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第990話「記憶に残らないローブの男」

こんばんわーꉂ(≧∇≦)あちぃっす!!


今日は非常に暑かったですだー_(:3 」∠)_


前回のお話……


モルガンへかけられた呪……

それは寿命を蝕む呪いだと説明された主人公。


モルガンが、錬金術師としての本業をこなせない理由が明らかになったお話でした。


今回は前話からの続き謎のローブの男についてです!\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/





 執務室から出て来た僕は、依頼書の束を受付嬢に渡す。


 その時に見た限り、この街の回復類の不足状況は思ったより酷い様だ。


 冒険者は取引後に散らず、未だに魔導師ギルドでねばって居た。



 しかしそんな僕の考えを他所に、ギルド職員は話しかけてきた。



「ヒロさん……依頼料ですけど、傷薬物納ってなってますけど……貰う額が逆に高くなってません?売った方が収入は高い筈ですけど?」



「師匠の言う事は絶対らしいです。困ったもんですよ本当に……モルガンさんは……」



「「「「あー!成程!!」」」」



 受付嬢は皆が声をそろえて、哀れな人を見る様に見ながらそう言う。



「それにしても……話では一昨日にも傷薬を交換してたんですよね?それで今日また160個ですか?」



「作るの自体は纏めて作れるんですが……実は容器に問題が……詰めるのも面倒でして。なので傷薬樽を作ってそこから補充を各自にして貰おうかと……」




「「「「き……傷薬樽!?」」」」



「何ですかそれは?名前からしてまるで傷薬が詰まった樽の様な……」



 僕は『そうですよ?』と普通に答えると、受付嬢の1人が異を唱える。



「絶対勝手に補充する輩が出ますよ?許可量以上に取る輩も出る筈です!わたしは絶対反対です」



「まぁ……そうですよねぇ……そうなりますよね………」



「レオノルマさん……でもそれって……私たちが管理すれば……。意外と依頼が回収出来るんじゃなかしら?冒険者ギルドと違って、達成率が低いじゃない?魔導師ギルドって……」



「そうよレオノルマ!ファブレッタの言う通りね。依頼達成率が増えれば仕事の依頼だって増えるわよ!今回のヒロさんの依頼で傷薬の売り出しも出来るし!」



 マリネローぺの言葉を聞き漏らさず聞いていた冒険者の一人は、依頼掲示板から依頼を剥がして受付まで持って来る。



 魔導師ギルドのギルド職員はそれを拒みはしない。


 

 魔導師ギルド証が無かろうが、魔法が使えない冒険者であろうとも文句を言う気はない……


 相手は冒険者ギルド証は持っている冒険者なのだ。



 魔導師ギルドは依頼達成率の事もあり、依頼を受ける魔導師だけに頼ってはいられないのだ。



 持ってきた冒険者は、僕の横に来て徐に質問をする……



「と……ところで今話して居たのは本当かい?此処のギルドで傷薬を売り出すって……売るのは魔導師ギルドだけなのかな?」



「実はですね、今回のヒロさんのギルド依頼の代金は物納払いなんです。なので傷薬を納品していただく事になったんですよ」



「な!成程それじゃあ……納品は間違いなさそうだな!じゃあ……間違い無く買えるんだな?」



「多分ですが……依頼を達成してくれた方を優先して販売になります。ウチのギルマスってへそ曲がりなので……」



 そうファブレッタが説明すると冒険者は『依頼がこなせて金になって、傷薬も買えるなら願ったり叶ったりだ!』と言い始め依頼書を受託する。


 そしてそれを盗み聞きして居た冒険者達は、我先にと依頼掲示板へ群がっている。



「なんか……魔導師ギルドの依頼達成率……上がりそうですね?」



「毎日が凄く大変になりそうだわ……。もしかして私……やらかしたかしら……」



 悔やんだとてもう遅い……回復アイテムを欲する亡者共は放たれたのだ。



 僕は『じゃあ……薬草屋に行って来ます。傷薬作らないとなので……』そう言って僕は魔導師ギルドを後にした。



 ◆◇



 魔導師ギルドから出た時刻は既に19時を回っている。


 日が暮れたので薬草店も閉まっているかと思ったが、閉め作業をして居た店主は慌てて木戸を開けた。



「おう!兄ちゃんどうしたい?……まさか薬草を買いに来たとか言うまいな?」



「ああ……そのまさかです。実はもう使い切ってしまって……入荷してますか?」



「あ……あの量を1日も経たずに加工したのか?まさか……今日魔導師ギルドに入れた薬師ってのは……兄ちゃんなのか?」



 僕が工程をすると……薬草屋のおじさんは『は……ははは……薬草なら腐らせる程あるぜ?どれだけ必要だい?昨日の倍はあるんだがな?』と言ったので、全部買うと言う。



「全部!?マジか?………じゃ……じゃあ必要な場所に持って行くぞ?今日は店仕舞いだからな!持って行くだけなら何処でも行けるぞ?」



 そう言って店主は手引き荷車を用意する。



「じゃあ……スラムのディーナさんの家までお願いします。家の前に投げといて貰えれば、そこから回収して傷薬を作るんで……」



 僕はいっぺんに加工するつもりなので、部屋に入れる必要などない。


 容器は小樽に入れてしまえさえすれば、後は魔導師ギルドでどうにかしてくれる筈だ。



「おう、分かった、じゃあ積み込み次第持って行くよ!ディーナさんの家だな?あの冒険者ギルドで武器売り子やってる、あのディーナさんだよな?」



「ですです……ドドムさんの奥さんのディーナさんですね」



 どうやらディーナの存在も、武器絡みで有名な様だ。


 僕は意気揚々と帰ろうとすると店の店主が『そう言えばこの間の黒本だが……役に立ってるか?』と意味深な質問をして来た。



「え?……はい役に立ってます!大助かりですけど?」



「ああ……そうか……それは良かった」



 歯切れの悪いその返事に僕は『どうしてですか?無料で貰った物ですけど……別に今からでも言って貰えばお金払いますよ?』と遠回しに理由を聞く。



「いやいや!今日もこんなに買ってくれたんだ。アレは無料でいいさ!いや実は……アレを売った相手が今朝来てな。売れたんだな?って聞かれたんで……少年が買ったことを言ったんだ」



 そう話を始めた店主は『安心してくれ!アンタの個人の特徴やら詳細は言ってねぇよ?聞かれたから売れたってだけ言っただけだよ!薬草たくさん買ってくれたついでに、アンタにあげたって説明をな!』と付け加えて言った。



 そう言われて僕は通りを見回すと、怪しげなローブに身を包んだ奴が、僕の見回す仕草を感じ取って逃げ始めた。



『アレか!?……風っ子……悪いんだけどこっそり後をつけてくれないか?あの怪しいローブの人を』


 僕はそう風っ子に念話で指示を出す……


 しかし風っ子の反応は意外な物だった。



『ごめん……ヒロ。ワタシには誰の事を言ってるか分からないわ!?ローブを来た奴って……一体何処?』



『え!?あの通りを今逃げて行った、ローブを頭まですっぽり着てたやつだよ!』



『どんな色のローブの、どんな特徴の奴よ?』



『どんな色のローブ?ってアレ………おかしいな。しっかり見た筈なのに………マッタク思い出せないぞ?』



『ちょっと!しっかりしてよ?追いかけられないわよあ。そんな情報じゃ!』



 僕が風っ子とそんなやり取りをしていると、薬草屋の店主が話しかけてきた……



「あれ?おかしいな……朝に来た奴の事話そうとしたんだけど……特徴が思い出せねぇ……。すまねぇな……兄ちゃん!今度はメモしとくよ!」



「ああ……構いませんよ!」



 僕はそう言いながらも『店主さんは……今の僕と同じ反応?あからさまにおかしいだろう……』と今の状況をよく考える……


 どうやら僕は、あのクラオト・ズロイルムと呼ばれる邪悪な薬草学の本のせいで、新たな問題を抱えた様だ。


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