っておく。もし悪辣貴族が何かをしようとした時のためにな!』と言ってからウィンディアとマックスヴェル、そしてソーラーにアイズをする。
「うむ……我々からも貴族達にそれとなく話そう」
「だが悠長にことを進める時間は無いぞ?ウィンディア……王都防衛戦線を儂等がリードするのだぞ?」
「仕方がないマックスヴェル……乗りかかった船だ。脚も元通りつべこべ言ってたら秘薬の意味などあるまい?」
マックスヴェルは『新参侯爵のウィンディアに先輩侯爵として言ってみただけだ!のんびりは出来ないからな!』と笑う。
6年の間に何があったかわからないが、お互いの主張を合わせる様努力している様だ。
「では……明日以降僕はローズガーデンを見回って、情報収集をして命に関わりそうな急ぎの問題解決をしつつ、明明後日には王都へ行きます。移動速度は多分僕たちの方が早いので先に向かってください」
「明明後日に出発だな?我々は明後日には出てないとならんのか?」
「マモンかヘカテイアの黒穴を使えば1日僕はかかりませんから………早ければ早いだけいいですね……サイキ達は到着後、即時探索します……」
僕はそう言うと、予定を念話でアンバーへ送る。
王都へ到着後すぐに、サイキとシリカそしてアリッサ一行を救助する。
そして安全な場所に避難させたら一気に最下層まで移動して、黒穴マーキングをすると。
全員が揃ったのち総攻撃をかけさせ、僕達はダンジョンの主を穢れの世界へ誘導し取引するか撃破する……そんな流れだ。
しかし僕の移動方法を聞いた全員が、それを聞くと『ガックシ』と項垂れる……時間的余裕など全く皆無だったからだ。
「下手すれば今日中に用意して明日には出ないとならんぞ?」
「ああ……騎兵団でも4日はかかる……歩兵師団では7日は……兵站の準備に予備装備……飯を食ったら即帰らねば……」
「なので途中補給を入れて万全に向かってください。僕は素性を隠して様子を伺います。皆さんが王都に来るその間、追加のゴーレムを作ったり新戦力を増強しておきますから!」
その話の後、僕はベン達が向かうエルフ探索の話をしてから、久々のメンツでの食事を楽しんだ。
◆◇
『翌日』
「私たちは……ファイアフォックスに居ていいのですか?名前に影響が出ませんか?」
「エルルちゃん!このベン様に任せておけばいい!!君はここでゆっくり人間社会を学べばいいんだよ?」
「おいベン……気持ち悪いんだよ……結婚したいって言ったってそんな手を使うなよな?お前最近おかしいぞ?」
「ベロニカの言う通りだ。ベンちゃんと現実を見ろ……そんなんで結婚んか無理だ」
「お……お前たち……な…何を言ってんだ?俺が……俺が結婚を焦ってる訳ないだろう?ち……違うんだぞ?エルルちゃん………」
エルルはベンの焦り具合を見て『クスリ』と笑うと、ミサンガを手渡す。
「黒き女神ヘカテー様のご加護がありますように……ベンさん貴方が無事帰ってくることを毎日女神様にお祈りしています」
有頂天になるベンだったが、相手は『死の女神』だけにベンが死ぬ確率は多そうだ。
そして女神本人であるヘカテイアは『殺しても死ななそうだから大丈夫だよ。加護なんか必要ない』とボソリとつぶやいた。
「ロズにベン、ゲオルにベロニカ……ヘマすんなよ?」
「サブマスター大丈夫だ!有頂天のベンはともかく……俺はな!」
そう言うと、ロズの合図で一行はエルフ達の足跡探索へ向かう……
「大丈夫だよ!ヒロ……何か分かったらすぐ知らせる。ヘカテイアが私達をマーキングしてるって話だからね!」
「そうじゃ……ヒロお前も自分の任務に集中せい!こっちの問題は結構な期間が経過しておる。じゃから足跡探索がメインじゃ。忽然と消えた理由を探して、何があっても対処できる様に万全の準備をしておくからな!」
そう言うと、四人は馬をかけジェムズマインを後にする。
向かった先は僕がエクシア達と会った、宿の周辺だ。
その場所から足跡を辿り、魔法などの形跡を調べて回るのだ。
僕の考えでは、100名にも及ぶエルフが忽然と姿を消すことがまず難しい。
死体もなく、落とし物さえ無い。
ならば敵の手による計画的犯行か、姫達による防衛観念によるものだろう。
後者であれば、ベンやロズを向かわせることで解決する筈だ。
エルフ対策の駐屯地がある以上、そこの人員であるエクシアとユイナへの接触は避ける筈だからだ。
前者であれば、かなり危険な状況である。
時間が経過している上、元老院が絡んでいる可能性が濃厚だ。
エルフの王国絡みの問題であり、元老院だけでは解決できない問題になる。
だからこその追放からの拉致になるのだから……
この場合、姫達の命は厭わない事になる。




