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第997話「手の出しようがない!!」

昨日更新できずすいません_(:3 」∠)_汗疹に蕁麻疹カユカユ地獄でしてw


とりあえず更新を(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)


 ブラッディ・プリンを敵と認識したのか、その見慣れない魔物は突進していく。



 先程まで僕が斬っても叩いても、魔法で撃ち抜いても爆散させても、平然としていたブラッディ・プリンだったが、僕が呼び出した個体のたった一撃で、その身体を激しく震わせ始める……


 見た限り、人型となった個体が突き刺した拳の周囲は変色し、あからさまに状態が変化している。



『ブシュゥゥ!!ドシュ……ジュブ』



『グリュ……グニュ………ベショ』



 連続攻撃を受けたブラッディ・プリンは、みるみるうちに動きが緩慢になった……


 ステータスで見ると『猛毒・弱性麻痺・混乱・一部石化・部分溶解』と……どんどん異常が増えていく。



 ブラッディ・プリンが持つのは『無効』ではなく『耐性』なので、それを上回った異常がゆっくりと影響として出ているのだろう。



 今が攻撃のチャンスと理解したのか、ミミックジェリーは自分の身体を粘体へ戻し、次々と突き刺しては毒を注入する。



 名前にヒューマノイドと擬態がつくだけあって、人の容姿を持つこの個体は細部まで人の様だ。


 しかしその擬態を解いた瞬間、ブラッディ・プリンの様な液体とマッドネス・プディングだった時のゲル状の中間を思わせる形になった。



 そして動きがほぼ停止して悶え苦しむ敵に、ヒューマノイド・ミミックジェリーはここぞとばかりに相手の体躯に覆い被さり、相手を貪り喰い始める……



 詳しい鑑定をしてはいが、スライム種だけあって『捕食スキル』を持っているのだろう。


 

 ブラッディ・プリンもスライム種なので声帯など持っていない……


 言葉こそ発しないが、その体躯がうねる状況で苦しみは伝わってくる……



 『グニョン……ビニョン……』と伸びながらミミックジェリーから逃げようとするが、異常の状態変化が邪魔をして逃げきれない様だ。



 そして身体をどんどん喰われていく事で、その容積を著しく失っている。


 代わりに捕食で得た側のヒューマノイド・ミミックジェリーは、その体躯に新たに血色が増えている……


 容積自体は増えている訳ではないようだ。



 粗方食い終え満足したのか、ミミックジェリーは残る部分に毒を注入して敵の息の根を止める……まさに毒殺完了である。



 ヒューマノイド・ミミックジェリーは、見た感じミミック種が持つ擬態を使うと人族と遜色がない。


 言葉を話さないで街に紛れ込んでいたら、誰かしら捕食されてもおかしくない……



 体躯こそ小さくなったが、その凶暴さと脅威度は大きく見違えた。



 鑑定をするとマッドネス・プディングの時のステータスを維持したまま、その体躯だけ小さくなり、より残虐で凶暴になったヤバイ存在だ。


 毒素材を使って素材進化したので、当然だが新しいステータスを得ている。


 だからこそ、この個体が持つ脅威度は鰻登りだ……



「ありがとう!いやぁ……助かった。本当に今回はやばかった……」



『ふりゅん……ぷりゅん』



 言葉が話せないのでミミックジェリーは、人型のままプルプルと器用に震える。


 大きさ的に言えば140センチ位の身長になってしまったので、前の様な迫力こそ無くなって……ある意味可愛らしくなった。


 擬態をしていないと、若干の赤みを持った人形の巨大グミを思わせる体躯だ。


 ◆◇


 特殊階層主を倒した事で部屋からすぐに出られると思っていたが、そうはいかなかった……



『困ったなぁ……仕掛けも何もわからないし……』



『流石にヒロでも仕掛け絡みはお手上げね?でも……このままっていう訳にもいかないわね』



 僕とモンブランはそう話すも、風っ子は何時迄もカビ臭いダンジョンの中に居るのは我慢ならない様で、化現してあちこち調べ回っている…



 スキルで地上へ帰ろうにも、今いる場所はスキル効果が及ばない特殊空間だった……



『風っ子何か見つけた?』



『モンブラン……貴女ね……<何か見つけた?>じゃないでしょう?ここから出られなかったら……ヒロはやがて穢れに飲まれるのよ?皆も分かってるはずよ?ここの汚れの濃密さは!!』


 そう言い放つと風っ子は、八つ当たりで風魔法を近くの壁のぶつける……



『ゴォォォォ!ズドン!!』



『風っ子ちょっとは落ち着きなさいよ?そもそも階層主倒したのに宝箱も出てないのよ?それが出たら出られると思うのよ!』



『そうじゃぞ?水っ子の言う通りじゃ……最終的には儂等ノームとノーミーで壁を破壊するから安心せい』



 ノームの長老の言葉で風っ子はさらにイラっとする……



『貴方とノーミーで漸く私達レベルの力を使えるのよ?まだ完全に精霊化出来てないんだから、無理に力を使ったら消滅するわ!分かってるの?アンタ達』



 僕はその言葉に驚きノームの長老とノーミーを見る。


 すると二人は『一度死んだ命ですじゃ!偶然ですが望んだ精霊になれたのです……もう満足ですじゃ!』などと言う。


 僕はそんな事は望まない……


 折角助かったなら、そのまま精霊として精霊ライフを謳歌して貰いたい。



『そこのスライムもどきも壁に入ったり出たり鬱陶しいのよ!!そんなに人型の身体が嬉しいの?目障りなことをすると、アンタ吹き飛ばすわよ!!』


 風っ子はミミックジェリーにまで八つ当たりをする。



 相当ここの穢れの酷さが気になっているのだろう……


 確かに若干息苦しさは感じるが、不調になるまではいかない……



 ちなみに怒られているそのミミックジェリーといえば、僕の召喚に応じた事で新しい場所に来れたのが楽しいのか、閉じ込められた部屋を駆け回っていた。



 今は?と言えば、風っ子の言う用に粘体になっては壁の割れ目に入り込んで、しばらくするとまた人型になって僕の所に戻ってくる……


 そんなことをずっと繰り返している。


 気ままに遊ぶそれを見た風っ子は、更に怒りが込み上げているのだろう……『あの馬鹿な階層主がこじ開けた隙間があるから、このスライム族が遊び呆けて鬱陶しいことになるのよ!!』と八つ当たりの範囲を更に大きくする。



 怒りの声を上げた風っ子は、ミミックジェリーが遊ぶ壁の割れ目目掛けて風魔法を唱える……



『シュトゥルムヴィント・マルテッロ!!』



 呪文を行使した直後、暴風が吹き荒れ風の金槌となり壁の割れ目目がけて飛んでいく……



『ズゴォォン!!ゴシャ……ガラガラ……』



 砕け散った壁の割れ目を見て、ミミックジェリーは僕の手を引いて奥へ進むように誘導をする……


 どうやらミミックジェリーは隙間で遊んでいるうちにその先の部屋を見つけたようだ。



 今は僕の感知にも隣の部屋がしっかり映りこんでいる。



『な!?か……壁が?』


『風っ子……貴女短気すぎよ?あの新入りスライムってばあの先に部屋があるって言ってたんじゃないの?<遊んでいた>訳じゃない見たいよ?』



『な!?水っ子そう言うなら水魔法で貴女が破壊すれば良いじゃない!!』



『でもオラも水っ子さの言う通り思いますだよ?風っ子さはジェリーちゃんさ怒るだけだべ?あの子さ一番冷静だったべ?』



『う……うぅ……私は……ヒロの身に起きている穢れの影響が心配で……彼が居なくなったら皆で集まる場所がなくなるんだもん……』



『それは大丈夫じゃと思うぞ?そもそも力を見せておらんフランメ様もおるんじゃ……最悪この階層ごと紅蓮の魔法で木っ端微塵じゃろうて……』



 皆にそう言われた風っ子はミミックジェリーに謝罪をするが、当の本人はそんな事には気も止めず、広くなった部屋を駆け回る事が出来て大喜びだ。



 どうやらミミックジェリー的には『先がある』というのと『走り回るのに邪魔』と言う意味があったようだ。


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