第1078話「白面と秘密」
すいません今日は体調不良で_(:3 」∠)_
内臓が痛い……のです……更新出来ませんでした……
前回までのお話……
深淵の腐海最下層から登って来た主人公達は、ようやく15階層で冒険者との遭遇を果たす。
しかしその相手は真っ当な冒険者などではない……エルフ族であったのだ。
そしてそのエルフは、同族に襲われて追われる身のハーフエルフ達であった。
新たな問題を抱え込む一行と、一命を取り留めたハーフエルフ達……
この遭遇で世界に起きている異変を敏感に感じ取った主人公であった。
「着いたね……じゃあ僕とチャタラーそしてアンバーとエルテンで様子を見てこよう。大丈夫だったらエルテンが此処15層まで皆を迎えに行ってくれるかい?」
「分かりました……」
「エルテン兄さん……気をつけて……ヒロさん兄を……よろしくお願いします」
「ぷはははは。あらごめんね?エルルだっけ?コイツらが行ったら兄のエルテンより相手を心配なさい。魔人程度なら片手で殺すわよ?」
「ま……魔人を片手で?………ひぃぃぃぃぃぃぃそんな冒険者様に?私たちはお世話に?」
「何を言ってるんですか?ヘカテイア様にマモン様ならその魔人を100人なんぞ刹那で殺すでしょうに……全く………」
「ひえぇぇぇぇぇぇ?そんな美しいのに……何故そんなにお強いのですか?」
「あ……あら……貴女見る目があるわね?死の女神ヘカテー信者になりなさい?報われるわよ?」
ヘカテイアがそう言うと、エルルは『我々は……同族を迫害したエルフの神など信奉しません!是非ヘカテイア様が信奉するヘカテー様を!』と言う。
まさか目の前に本人が居るとは思うまい……
そんな話しているのを聞いていたら、階層が移動する。
どうやら一階に着いたようだ。
しかし目の前にはエルフの布衣を着て白いマスクをつけたエルフがいた。
「我々はエルフ元老院の純血真珠団なり……エルフを語る悪鬼ども朽ち果てよ!」
その言葉に僕はイラッとしつつ睨むが、チャタラーはそんなに甘く無い……出会い頭に拳でぶん殴る。
「あの世で反省しろや!」
『グシャ!!』
「!?……お前たち……何者……」
「チャタラーとアンバー……一人も逃すな。でも出来れば話を聞きたいから生かしておいて」
「あ?まじか?もう3人潰しちまった……アンバーは?」
「すいません……もう………」
「いや指示が遅かったから……仕方ないな……僕が捕まえた2人だけか……」
僕は驚くエルテンに15層に行くように指示をする。
「おいエルフ……話を聞かせろ。言わないなら生かしたまま腐らせる……此処の最下層から向こうは『深淵の腐海』穢れの世界だ。意味がわかるか?エルフとて闇堕ちする空間だ」
「なっ?何だと………エルフの闇堕ちを知る者……お前は誰だ!!」
「質問は僕がする……答える時間は僅かにしか無いぞ?何故スゥとモアそしてユイの三姫は追放された?エルフの王国に何があった?」
「元老院のお考えだ……あの姫達は国を抜け出し、元老院の教えに反旗を翻した!約束の地には行く資格などない。死んで当然だ!」
「姫達が民衆であるエルフ達を守ろうとして何が悪い?元老院こそ秘薬で自分達を延命したいだけだろうが……」
そう言った後、僕は白面を剥ぐ……するとチャタラーが顔を見るなり口を開く……
「お前……その目……秘薬を使ってかなりの間延命してるな?」
そう言ったチャタラーの言葉で白面のエルフの眼を見る。
すると目が金色になり、黒い粒が奥に複数あった……正直気持ちが悪い。
「チャタラー……そんな事が分かるのか?」
「アンバー秘薬はな……別名『穢れ瓶』って言うんだよ。生きたまま内部が穢れるんだ。だから多く使えば生きたまま魔物になる。ダンジョンの罠さ」
「なんだと?馬鹿な……そんな筈は無い……俺の目は……化け物なんかじゃ無い!この金眼は選ばれた証だ!数少ない秘薬を使えるエルフの神民なのだ!」
「ま……まじ?チャタラー………何個で化け物に?」
「マジも何も……俺が冒険者から魔人になったのに使ったのがその秘薬だ。金眼になった後に、魔獣の心臓を喰らうんだ。するとあら不思議……魔人の出来上がりさ。だがセノバイトキューブの方が方法的には楽に魔人になれるがな?」
チャタラーは魔物の心臓でも魔人化は出来るが、本来の魔人たるポテンシャルに持っていくのに相当な努力と手間が要るという……
そう言ったチャタラーは驚く僕を見て……『なんだ?知り合いにでも使ったのか?数十個程度で魔物にはならねぇよ……』と言う。
僕はディーナに秘薬を使ったし、国王にも渡したので若干焦ってしまった。
しかし今の優先事項は別だ。
「エルフの王国内でお前達は何をした?そして3人の行方は?他にお前達が追放した人数は?吐かないと……」
そう言って僕はクロークから魔物の臓器を取り出す。
「チャタラー心臓で魔人なら……別の臓器に効果はあるの?」
「心臓以外の臓器はやめとけ……見るに堪えない結果だぞ?」
そう言われて僕は白面のエルフにそれを見せる。
「どうせ世迷言だ……魔人?魔獣?変異……馬鹿馬鹿しい………」
そう言った瞬間チャタラーは部位だけ器用に魔神化する……当然それは分かり易いように『顔』だ。
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!?………何だお前達……化け物………ま……魔人?……なんて事だエルフの国も遂に終わりが………ひぃぃぃぃぃぃぃ」
「臓器の話を覚えてる!?白面のエルフさん。吐かないと『見るに堪えない結果』だそうですよ?」
そう言ってからスマホの録音機能をスタートさせる。
「話す……話す……国王を毒殺したのは元老院達だ。毒殺を姫の仕業に偽装する為に!目的は姫達を追放する為にだ……アイツ等が何処へ行ったかは知らない!!アイツ等の息がかかっていた50名ほどは外へ追放した……実数は知らん。私が知ってるのはそれだけだ!」
僕は掴んでいた胸ぐらを離す……そして人の気配を感じて振り返ると、ハーフエルフの6人が居た。
「もう……来てたのか……はぁ……もうバレちゃった。すいません嘘をついて。僕らはその……」
「その手に持ってるのを貸してください!私の……お母さんとお父さんの仇を!!このクソ白面に!!……」
そう言ってエルルは魔獣の臓器を一部僕の手からむしり取る……
「お前は化け物になって未来永劫彷徨いやがれ!!お母さんの仇……お父さんの仇!!私たちが何をしたって言うのよ!!」
「やめろ……うげぇ……やめてくれ……やめて下さい……化け物はいやらぁ……うげぇ……ごば……ごびゃぁぁぁ…………」
即座に変異を始めた白面のエルフ……
襲い掛かられておかしく無い距離だったエルルだったが、チャタラーが白面を掴むと黒穴を作り放り込む……
「おい娘……奴は穢れの世界で未来永劫死に続ける……だからもう忘れろ……兄と姉を大切にして終わったことを悔やむな……」
「ううう……うううう…………」
珍しい事にチャタラーが戦い以外に興味を持ったのか、ハーフエルフである彼女に胸を貸す……
◆◇
僕達はヒソヒソ声で歩きながら話す……
当然気まずいのもあるが、それ以上にエクシアとファイアフォックスの名を出したのは失策だった。
『どうすんだよ……早くもバレてんじゃん!エクシアの名前も出ちゃったし!』
『ヘカテイア……そう言ったって仕方ないじゃん……流石に放置は出来ないし……』
「あの……そんなに気にして話さなくても平気です……私もうヘカテー様の信者ですよ?」
「へ?ほ………ほほほほは!あらー?良い子だわ!聞いた?ヒロに……マモン……もう信者ゲットよ?アタシって優秀!」
「エルルはヘカテイア様に忠義を尽くします。ねぇ兄さんも姉さんも、ヘカテー様を信奉しましょう?助けてくれないエルフの神様より、糧と生きる為の武器を与えてくれた、死の女神ヘカテー様の方が好きだわ……私は」
「ああ……当然そうするよ!それに……ヒロ様もチャタラー様もお気にしないで下さい。僕らは命を失おうとも絶対に公言しませんから!な?エルカイヤ」
「はい!生きる糧を頂き、武器に防具その上お金まで頂きました……皆が死ねと言う世界でヘカテイア様や皆様だけが生きろと言ってくれた。他に何を信じましょう?」
「だが……見た通り我々は悪魔であり魔王であり魔人だ……いいのか?お前達の行いはハーフエルフ全体が悪魔崇拝のレッテルを受ける事に繋がるかもしれん……」
「チャタラー様!寧ろかかってこいです!生きる希望を言葉でくれたのはチャタラー様ですよ?」
「そうねエルル……それより出口に向かいましょう?目的があるのでしょう?姫を救いに行く……でも……何故ヒロ様は悪魔なのにエルフの姫を助けるのでしょう?」
その言葉に僕は『友人であり仲間だから』と答えると、なぜか彼らは泣き始めた……




