第1015話「ギルド報告とイコセーゼの愚行」
こんばんわー(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾夜なのに暑い!!
気分を切り替えて更新death!
前回までのお話……
ダンジョンから出た主人公はギルドへ報告へ……
そしてその足でディーナの元へ急ぐ。
しかし既に情報が漏れ、あちこちに異変が見られた……
パラムの誘導に僕は従い、僕は移動の準備をする。
「ヒロ……性根の腐った貴族共はこの秘薬が欲しい余り、食い詰め者の傭兵共を雇って襲わせるかもしれない十分気をつけろ。もう情報は漏れていると思え!」
ギルマスは向かおうとする僕にそう注意を促す……
そして扉に向かおうとすると、周辺の冒険者は僕に口々に声をかけてくれた。
「おいギルマス!!ここに仲間を襲う馬鹿はいないぞ?それに彼には俺たちどれだけ助けてもらったか……武器に傷薬、飯も入れたらそれこそ親みたいな存在だ!!」
「そうよ?その奇跡のポーションだって、どうせ誰かにあげる予定なんでしょ?彼はお人好しのお馬鹿さんで有名なんだから!まぁその誰かは既にわかってるけどね?」
「グビグビ……ぶはぁ!!貴族の馬鹿どもは儂たちに任せとけ!上手く撒いとくからのぉ!そのかわり上手くいったら酒奢れよ?」
「お前なら平気だろうが……間抜けとお人好しが致命傷だ!とりあえず気をつけて渡してこい。だがくれぐれも俺を除け者にして、一人だけで街で暴れないでくれよ?うははははは!!」
そう口々に言われて、僕はギルドから送り出された。
◆◇
西扉はギルドとほかの建物の隙間に通じていた……細い通路なのでよく注視しなければそこから誰かが出入りしているとは思わない場所だ。
「ヒロさん、ここからは十分気をつけてくださいね?秘薬という時点で周りは全員敵だと思ってください!」
「パラムさんありがとう!じゃあディーナさんに飲ませてからまた報告にきますね!」
「うふふふ……ヒロさんのそういう所が皆さん好きなんですよ?難癖つける奴らは私たちに任せておいてください!あらぬ方へ誘導して、ギャフンと言わせておきますから!」
僕は『よろしくお願いします!』と言って、その場を後にする。
街はギルマスの言う通り、騒然としていた。
元々ダンジョンが踏破された情報が行き交い、その直後ダイバーズに騎士団、あとはナントカと言う冒険者がその話題に乗っていた。
ナントカは面識がないので覚えてないが……いずれ関わりを持ちそうな予感がある。
それはそうと、踏破情報だけで貴族達は動くらしく貴族のお抱え騎士達が多く街を跋扈している。
お互いを牽制しているので、勅命を受けているのは間違いなさそうだ。
生憎僕の素性を知っている貴族ではないので、騎士達は僕が目の前を通り過ぎても注視もしない。
そもそもソロの冒険者に注意を向けるのは難しいだろうが……
僕は知っている帝都の騎士団はなるべく避け、裏道を使いながら下宿先へ向かう。
「ヒロの旦那!……コッチです!!」
「ハ……ハリスコさん?」
「シ!この先は既に帝国の騎士と悪辣貴族では封鎖されてます。あの恩知らずの帝国騎士団どもです!!」
「え?って事は……ヴァイス騎士団長と……誰?」
「ヴァイスは東側です。その配下ですが、悪辣貴族の傀儡が混じってるんですよ!」
僕はハリスコの言葉にビックリしてしまう。
まさか騎士団内部に潜伏してるとは夢にも思わなかったからだ。
「こっちの道はディーナ嬢の家の真裏に通じてるんですよ!こんな事もあろうかと隠れ道を作っておきました!!」
「流石ハリスコさん!」
「俺を信じてくれて、愚息のモルダーに大金を任せてくれたんです!コレくらいしねぇとバチが当たっちまう!ってか話してる暇はありやせん。ディーナ嬢の事に奴等が気づく前に急いで!!」
僕はハリスコの手引きで安全にディーナの自宅へ着いた。
しかし当然前の道は既に多くの兵士が行き交うので使えない……ノームに塞いでもらった穴が恨めしい……
『主様壁ならまた塞げばいいんじゃないですかのぉ?』
「え?あ!そうか……また頼める?」
『構いませんぞ?秘薬を飲ませている間に、儂等が直しましょう!』
そう言ってノームの長老とノーミーが化現する。
そして長老は持っていた杖で壁をこづくと、そこの壁が『スッ』っと無くなってしまう。
『壊さなくても消せばすみますからのぉ……ふぉっふぉっふぉ……』
そう言ったノームをメルルが直視する……
「お母さん……お家の壁がなくなちゃって……お穴があいてる……また壊れちゃったよ……お家」
「ええ?何を言って……あああああ!!か……壁が……って……あらヒロさん?」
瞳に涙を溜めて泣きそうなメルルだったが僕を見て、すぐに泣き止んだ……
そしてテクテクと近づくと『壁を壊しちゃメ!』とお叱りを入れる。
「お兄ちゃん!ずいぶん遅かったね〜心配したよ?お昼までには帰るって言ってたのに!何か食べられそうな魔物はいた?」
「今日はお見送りがあったから、ダンジョンへ行くのが遅くなったんだよ。ゴメンね遅くなって?」
僕はそう言った後、ブルミノタウラーの肉とフルーツラビットの肉を机に置く。
フルーツラビットはダンジョン踏破の前にスワンプ・タートルを凍らせ中に部屋へ飛び込んで来た個体だ。
部屋に入るなりその場で凍えて動けなくなったので、あっと言う間に捕まえられた奴だ。
「お兄ちゃん!メ!実は薬の材料探してたんじゃなく、うさぎさん探してたんでしょ?食いしん坊だからなぁ〜お兄ちゃん!」
「コラ!メルル駄目でしょう?ヒロさんはわざわざ危ないダンジョンまで、素材集めに行ってくれたんだから!そんな言い方したらお父さんだって怒るはずよ?ちゃんと取ってきてくれたことに感謝しなさい!」
「ごめんなさい……お母さん。でもね?お兄ちゃんがお母さんを治してくれるって言ったんだよ?勿論……お父さんみたいに帰って来なかったらどうしよう!……って、凄く心配したんだよ?」
そう言ってメルルは泣いてしまう。
僕とディーナの共通認識は『ドドムは生きている』だが、メルルはその事を知らない。
既に死んだと思っている訳ではないだろうが、母を助けてくれる唯一の協力者であるとの認識はあるのだ。
そんなメルルの様を見て僕は、マジックバックに手を突っ込んで秘薬を探す。
そして泣きじゃくるメルルに『薬はもうあるから、お母さんに飲んで貰って、そのあとご飯にしよう!』そう言ってポーションを見せると、凄く喜んで引っ掴むように取る。
そしてディーナへ持って行くと、すぐに飲むように促す。
「ヒロさん……それは…ポーション?見たことの無い色ですが……ちょ……ちょっと待ってください!この形本で見た事が!!」
そう言ってディーナはすぐにドドムのメモ付きの本を漁る……
「やっぱり!!これにそっくり…え!?ま……まさか!最下層へ?そんな筈ないですよねヒロさんソロって話はずっと聴いてますし……こ……これは……ヒロさん……どうやって得たのですか??」
「え?手に入れた過程の話は長くなるから……飲んだ後話しますよ。まずは呪いを直しましょう!」
僕は『どうぞ!どうぞ!グビっとどうぞ!』と言ってズイっと前に出す。
「ま……まさか!?本当にヒロさん……あのダンジョンを1日も掛からず踏破されたのですか!?」
「ええ……だって転送陣に乗ればあっという間ですよ?あ!?まさか1階層から歩いて行ったとか思ってます?そんな冒険者居ないでしょう?」
「いえいえ……そんな事を言ってる訳ではないんです!そもそも、そのポーションを皇帝陛下へ献上すれば、大金と爵位が頂ける代物なんですよ!?」
そう言ったディーナは、ビックリしつつも秘薬から目を離せない。
メルルの養育費への金額換算をしてないと良いのだが……




