表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1055/1208

第1041話「氷洞穴とトロル丘」

こんばんわー\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/更新のお時間です!


フェス付きのワテクシ……


ちょっとショックな事があって、少しやる気ダウンしてました_(:3 」∠)_スイマセンw


前回までのお話……


トロルキングダムに向かうべく、ロナ・ウルグスを旅立つ一行。


当然問題児のアラーネアを連れ歩く事になるので、気が抜けない遠征になるのは間違いがなかった。


そしてサイキはルッティに、ロナの秘密を解き明かす様に言付けをした……




「ア………アラーネア様が居れば問題はないでしょう。ですが今一度お願い申し上げます……我等が心の師匠、フローゲルの忘れ形見……サイキ様を何卒宜しくお願い致します」


 

 そう言ったのは、まるで人が変わったルッティだ。



 彼は『私はこの塔の管理が有ります故……口惜しいですが同行出来ませぬので……』と言う。


 言葉からして、自分も同行できない現状に相当後ろ髪を引かれているようだ。



 しかし今や、此処ロナ・ウルグスの危険度は放置できる問題ではない。


 そしてルッティがフローゲルの関係者である以上、師と崇めるフローゲルの施した封印は護らねばならない。



 彼と話すことは山盛りだが、帝国の現状を放っておける余裕はない。


 可能ならば、少しでも早く移民を受け入れて貰う準備をして貰うためだ。



 急に住民が増える事など、国としては受け入れ辛い。


 生活文化が違うならば尚更であり、それが種族ともなれば尚更大きくなる。



 そう僕は考えているが、考えに割り込むようにアラーネアが話し始める……



「妾が?馬鹿を言うでない。妾より弱い魔物なんぞが来るはずもなかろう?切れ者を扮しておるが案外馬鹿なのか?お前は?」



「え?あ!!そう言われれば……そうで御座いますね!!蜘蛛の魔王様にちょっかい出す相手なんか………」



「そうじゃぞ?そんな奴はヒロだけで十分じゃ!!」

 


 アラーネアがいう言葉で、皆の僕の見る目が冷ややかになる。



 言葉使い……と言うより『言葉選びは重要だ』と心からそう思った……



「じゃあ……そろそろ行きましょう!!あまり悠長にはできませんから」


 僕はそう言って、トロル丘までの道のりを簡潔に説明する。



 その情報は当然僕たちが知らない情報なので、方々手を尽くした結果手に入れた情報だ。


 情報の主な収入源はアラーネアであるのは言うまでもない。



「此処からしばらくは雪原ですが、トロル丘までの経路の一部は氷洞穴と呼ばれるアイストロルの棲家を通ります」



「アイストロルの棲家を?馬鹿を言うなよ……そんな生易しい相手じゃねぇぞ?あの魔物は……」



「グラズさん。貴方の言い分もあるでしょうけど……今は聞いてください」



 僕は吹雪吹き荒れる環境だと、アイストロルの行動原理に異変が生じると説明をした。


 晴れている時こそ、日光を避けるために洞穴内部に居るが、吹雪である環境下ではそこから移動すると。


 

 雪原に移動し、獲物を探し時に共喰いをするそうなのだ。


 ……そうアイストロルの知能は決して高くない……


 その種族が持つ特性は、生存本能と食欲が優先しているそうなのだ。


「な……成程な……。って事はこうか?晴れている時に洞穴内のわりかし安全な場所に移動し、吹雪を待つと」



「グラズさん。その移動方法しか、その場所を切り抜けられないんです」



「でもさ……全部が洞窟内から移動する確証があると?なぜ言い切れるんだい?」



 その言葉にアラーネアが『妾が何度も移動に使っておる。間違いが無いからそう言っておるんじゃが?馬鹿な論議をするなら残れば良い!それに……見て見るのが早かろう?』と痺れを切らしてそう言い放つ。



 そして力一杯守衛部屋の椅子を蹴り飛ばすと『バガン!!』と音を立てて部屋の扉が崩壊する。



「行くぞヒロ。もう下らない説明を聞くのは面倒じゃ。臆病者は此処で震えておれ。そして塔で戦い、哀れに死ぬが良かろう!」


 

 身も蓋も無い言葉に、それを聞いた全員が言葉を失う。


 

 どこでどうしても、今いる環境では死と隣り合わせだ。


 アラーネアにしてみれば、『自分が居るのに、僅かに知能が見られるアイストロル如きで死者が出る筈もない……』それが答えである。


「ちょっと!!ネーア……物を壊さないのが約束よね?……置いていかれたいのかしら?」



「「「ネーア!?………」」」


 何をどうしたらアラーネアの呼び方がそうなるかわからないが、サイキは魔王アラーネアをそう呼ぶ。


 

「ち……違うんじゃ……何時迄も『あーだこーだ』と、どうなるかも分からない事をウジウジ言ってるからじゃのぉ!!」



「貴女の短気はもう考え物よ?力配分が出来ないんだったら………」



 そう言いかけたサイキだったが、アラーネアはアリッサの背後にコソコソ隠れて、彼女をサイキに押し付ける。



「ちょっと‥‥アラーネア!?アタシに後始末させんなよ!この状態のサイキの相手は………」



「何よ?アリッサ………」



 睨み付けるサイキだったが、アリッサもアラーネと同じものを感じたのか、そそくさと身物を背負う。



「さ……さぁ……早く行こう!!話すより早く移動をしないとね!ヒロも言ってたじゃ無いか。だよな?」



「そ……そうですね……アリッサさん……」



 物静かに睨むサイキの迫力を、離れた場所から見ていたグラズは………



 『ああ……早く出たほうが良さそうだ』………と感じたようで、徐に荷物を担ぎ上げる。



「ああ……確かにそうだな!よく考えればアラーネア様が居るんだもんな……食われようもないか……」


「そうじゃぞ?魔物の環境は弱肉強食じゃ。強者の側に寄ろうものなら死を覚悟せねばならん。それが妾の様な魔王種ともなれば本来こうしてゆっくりと話なぞ出来んのじゃ!」



 そう言ったアラーネアは、サイキをチラ見して何か言葉を待っている様だ。



「はいはい……ネーア貴女は……まぁいいわ。じゃあこの旅は、貴女に頼る事にする。宜しく!!」



「漸くサイキも理解出来たんじゃな。妾の重要性に」



 そう言うとアラーネアは、アリッサの手を取って部屋から出て行く。


 そのあとをサイキが追おうとするが、状況について行けない僕を見て言葉をかけた。



「さぁ!グズグズせずに行きましょう?吹雪が止んでいる今がチャンスなんでしょう?その為の早起きなんだし!!」



 ◆◇



 僕達はアラーネアの説明を聞きながら雪原をすすむ……



 氷雪地帯と言うだけあり、所々は氷で出来た経路だった。


 しかし天候に恵まれただけあり、正午には目的の氷結洞窟の周辺へ辿り着いた。


 

「それにしても……人間は歩みが遅い……お前達の歩行速度に合わせる妾の身にもなってほしいぞ!!」



「仕方ないでしょう?ネーア、貴女だって人間だった当時はこの位の歩行速度だったじゃない!」



「サイキはフローゲルに連れられていた時より小言が増えたな!まさか同一人物とは思いもせんかったわ」



「それはこっちの台詞よ。まさか人間を辞めているとは思いもしなかったわ……」



 アラーネアの言葉は以前から、何かを感じさせる言い方だった。


 しかし話を聞いて行くうちに、アラーネアの幼少期にサイキが出逢っていたことが判明した。



「あの時は妾に優しいお姉さん的存在じゃったのにな……」



「私としてはちゃんと目上の人の言うことを聞く、出来の良い女の子だったはずよ?ネーアは……」



 方や魔王になったアラーネアは、薄々は感じていたのだろう。


 自分の幼少期を知っているサイキの存在について、疎ましいとは感じていない様だが……特別仲がよかった感じはしない。



「二人は……出逢っていたと思っていいんですか?」



「うむ……妾の育った王国に、実は錬金術師フローゲルが来たのじゃ。既にその時点ではサイキはいたな……」



「ええ……まさかあの幼い娘さんが聖女になるとは夢にも思わなかったわ。その上どうまかり間違ったのか……蜘蛛の魔王だなんて……」


「何度もゆうとろう?妾とて気がついたらこうなっておった。選択肢など妾には無かったんじゃ」



 そう言ったアラーネアだったが、様子からして悲観している感じではない。


 サイキの生い立ちを聞いた彼女にしてみれば、自分の生まれる前からサイキがこの世界に居たなんて思ってもなかったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ