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第1048話「幻術を使う狡猾な悪魔」

おはよう御座います!ꉂ(≧∇≦)更新death!


8月はやくも……もう終わり( 'ω' )و✧グッ……秋が好きです!


前回までのお話……


新たにフローゲルとシリカを仲間に加えた主人公……


シリカの行動には監視が必要なものの……カサンドラの氷穴から、無事に脱出する為には敵は増やせなかった。


その上、シリカはサイキの義理の妹……


フローゲルの末裔ともなれば無碍にはできなかったのだ。


ホリカワの魂胆がわからない以上、その計画を邪魔せねばならない……


一行はカサンドラの元へ急いで向かっていた……


「シリカ、お前は普段からもっと精製する様に。あと今からの戦闘はそこの鼻垂れ坊主に任せておけば良い。じゃあ行くぞ?」



「え!?」



 僕がその言葉に驚くと、シリカがすかさず質問を口に出す……



「お父様聞いても?……何故戦闘はヒロさんだけに?」



「その馬鹿のレベルは99じゃからじゃ。遥かに下位である儂らが混ざるだけで、既に戦闘に関しては足手纏いじゃ……それが理由じゃよ!」



「「レ……レベル99!?」」



 僕は思わず『何故レベルが分かったのか……』と聞きそうになる……


 しかしその部分に気がかかるも、それを聞ける雰囲気では無い。



 何故なら僕が聞くより早くフローゲルは杖を壁に打ち付け、通路奥の魔物を引き付けたからだ。



「おい鼻垂れ!今から来る敵は『アイスデビル・マンドリル』と言う猿に似た悪魔種の魔物じゃ……見かけは猿っぽいが油断するなよ?得意な攻撃はキリングブロウ……首刎ねじゃ!」



 そう言うと、サイキに何かのサインを送るフローゲル……


 大方『後ろに下がれ』との家族にだけ分かるサインだろう。



 僕はマンドリルと聞いて、顔に特徴がある例のサルかと思った僕は気を引き締める……


 首はねが得意のその言葉に、どれだけ凶悪な魔物が来るかと思ったら、20センチ程度の色鮮やかな猿が数匹通路奥から飛び出してきた。



『ウキィ……ウギギ………』


『キィー!!ウキィウキィ!!』



「フローゲルさん……この可愛らしい猿が!?危険な悪魔?」



「馬鹿もん!!敵の動きから目を離すな!!」



 そう言われた僕は次の瞬間、サイキに飛びつかれて床に押し倒される……



『ウボォォォォ!!グルルル……ウギギ!グルルル……ウギィ!!』


「何をしてるの!?凶悪な化け物を目の前に……可愛いですって?悪魔種が使う幻術に決まってるじゃない!!『エクストラシークレットアイズ!!』」


 お叱りを受けた直後サイキに何かの魔法をかけられた僕は、目に違和感を覚える……


 此処に来てからと言うもの、今まで目が時々チカチカしていた感覚があったが、しかし今は何故か凄くクリアに見える。



 僕は次の攻撃に備え、急いで猿が居る方へ顔を向ける……


 そこには、シリカとフローゲルが防御魔法を行使しているので、他個体との連携が途切れて僕はなんとか助かっていた。



「なんだ!?あの化け物……あの猿……まさか……幻術だったの?」



「この白銀の氷穴で一番厄介な魔物は、幻術を使う悪魔種です!封印と共にダンジョンの穢れ溜まりが大きくなったのでしょう。アレはそこから化現した下級上位種の悪魔です」


 シリカがサイキの代わりにそう言うと、呆れた様にフローゲルが『レベルに見合わず知識がないとは……本当に馬鹿じゃのぉ』と言う……



「フローゲルさん……そんな事言っても!初見で可愛い猿が出て来れば……」



「スグにそう言い訳をする冒険者は、大概どこかのダンジョンで油断して死ぬんじゃぞ?上を目指すなら魔物は全て斬り伏せる気構えでいけい!!」



 そう言われた僕は体勢を整え直し、1匹目のアイスデビル・マンドリルにウォーター・バレットを撃ち込むも余裕でかわされる。



「意外に……勘がいいのか?……」


「おい鼻垂れ!!馬鹿かお主は?撃つと分かれば、後は躱せば良いだけじゃ。アイツをゴブリン程度と思っておると、レベル差が幾らあっても余裕で殺されるぞ?」



 フローゲルのその言葉に僕は『軌道が読み易い射撃は無駄にMPを使うだけか……』と思い直す。


 『過酷な環境で生きてきた魔物だ……直撃を喰らうはずもない』と思い直し、攻撃方法を組み直す……



『瞬歩!』



『ウゴォ!?』



 僕は瞬歩でサイドステップして、敵の認識を振り払う。


 そして背後に回ると水魔法を放った。



『ウォーターバレット!!』


『グベベ!?』



「ほう!先程と違い素晴らしい動きじゃな。死角からの射撃魔法……じゃが詰めが甘いの……」



 背後からのウォーターバレットの直撃を受けて、吹き飛ばされるも致命打にはなっていない様だ。


 フローゲルの言う通り、詰めの甘さを感じてしまう。


 仲間との連携に頼り切りだった僕は、単独戦闘が得意ではない。


 僕は試行錯誤戦闘しつつ、ベンやエクシア私そしてロズの教えを実行する……



『確か……ロズさんの説明では……相手の攻撃時には、動きの起点を読んで……攻撃をパリィをする……』



『ウゴォォォ!』



 姿を子猿に偽っていたアイスデビル・マンドリルは、体躯が1メートル80センチは有りそうな巨体だった。


 首刎ねが得意とも頷ける、剛腕に大人の顔位は余裕であるだろう手のひらは、非常に大きく無骨だ。


 爪は全部が鋭く尖っていて黒光していてとても硬そうだ。


 よく見ると、親指の半分は途中から変形し、鎌状の爪になっている。


 僕はそんな危険な腕を注視する……



 『今だ!!』


 そう心で呟くと、振り下ろされる剛腕を盾で弾き飛ばす……



『ガギィン!!』


「グゲ!?」


 タイミンクよく弾いた腕は勢いを殺せず、アイスデビル・マンドリルは前方へその巨体をよろめかせる……



 『ザス!!』



 僕はそのチャンスを逃さす、肋骨を避けるように剣を腹部へ斜めに突き刺し、魔物の重要器官を貫いた後に力一杯そのままに斬り払う。


 すると、腹部を半分切り裂かれたアイスデビル・マンドリルの腹からは、夥しい血飛沫が噴き出た……



 アイスデビル・マンドリルは腹を押さえ『グギュゥ!!』と言うと、その場に崩れ落ち絶命した。


 僕はそのまま気を抜かず2匹目の襲い来る腕を躱して、ガラ空きの顔面にウォーターバレットを五発打ち込みオーバーキルする。



「ふぅ………ロズさん直伝のパリィとベンさん直伝の斬り払い……そしてエクシアさんの猛特訓で死ぬ気で会得した身躱し……役に立ったな……」



「絵に描いたようなパリィからの回避行動、そしてトドメの射撃魔法……なかなかの連携じゃな。何故基礎があるのにそれを最初からせんのだ?」



「今までは、ウォーターバレットを避ける敵はあまり居なかったんですよ……」



「ふむ……確かに射撃魔法にしては異様な程クールタイムも短いし、魔法弾の速度も速い。そもそも無詠唱呪文か……技に溺れて来たと言う訳じゃな?」



「ですね……。ですが対応できる策があって良かったです。基礎は知り合いの冒険者から血反吐を吐くまで叩き込まれたので……」



「フォッフォッフォッ……それが今生きた……そう言うことか?」



 そう言ったフローゲルは『今後は相手の姿で油断せず、雑魚相手でも手を抜かぬ事じゃな!』と笑いつつそう言う。



 魔物の数は全部で3匹だった様で、手負いの魔物はフローゲルとシリカが魔法攻撃で倒していた。


 お陰で僕は二匹目の後、フローゲルとこうして話していられるのだ。



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