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第1023話「さらば!コールドレインの街」

こんばんわー(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾暑くて死にそう……


更新遅くなりました!


前回までのお話は……


モルガンから伝えられたハイエルフに伝わっていた伝承。


内容からしてモルガンと主人公であることは間違いがなさそうだ……


それは後に錬金術師を通じて人族にも伝わることになった伝承であった。



「おい坊や!!ギルドを出る前にそのマジッククロークと装備を全部『倉庫』へしまって行きな!」



「え!?……モルガンさん……何故ですか?」



 僕はモルガンの最後のおねだりかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい……



「アンタは国境へ行くんだろう?武器やら装備を見たら追い剥ぎに合う。それに国境の警備兵が細かくチェックすればマジッククロークだってバレて取り上げられちまうよ」



 僕はその言葉をよく理解した。


 国境警備兵は、騎士団の眼の届かない場所に居る。


 多少問題が起きても現場の判断に委ねられるのだろう。



「じゃあ……執務室でスキルを使わせて貰って着替えて行きます……」



「ああ!そうした方が賢明だ。マジックバッグ程度だったら怪しまれないさ。あと、そこの机にある『旅の道具セット』を持って行きな。手ぶらじゃ流石に怪しいからね!」



 僕は『鍋とか皿とか最低限のものは持ってますよ?』と言うが、『アンタの持ち物は、国境を目指す装備では無い』と一喝されて終わった。



 たしかに旅慣れている、ハイエルフたるモルガンの助言だ……間違っているはずもない。


 僕は倉庫への扉を壁に出して中に入ると、荷物棚へ持ち物を纏める。



「残念だねぇ……テレサは留守か……」



「何か言伝があったら伝えておきますよ?」



「なに……大丈夫さ。既に置き手紙はさせて貰ったさ!」



 抜け目の無いモルガンだったが、アナベルとの積もる話は終わってないのだろう……



「スラにモンブラン……お願いがあるんだけど……いいかな?」



 そう言って僕は二人にお留守番兼伝言役を頼む……



 手紙は渡すが、誰かと直接会話をした方が、その気持ちは伝わりやすいだろう……



「さて……準備が終わったならさっさとお行き!……国境馬車は既に定刻を過ぎているからね……まぁ運良く今日は『出られてない』だろうけどね?」



「出られてない?どういう事ですか?モルガンさん……」



「行ってみればわかるよ!さぁ後悔する前に早くお行き!」



 半ば強制的に追い出される形になったが、モルガンとはアナベルを経由すればまた会える。


 世界の動向を常にアナベルは探っているからだ。



 ◆◇



「こりゃまたこんな夜更けにどうしたんですか?ヒロの旦那?」



 僕は問題を回避するために、街を出る決意をして乗合馬車が集まる場所へ急いだ。


 するとそこには帝都から戻った時の、顔見知りがいたのだ。



「あ!貴方は確か帝都帰りに一悶着あった人!!」



「あの時はすいませんでした。まさか本当にハリスコさんのお知り合いとは……」



 僕は挨拶も手短に、帝国外へ出る馬車を聞く。



「帝国の外ですかい?まぁ一番近いフォックス・スカイフィールド国境までであれば、今から私の馬車で行きますぜ?問題は封鎖されてて、ひとたび門を出たら帝都には二度と入れやせんぜ?」



「そこをなんとか再度入るにはどうしたら?」



 僕は向こうから来ている冒険者達を知っている……


 どうにかすれば入れることは間違いがない。



「最近は冒険者達もうるさく言われてますからね……。確実に入るならトロル丘を越えて近隣国から入るか、オークとゴブリンの巣窟をー抜けてくるか……あとは傭兵団に加入するほかないですね!」



 僕は『傭兵団?』と説明を求めると、各国には傭兵団があるそうだ。


 戦争を生業にしているので、相手の国力を下げるためにも、その一団だけは通行を許可しているそうだ。



「成程……特例措置なんですね?」


「まぁ傭兵団だから入ったら最後、抜けるのには腕か脚が無くならない限りは辞められませんぜ?」



 説明を聞く限り、かなりブラックな仕事であるのは間違いない。



「御者さんはその後は何処まで行くんですか?」



「私ですかい?国境で警備兵装備を荷下ろししたら、途中は黒鉄村を経由して北の要塞都市に行きますぜ?」



 話では北の要塞都市とは亜人との戦闘が激しい土地らしく、冒険者を届ける依頼は尽きないそうだ。


 要塞都市の名前を聞こうとも思ったが、現時点では帝国から出る必要があるので、聞くだけ無駄だと思った。



 しかしそれ以前に、御者に話を打ち切られてしまった。



 既に出発時刻は、定刻からすればかなり遅れ気味だと言う。



 それもその筈で、この街からはお忍びで来ていたお姫様が慌てて出て行ったのだ。


 一般の馬車が同じ時刻帯に、同時に出られるはずもなかった。



 出発を見届け安全を確保したのち、一般車両は通行許可が出るそうだ。


 しかしそのお陰で僕は、その日最後の乗合馬車に間に合った。



 ◆◇



「でも旦那みたいな人がこの馬車に乗ってくれるだけで、この旅程は大船に乗ったもんですな!!」



 御者の男はそう言うが、道中で降りる予定なのでその事を言っておく……



「本当にフォックスで降りるんですかい?まぁ戦争も無い分命の安全はだいぶマシですが……帝国ほど向こうは仕事なんてありやせんぜ?」



「まぁトロル丘とか、ゴブリンの巣とかも見ておきたいし……その討滅依頼もあるんじゃ無いですか?」



「ゴブリンの討滅依頼は良いですが、トロル相手はやめた方がいいですぜ?冒険者ギルドで扱う小型種じゃなくて、知恵の高い個体で大型種のトロルの方なんで……」



 僕はその言葉で『トロルキングダム』の話を思い出した……



「もしかして……トロル丘って……トロルキングダムとか呼ばれてるトロル王国ですか?」



「なんだ。旦那さん知ってるんですかい?トロル丘を経由してその奥がトロルキングダムですよ」



 そう言った御者は『だからいかねぇ方が身の為なんです。必死に丘を抜けても、それ以上の数のトロル相手じゃ骨も残さず喰われちまう……』と言う。



 言われてみればごもっともだ。



 しかし僕は、折角なので助けたトロル達にも会っていこうと言う気になった。


 何故ならば、魔法の地図の事もある……



 『もっと重要な何か』を見つけられる可能性も濃厚なのだ……



「因みに御者さん……トロルって長生きなんですよね?」



「俺が知るわけねぇでしょう?御者はトロルとあったら念仏しか唱えられんですから!!」



 それを聞いた周りの客も笑い始める。



「御者の言う通りだぜ?若い冒険者のアンタ。大型種のトロルに会ったら御者だけじゃねぇ。俺達だって近場の物陰に隠れるしかねぇよ!!」


「ああ、違いねぇ!!」



 そんな話をしつつ、僕はマジックバッグからスモークジャーキーを出す。


 話しているうちに小腹が空いたからだ。



「悪いな兄ちゃん……この肉の代金分は、俺達がお前さんを守ってやるよ!」



「有難う御座います!そうして貰えるとあげた甲斐があります!」



「冒険者の旦那方、守って貰うのはあっし達の方になりますよ!なんせ出会い頭に魔物を始末しちまうんですから!その旦那は……」



 そんな馬鹿な話をしつつも、馬車はどんどん道を進む……



 途中何度も休憩を挟み、馬を休ませる。


 魔物に追いかけられた場合、全速力で逃げる必要があるかもしれない。



 だからこそ、御者は馬に無理をさせることは無い。



 ちなみに夜営はまだ先なので、馬の休憩は30分程だ。


 初めての休憩を終えてから、魔物が出たのは3回目の休憩時だった。



 御者の話では山道だったので、休憩を多く挟んだそうだ。


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