第1056話「穢れの世界と世界改革」
更新しまーす!_(:3 」∠)_ついつい書き込んでました。
現在1084話まで完了……たくさんupしても皆さん読める?とか思ってます……
前回までのお話……
マモンの策で一度死んだ主人公……
マモン達に核を持っていかれ、行き着いた先は『穢れの世界』だった。
ヘカテイアの問題と言えば『生まれ変わり先』だ……
これまたカサンドラと同じ様にDNA絡みで、僕の子供として生まれ変わりを狙っている。
そして新しい問題……
それは当然だが……カサンドラだ。
カサンドラの実験は『魂レベルからの変質』だ。
母親であるフォンターナの魂魄を抜き出して、代わりに自分の魂を当てはめる計画である……
そうする事で、魔王ボイドと自分の魂の結びつきを持った子供を擬似的に得られると信じている。
フローゲルが封印している元の肉体はDNA情報をフォンターナから自分のものに書き換えるとまで言い始めているので、マッドサイエンティスト感が半端ない。
僕の蘇生に成功した以上、カサンドラの方向性も間違いとは言い辛い……
そして僕の素体になった、ホムンクスルの名前にも問題がある……
『ヘルレイザー・厄介者もしくは……やんちゃっ子』の名付けは、流石に抗議の対象でしか無い。
「マモンはそもそも……ヘルレイザーって意味が何か知ってて、新型のホムンクスルに付けたの?……僕の知ってる限り……厄介者とかやんちゃっ子って意味なんだけど!?それは余りにも酷くない?」
「ぶ!!……ぶはははははは!!……そのままじゃねぇか……厄介者!!……ガハハハハハ……まさにその名が相応しい!お前の素体は『ヘルレイザー』で決定だ!」
「大騒ぎのところ悪いんだけど……何よヘルレイザーって…………」
部屋に入るなりそういうヘカテイアは、僕を見るなり『う……嘘でしょう!?……はぁ!?何で起き上がってんのよ!?』と言って驚き、マモンに詰め寄る……
「嘘でしょう?何がどうなって……マモンが……魔王種核の蘇生に成功させたの!?」
大爆笑するマモンに、状況が飲み込めず混乱が隠せないヘカテイア……
そして実験に成功したものの、マモンが付けた素体名が許せないカサンドラの3人は、けたたましく言い合っている。
当然僕も許せない事は多いが、今の問題は『カサンドラが何故目の前に居るのか……』それを大至急、説明願いたい……
◆◇
「って事は……此処は穢れの世界で、カサンドラさんは僕の蘇生に一役買ったと……」
「カサンドラさんは他人過ぎるんじゃないかしら?『お母さん』で良いのよ?こんな場合は?」
「お前……今は空気読んで黙ってろって……カサンドラ……」
マモンがそう言うと、代わりにヘカテイアが説明をする……
「大凡は合ってるわ。因みに……もう3天経ってるのよ?あれから」
そうヘカテイアが言うと、カサンドラは割り込む様に……
「多分気にしてるだろうけど……サイキとシリカは安心して良いわよ?私の配下の魔物を警護に出してるから」
「帝国の南方には……王国との国境の大壁があったんじゃなかった?」
僕がそう尋ねると、マモンが『アラーネアがぶっ壊して通ったせいで一部が崩落して誰でも通れる状態だ』と説明をした。
どうやらアラーネアは、氷洞穴に居たあの3人を始末した後、封絶転移陣を上手く避けて地上に出れた様だ。
そして僕の願いを聞き届け『帝国領内から王国へ帰った』様である。
元々は王国の地下にアラーネアの根城があるので、仲間と共に一度はそっちに向かった様だ。
そしてサイキとシリカは村へ向かう予定だったが、アラーネアとアリッサの件があったので、サイキの願いによりマモンが王都のアラーネアの元まで連れて行ったそうだ。
その時カサンドラが直接アラーネアの元まで出向き、自分の私兵たる『氷結種の魔物』をサイキとシリカに与えた……という事らしい。
素人の考えとすれば、多くの魔物が集まる事で危険が増しそうだが……
今現状で脅威になる様な事は起きてないらしい。
「じゃあ……僕達もそっちに向かう方が………」
「「「…………………」」」
僕がそう言うと、マモン達3人はその口を閉ざしてしまう……
その行為には、どうやら何か理由がある様だ。
「その様子だと……そうも行かない……状況なんですね?」
「……まぁ……そういう事ね………」
「此処で隠してても、この城から出ちまえばバレちまう。ヘカテイア……コイツの現状を教えてやろうぜ?」
そう言ったマモンは、現状の狭間たる『穢れの世界』の話をした……
弱体化するとは言え、悪魔の力を維持したまま地上への出方がわかった今、多くのダンジョンを介して地上を目指す輩が増えたと言う……
その多くは人間を堕落させ穢れに導く目的を持った勢力や、地上と穢れの世界の垣根を破壊せんとする勢力……
そしてマモンとヘカテイアの様な、虚無を退け封印を継続する勢力に分かれているそうだ。
驚いた事に、破滅を好む悪魔達はそれほど多くはなく、かなり理性的であり知的だ。
マモンの説明では、その存在を知的生命体に認知させる事で、彼らの存在は維持される……
だからこそ人類がいる地上を目指す個体が多いそうだ。
しかしマモン達は、穢れの世界に封じてある虚無の封印を維持する必要があると言う。
だが実際には虚無自体を封じているわけではなく、虚無の進む先に擬似空間を作り出し永続的に食わしている状態だと、その詳細を明かしてくれた。
虚無と言えどもその存在を消し去るには、そこそこの時間を要するそうだ。
そこに生命があれば、その分多くの時間を必要とする……
マモン達は自分の眷属をその空間を利用して作り、必要に応じて移動して使うそうだ。
ちなみに、悪魔達にとって下級の悪魔の製造は極秘事項であり、それぞれ眷属によって作り方が異なる様だ。
その多くは自分の細胞をこねくり回し作れるそうで、その存在を大量虐殺に使おうが、彼等は良心の呵責などは全く感じていなそうだった。
「皆さんは此処から離れられない理由は、大凡は理解できました……でも僕が出て行く事に何の関係が?」
「アンタが本気のカサンドラに勝てない限り、この世界ではたとえ刹那であっても生きられないよ……」
カサンドラは若干不機嫌そうな顔をするが、言い返さない所を見ると相当痛い目を見た様だ。
「カサンドラさんに?もし勝てたら……地上には戻れるんですか?」
「残念だけど……そう言った訳でもないの。それに母親の私とすれば、私とボイド様の子を他の悪魔共にみすみす殺させる訳にもいかないのよ?」
マモンは『お前の魂の欠片をくれてやっても……どう足掻いてもコイツはお前の子供じゃねぇから……』と言いながらも、カサンドラの意見に反対ではない様だ。
「まぁカサンドラと殺り合って理解した方が早えよ……そもそもこの世界では力無いやつは生き残れ無いからな……」
そう言ったマモンに僕は最後の質問をする……
「マモン……そう言えば僕の中にあるっていう虚無の欠片の方は?問題解決したの?……力をつけた後って、地上に戻る事は問題ないの?」
「ああ……その件か………そのな……何というか………俺達の予想の遥か上にあるぜ?なぁ?ヘカテイア……」
その言葉を受けたヘカテイアは、言葉に詰まり困った顔をする……
しかしその表情とは裏腹に、カサンドラは胸を張って『我が子は最強です!』などと言う……
「カサンドラ……最強と言っても本人が使いこなせなきゃ意味がねぇんだぞ?」
「ちょっと……マモンどう言う事ですか?本人が使いこなすって……何の事?ちゃんと説明をしてくれないと困るんだけど?」
「アタシがその説明をしてやるよ……ヒロ………」
「ちょっとヘカテイアさん!?私にその役は下さいよ!これでも母親ですよ?大切な話なんですから、そこは肉親が………」
そう言ったカサンドラに、ヘカテイアは口を閉ざす様な仕草をする……
するとカサンドラは『ムググググ………モガモゴ……ムググッグ……』と言って口を開けなくなった……




