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第1012話「階層主の扉とダンジョンの主」

おはようですっぽー\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/ぽっぽっぽー


前回までのお話……


最下層で亀狩りをしていた主人公は、階層主の部屋を発見する。


雪ん子と話しつつもその中を伺うと、禍々しいナニカの存在を目の当たりにした。


それがここの階層主であり、ダンジョンの主であることは明白だった……


 20階層のボス部屋らしき扉は開け放たれていて、中は伺える……


 この20階層の魔物はダンジョンの主かと思われたが、どう見ても下層階段が一番奥にある。



 石畳はそのまま階段となり、更に奥に続いているのだ……



 そして中央にいる魔物は微動だにせず動く気配は無い。


 その体躯はさほど大きく無い、2メートル程度だろうか?



 しかしその様は毒々しく禍々しい。



 何故なら、その身体には見た感じ表皮の様な物は無く、筋肉が見えている。


 よく見ると、右腕は肘から先は変異して、蟷螂の鎌のようになっている。



 内臓は裂けた腹から飛び出して垂れ下がり、地面にまで達している。


 しかし気色悪い事に、その先端は肉食ワームの様な歯がチラリと見える。


 どう見ても変異してしまい、元の形状を維持していない様だ。



『まぁ……入ってもヤバかったら外に逃げれば問題ないか……一応鑑定だけはしとこうかな……』



 そう考えてから鑑定をする……この時点で僕は引き返すべきだった……


『20階層・階層主 名称……デモン・レブナント(肉体) 元人族の王。禁呪に手を染めた結果呪われ、悪魔種へ身を堕とした哀れな王。その体躯には生贄として捧げられた民衆の怨みが籠り、常に腐敗し変異し続ける。<次項……鑑定素材不足により鑑定不可>』



「な!?何だこれ……鑑定素材不足により鑑定不可!?鑑定するにも素材が必要?……鑑定阻害じゃないなんて……初めてのケースじゃないか!!ヤバい匂いしかしない……それに元人族の王?あの危険な魔物が……元王様!?」



 僕はそう呟くと、まるで言葉に反応する様に首をこっちに向ける。



「き……聞こえてるとか……そんな訳……」


 

 僕がそう呟くと、ボス部屋の魔物は周りをキョロキョロ見ている。


 そして部屋を見回し、歩き回る……初めて見る場所の様にだ。



 まるで出られない部屋を、永遠に徘徊する様にするその魔物の行動は、何処と無く後悔を感じさせる。


 

 先程までは見るからに意識は混濁していたが、今は一時的に元に戻っている感じだ。



「今なら中に入れば会話ができる……かな?」



 そう呟き僕は中に入る……



 ◆◇



「お……前は……誰だ。我は王なるぞ……我は……誰だ……思い出せぬ……思い……グゲ……グゲゲ……」



「お約束じゃないか……倒したら記憶が戻る的なやつだろう!?僕がアンタを成仏させてやる!!」



 僕は出会い頭に大魔法『水槍撃』を最大出力で放つ。



『ズドドドドドド!ズババン!!』



「これで成仏………って……う……嘘だろう!?それって反則だ!!」



 一撃目こそ当たった様だが、二発目以降は黒いモヤに中に吸い込まれている……


 破壊されたその身体の半身は、もはや人間では無い紫色の血を吹き出しているが、急速再生で破壊された肉体は再生されている。



「デモン・レブナントって事は……悪魔でもありアンデッドでもあるって事なのか!?」


 僕はそう言うと……



「グゲ……ゴゲ……アイツは敵だ……オ……王ヨ。お……お前は……我が……国の……敵なる者か!!……近衛兵よ……かの敵を討ち取れ!………ゴゲゲ……ソレデ……イイ……グゲゲゲゲ!!」



 その一人二役のやりとりを見て僕はホリカワの事を思い出す。



『中に別の何かが居るって事か……まさかこの王もアイツの被害者なのか……なんて事を……相手は僕たちに関わりのない、異世界の国の王だぞ!?』



 そう思いながらも周囲に注意を配る……既に状況は最悪だ。


 そして空間の歪みから出て来る、全身が腐敗した近衛兵から距離を取る……



 精霊がこの部屋が危険だと言うのがよく理解できる。


 近衛兵は全部で18人……6人1部隊として動いているので3部隊になる……


 その身体からは、濃度の高い穢れの瘴気を噴き出している。



 その濃密な穢れは生き物を取り込むと、あっという間に浸食するのは間違いないだろう。



 何故なら彼等の足元の石畳は、グズグズと聞き慣れない音を立てて風化してしまうからだ。


 

「おぉぉぉ……ゴアァァ………王に仇なす者はぁぁ……」



「ゲボアァ……我らぁぁがぁぁ……ころぉすぅ……」



「最悪だ……アイツらが出す瘴気の量が尋常じゃない………あの王の比じゃないじゃないか!」



 僕は後ろに飛び退くと、即座にアイスフィールドとアイスストームを併用する。


 

「氷魔法……効いてくれ!アンデッドだからこの攻撃単体では死ぬ事はないが……凍らせて粉砕すればあるいは……」



『ビシ………ビシビシビシ……』


 

 アイスフィールドの効果で空気が急速に冷え凍り、部屋全体に氷が広がる……



 そしてその直後に、連続詠唱したアイスストームの猛吹雪が近衛兵達を襲う。



『ゴシャ……ベキ……』



『ミシ……メキャ……ベキン』



 腐敗した近衛兵は先端部から凍りつく……


 しかし既に死んでいる近衛兵は、部位が凍りつこうが問題なく動こうとする。



 完全に凍りついた関節部は、無理に動かそうとした結果砕け、地面にその凍りついた身体を打ち付ける。


 そのせいで凍りついた部位は粉々に砕け散る。



『ゴシャ……グシャ………』


 

「なんとか上手くいった!!このまま眠ってくれるとありがたいんだけど……。再召喚なりリポップなりする前に倒さないと!!」



 僕はそう呟くと、体勢を低く構え一気に王の首を刎ねる様に、瞬歩を使い駆け抜ける………



「ぐ!が…………!?」



 言葉少なく王の首は、身体と別れを告げる……


 どうやらこの階層のボスはアンデッドだが、悪魔種の属性が混じってたせいで、首刎ね攻撃が致命傷になった様だ。



「終わりだ……哀れな王よ。安らかに眠って下さい……。貴方の敵は必ず僕が……」



 僕は、全てが終わった……そう思い、王の首に話しかけた時だった……


 予想もせぬ反応が帰ってきた。


 それも首などではない……ダンジョンからだ。



『階層主の討滅を確認………呪われし人族の王が一人腐王は、ダンジョンの主へと覚醒されます……扉の施錠完了。撃ち倒すか死ぬまで出られません』



「ま………まてまてまて………嘘でしょう!?何さ腐王って?って言うか扉の施錠!?聞いてないよー!!」



 僕は階層主とは遥かに脅威度が異なるダンジョンの主を目前にして、間抜けな姿を晒す……


 扉施錠と聞いて、敵を前に背を見せてしまったのだ。


 ◆◇


「ぐぅ………間抜けを……してしまった……ポーション!!」



「グゲゲ!!哀れなマヌケめ……シネ!!」



 魔物はそう言うと『ドーン・シックネス!!』と言って呪文を使う。



 詠唱文言が無い以上、それは精霊魔法と同じ意味合いが強い。


 相手が使っているのは、既に人族の扱う呪文で無い事を意味していた……

 


「くそ!!またその呪文……瘴気に加えて疫病付与は受けられる訳がない!!……『瞬歩!!』………」



「ソノ傷デ良ク動ク……ギゲゲ!オマエの身体ハ、オレニ都合ガ良サソウダ!!」



 僕は背中に大きな傷を抱えている……


 背中を見せた瞬間、相手はその距離を詰めてきた。


 

 影を移動できる能力なのは、隙を見て鑑定で把握した。



 僕は傷の痛みを堪えつつ、影に注意しながら逃げ回っていた……


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不壊のリュックどこさいった?w
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