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第1026話「裏切り者」

こんばんわー!_(:3 」∠)_更新です!


オープニング回収終わって……修正設定中で更新が遅くなってまーす( 'ω' )و✧グッ


前回までのお話……


助けたと思った商団……しかしそれは表の顔だった。


気を抜いた瞬間、思いもしない方向に運命は進んでいってしまう……


嵌められた主人公は、そのまま意識を失ってしまった。


『ガロロロロロロ………』


 非常に耳障りな音で目が覚める。


 その理由は簡単で、密閉された空間に響くのは車輪が回る反響音だ。



『うん………頭が重い……何だこの音は……』



「お?坊主……漸く目が覚めたか?」



「あ……貴方は!……って…何故……」



「おっと!待ちな。今手を出してもお前が損するだけだ……。まぁ落ち着いて、一度周りをよく見な!!」


 

 そう言われて周りを伺うと、狭い空間に例の冒険者3名がいた。


 手枷や首輪こそ無いが、僕の足は逃げられない様に紐で縛られていた。



「お察しの通り……俺たちは依頼でアンタを捕まえに来た」



「……はい!もう察してます。でも……行き先は教えてもらえないんですよね?」



「いや?そんな事はしねぇよ。聞きたきゃ教えるぜ?行き先はロナ・ウルグス……囚人墓場だ……」

 


 僕はその言葉に聞き覚えがある。


 氷雪地帯にある問題の場所だ。



「意外に驚かないし、騒がねぇんだな?大概の奴は命乞いをするが……」



「そもそも……その場所を余り知りませんから。驚き様が無いんですよ……」



 そう言うと、男は『成程な!』と言う。


 既に僕にしてみれば、男達3名の素性は興味もない。


 今はこの3人をどうしたら出し抜けて、この馬車から出られるかだ。



 話をしつつも僕は周りを観察する。


 鉄製の馬車は罪人を輸送するための物だろう。


 中には魔術結界があり、内側からは馬車を破壊出来ない。



 破壊出来なくはないが、自分自身にダメージを貰うのは間違いが無い。


 この走る檻から出る時が一番のチャンスだろう。


 鑑定結果では結界を破壊するには、強力な魔力放出が最低限必要になる様だ。



 問題は降りた場所がどんな過酷な環境かで、様子は様変わりするが……



 小さい格子窓から外を覗くと、既に雪化粧されている。


 一体どれだけの間、僕は昏睡状態にあったのか……非常に気にかかる。



 しかしそれとは別件で自分を褒めてもやりたい。


 モンブランとスライムを次元倉庫に、アナベルへの伝言番として置いてきたからだ。


 

 スラは間違いなく5人相手に戦闘しただろうし、聖樹の苗は運が悪ければ持ち去られていただろう。


 そうなれば運が悪い場合、スラは討伐されて居た筈だ。



「あと……どれ位ですか?」



「何だそのざっくりした質問は?ウルグスまでの距離か?それとも拘束される期間か?……もしかしておめえの寿命への質問か?」



「全部ですね……」



 話をしていたのはどうやら3人の中のリーダーだった様だ。


 彼はロナ・ウルグスまであと2刻ほどと答え、拘束期間は『死ぬまで』と言った。



 そして問題の寿命は、僕次第だろうと言ってきた。


 今動けば戦闘になるし、動かなければ後でその機会に恵まれると言いたいのだろう。



 彼等が手を下す訳では無い。


 あくまで金で動く手駒なのが伺える。



 だからこそ、輸送の最中に下手な怪我をしたく無いのは『向こう側』なのだと理解できた。




「大人しくしてれば手は出さないってことですね?」



「そりゃそうだ……金にならない仕事は避けたいんでね。相手が男だろうが女だろうが面倒はごめん被る」



「そうだぜ!今までいた6人の仲間は、女好きなバカが3人も首をへし折られた。相手を見くびるなって言ったのにな!!」



 その言葉に相当手練れの冒険者が捕まったのだと理解もしたが、説明がないので相手が誰かもわからない。


 何故なら彼等も、名前や素性など教えて貰っていないからだ。



 相手が駆け出し冒険者の様な格好でも、自分達を即死させる術を持つと理解した時点で、仲間が死んだ経験は役に立ったのだろう。




「因みにその女性は………」



「手は出せねぇに決まってんだろう?見たこともねぇ手法で、襲い掛かった3人が瞬殺だ。酷かったなんてもんじゃねぇ」



「違います……ロナ・ウルグスに連行されたのか……それとも到着後処刑になったのか……」



「ああ……そっちか。ロナに行った後は死刑はねぇ。どうせ放って置いても魔物に喰われて死ぬか、凍死しかねぇ場所だ。あんな女でも戦闘さえできれば役には立つ」



 腕が立つからか?と聞くと、彼等の一人は説明をした。


 その女性は腕を買われて、アイス・リザード相手に戦う戦力に即決したそうだ。



「だから死ぬまで戦うか、喰われて死ぬか、心が折れて凍死ってこった。仲間の無念は晴らせねぇが……まぁ死んだアイツが、あの世に向かえば死んだ仲間も許してくれんだろうよ!」



 話をすればするだけ何でも答える彼等は、単純に暇なのだろう。


 話す以外は外を見る以外何も無い。


 

 そんな閉鎖空間だ……口も緩くなって当然だ。



「収益は良い方なんですか?こんな仕事で……下手すれば馬車ごと襲われて、アイス・リザードと心中でしょう?」



「危険手当がなかなか美味いな。ってかオメェ緊張感ねえなぁ……お前を捕まえたい貴族様ってのは、そんなお前が嫌いなんだろうな」



「帝都の悪辣貴族が仕組んだんですか?」



「それ以外ロナ送りにできる奴なんかいねぇよ。本来裁判してから送られる場所に、お前は直行便だなんてな……。お前相当やらかしたんだぜ?」



 相手を聞くと、おそらく『秘薬貴族』と『反王権派』であるだろうと言った。


 何故ならロナ送りの特権は、その貴族双方達しか持っていないと言うのだ。


 

 王権派がそれを強行すれば、民の反感を買い帝国はやがて滅亡する……


 だからこそ王権派は、出来る限りロナ送りを実行しない。



「そうか……なら理解出来ますね。僕は王政派の公爵と親密だったので……気に障ったのでしょう」



「お……おめぇ『気に障ったのでしょう』なんて呑気だな?場所わかっていってんのか?ロナだぞ?ロナ!ウルグス!!囚人共の墓場だってんだ!!」



「でもアイス・リザードを始末してれば……やがて逃げ出すチャンスはありそうじゃ無いですか?こんな風に……」



 そう言った後に僕は、馬車内部の一角に手を添えて、魔力を放射する。



 射撃系魔法ではなく、攻撃力を込めて魔力を放射しただけだ。


 属性魔法でなく純粋な魔力だ……しかし十分効果は見込めるだろう。



 反射されない方法……それは常に放射し続けるという事。


 反射防壁が壊れなければ一大事だが、それが壊れた場合は僕の勝ちだ。



『ミシミシミシ………』



『メキメキ……バキバキ……ビシィ!!』



「な!?何しやがった……くそったれ……情報を抜いてこの馬車から逃げ出す気だな!」



 その言葉で僕は放射をやめる。



 既に結界は破壊されていて、鉄製の檻は内側から外に向けて酷く歪んでいる。


 馬車の一部には亀裂が入り、外の冷気が馬車の中に入ってくる……


 

 壊して寒い思いをするとは思いもしなかった……どうやら頃合いを読み間違えた様だ。



「え?逃げませんよ?一応対応可能か試しただけですから……この結界程度なら、今の僕だったらいくらでも破壊できると分かったので……」



 そう言ったあとに僕は『その女性の件も気になってますし……此処で逃げても、会う為にまたロナウルグスまで向かうのは手間でしょ?』と言う。



「俺は今、あの女も同じこと言って結界破壊したのを思い出したぜ!!……おいヤベェって!!立て続けに何でこんなのを扱わなきゃならねぇんだ!!」



「俺はコイツが乗合馬車から飛び降りたって時点で、絶対にヤベェって言ったじゃねぇか!!手を引くべきだって言ったよな?」



「うるせぇ!オメェ等は黙って座ってろ………俺は死にたくねぇ!!それにもう遅い……薬飲ませて載せてるんだ!同業者に手を出した以上今更だろう?俺らが死ぬか、コイツの好きにさせるか……二者択一だってんだ!!」



 どうやらリーダー格の男は、自分の命欲しさに情報を洗いざらい話していた様だ。



 その事を問いただすと、彼は一言ボソリと言う。



 『アンタ……コールドレインの街でゾンビやらグールをゴミの様に薙ぎ払っていたじゃねぇか……俺はアンタとだけは、絶対に関わり合いにだけはなりたくなかったんだ……』


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