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第1022話「古文書と記された名前」

こんばんわー!更新時間が取れずにすいません_(:3 」∠)_


久々に遠方に住む、知り合い家族に連絡してました(´・Д・)」オソクナッタッス!


前回までのお話……


秘薬をペダルファ姫殿下に渡した直後、主人公は街を出る決意を固める。

 

帝国の鑑定士は侮れない……もし製作者情報などを知る方法があれば、悪辣貴族に狙われる確率が増え危険しかないからだ。


どれだけ強いステータスを持っていても、状態変化に抗う術がない事は既に身をもって味わっているからだ。


姫殿下達が去ったのち、急いで行動を移した主人公は、魔導師ギルドのモルガンの元へ向かった……


それは別れを告げる為だった……


しかし驚く事にモルガンは、師として最後の修行を切り出したのだった……




 僕は古文書に目を通すが、その内容には驚きが隠せない。



『記録……業1245天。血の錬金術師レスティナの神事にて、星の記憶から情報を得た。情報は現現在の錬金術師達では理解不能な為、先の術師の為にその内容を記す。次の内容がその情報である。<彩319天……錬金術師モルガーナの手により、時が止まりし錬金術師が我々の悲願である覚醒を果たす>この情報は現暦でも過去暦でも無い為、今より先の情報だと思われる。この文書を読む術師は語り継ぎ、後世へ伝えよ』



「モ……モルガンさん……これって!?」



「対象者はアンタで、モルガーナはアタシの名前だと言いたいんだろう?……ああ……多分そうさね……。でも面白い事を教えてやろう。彩319天と言うのは今では無いんだよ」



 そう言ったモルガンは『今は彩314天の氷月だ。この示す日までは、残す所5天……って事さ』と言った。



「どうだい?面白いだろう?今のこの世には、当然アタシらの知らない隠れ住む錬金術師が居る可能性もある。だが……『時が』止まりしと言う表現は、この世界の表現では無いという事になる。先日テレサから得た情報では、それはヒロ。アンタの世界の表現だろう?」



「でもモルガンさん……この古文書には一つ問題があります。個人名もその年を示す記号も幾らでも悪用できてしまう。この古文書を読んだ錬金術師なら……書き換えだって……」



 答えてくるであろう回答は、『エルフ族にしか伝わってない』と言うと予想した。


 だが、モルガンの回答はその予想を裏切った。



「ああそうさ!エルフ族にはモルガーナという名前と、その彩と言う歴史情報が度々出てくる。それどころか人族も同じさ」



 既に僕が求めた回答が予想と違うと察したのか、モルガンは笑う。


 その様はまるで『お見通しさ!』と言葉無く語っているかのようだ。


「じゃあ……それは僕じゃないかもしれないじゃないですか!!」



「ああそうさ!でもね、この情報は師匠から弟子に受け継ぐ習わしなんだよ。そして大きな問題をアンタは忘れている」



 僕は何かと思って尋ねると、その内容は至って簡単だった。



 引っ掛けでも何でもない……錬金術師を探そうにも、今の世界では見つからないのだ。


 その上、この条件に当てはまるとなれば、それこそ探すのは難しいだろう。



「モルガンさん……」



「あたしゃアンタだと言っている訳じゃない。そもそもだが、師匠は弟子に技術を教えるもんだろう?」



 そう言ったモルガンは金の製錬釜を作ってみせる。


 それは僕が作れそうも無い精度の魔力容器で、多重構造且つ不思議な形をしている。



 容器内部だけで複雑なその形は、映画で見るような実験器具を彷彿露させる。


 その全てが魔力で形成されているのだ……運用するとなれば、尋常で無い集中力が必要になるだろう。


「よく記憶に焼き付けな。アタシがこの世界にいつまで居るかも分からない。アンタが製錬釜を作りたくても師匠不在じゃ出来ないだろう?」


 モルガンは『……と言っても、アンタは今まで自己流でやってきたんだったね!なら……放っておいても到達してたかもね!』と言う。


 僕は会話しつつも、集中を乱さずポーションを作る練習をさせられている。


 それも慣れない銅の製錬釜での作業だ……


 失敗はつきものだと言うがあまりにその量が多い。



 製薬に失敗すると、その液体は錬金釜の外に排出される。


 薬液が丸々無駄になるのだ……



 ◆ ◇



「アンタにしては意外にかかったね……ようやく50個終わりかい?じゃあ魔力形成されてる大フラスコにそれを全部移して、上から魔力水を充填しな」



 そう言ったモルガンは、作業最後の最重要工程を教えてくれた。


 それは、器具の余計な部分を取り除き、錬金釜に蓋をするのだ。



 それが出来れば、後は自動でやってくれるそうだ。


 

「モルガンさんこれは!?錬金釜の銅細工が……腐食していきますけど?……これで大丈夫なんですか?」



「ああ、これで良いんだよ。正常な動作さ……」



 作業が終わると同時に錬金釜の外装は崩壊消失し、内部の大フラスコだけが残る。


 その状態までいくと、モルガンは集中するように言った。



「ここで気を抜くと、その魔力フラスコが消えて中身が床に溢れちまう。注意して部屋の隅に用意した樽に移すんだ」



 言われた通りに終わらせると、モルガンは木の蓋でそれを固定する。



「よくやったね!あとはコレを明日にでもアタシがハリスコに納品すれば……あいつが各ギルドに等分にして配達してくれるよ!」



 完成した様を見たモルガンの表情は、何やら非常に晴れやかだった。



 その後のモルガンは、別れ話が苦手な様で『ドドムの事は任せておきな!』といった……


 そして僕を安心させる為であろうか……問題貴族の顛末を掻い摘んでしてくれた。



「それにしてもコセ家の馬鹿セガレには良い薬だった筈だよ。暫く謹慎させられる筈さ。これで少しはこの街も良くなると良いけどね……まぁ未来までは変えられない」



「そのうち起きると思われるスタンピードの事ですか?」



 僕は『すいません……その原因の一部はどうやら僕と同郷の向こう側の人間が原因の様です……』と謝罪を入れて簡潔に説明をする。



「そうなのかい?」



 そう言ったモルガンは、何やら気まずそうな顔をする。


 そしてそのあと『そのホリカワと言う馬鹿がやらかした事の一端はハイエルフにもあるね……それは我がハイエルフ族の秘術だからね……』と言ってその魔法を説明してくれた。


 ハイエルフの様な長寿を欲しがった人族の王は、かつてハイエルフの国と国交を得たそうだ。


 その時に贈られたのが、その『秘術』だという。


 どうやって、あのホリカワが手に入れたかわからない。


 だが持ってはいけない相手に渡ったことは確かだ。



「アンタみたいなヤバイ奴に渡るのも考えもんだから、魔法について話すか悩んだが……。知らなければ永遠に対処が出来ないからね……」



「と言うことは……対処法があると?」



「あの魔法は元来、一時的な延命の為のもんだ。それを延々と続ければ魂も精神もぶっ壊れちまう。かつての人間の王の国の様にね!」



「……と言うことは……勝手に自滅すると?」



 モルガンは頷いた後に『そいつの魂と精神の一部を封じ込めた、六つのトーテムがある筈さ。それをぶっ壊しさえすればソイツの寿命は終わる』そう言ったあと、彼女は一つの砕けたトーテム像の上半分を出す。



「これがかつて栄華を誇った国の王の末路さ。奴は狂ってからハイエルフに戦争を仕掛けた。そして自滅して王国ごと滅んだ」



 そう言ってから砕けたトーテム像を投げてよこした。


 しかしそのトーテム像は上半分が苦悶の表情を浮かべて、『うゔぁー』と声を上げている。



「うわぁ!?気色が悪い!!」



「だろう?引き裂かれた魂は像に残り、残された精神は蝕み続けられる」



 そう言ったあと、『それが残る限りは成仏出来ないし、そもそもトーテムからは引き剥がすことが出来ない』そう言った後僕の手からトーテム像を回収した。



「ソイツはそんな事をしでかしてまで、この世界で何かをしようとした。そしてそれは現在進行形だ……充分気をつけるんだよ?既に壊れてる可能性も捨て切れないからね!」



 僕はモルガンにお礼を言ってからギルドの出入り口へ進んだ……


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