プールで男らしい肉体を見る
ドキドキして、その後どーしたかなんて覚えていない。女の子だったなんて予想もしなかった、どうりで男子トイレはいつも大の方へ入るハズだ。これで辻褄が合う。
明日、寿樹はまた僕と会ってくれるのだろうか?
もし、会うことがあったら謝って許してもらおう!
そんな気持ちでお風呂の湯船の中で考えていた。
次の日、寿樹は意外にも普通に朝から会って挨拶もしてくれた。
相変わらず口数は少ない方なので僕の方から聞かないと何にも話してくれないが、今回もそうだった。
「昨日はゴメンね。君が女の子なんて知らなかったから…」
寿樹は何も話さなかった。
凄く怒っているのかと思った。
「怒ってるの?ごめんなさい。でも、どーして男の子として通っているの?」
「オレは女じゃない。トイレが大の方で何が悪い。オレは他人に見られたくないだけだ。」
あれ?昨日あんなに大事件があったのにソレが無かったかのように話す寿樹。
僕は寿樹のアソコに男の子なら付いているモノが付いていなかったから、ソレを見てしまったことを謝っているのに、まるで無かったかのように、スルーされている。
そして、自分は男だと言い切る。
ハテナが飛び交う。
でも、夏のプールの時間また僕の思考は覆ってしまった。
寿樹はプールは良く見学していた。
そりゃそうだろう、寿樹は女の子だものと思っていたら。
上半身裸になり短パン姿の寿樹が25メートルプールを泳いでいた!
キツネに摘まれた想いで寿樹を見つめた。
「何だよ健太。オレが女の子に見えるか?」
高らかと笑う寿樹。
手品か?魔法か?アレは夢だったのか?
幼い頃は良く記憶の入れ違いが起こるらしい、でも僕はもう中学生にもなるわけだし、あんなに衝撃を受けた記憶は無い訳だし。
健太は頭をモミクシャにかき回した。
そう、もう既にお母さんを考える時間より寿樹くんを考えている時間の方が増えていた。
寿樹は更衣室で身体をバスタオルで拭くと白いYシャツをサラッと着こなして何だかカッコいい。
長身の長髪(宗教法人の神童として学校が特別許可)でスラッとしていて、どこから見ても女子にモテそうな男の子だ。
羨ましい、僕は身長は低い方で頭デッカチの童顔タイプだ。
小学校の頃からカワイイとしか言われた事がなく、ハッキリ言って男の子にカワイイは全然ほめ言葉じゃない。
だから、いつも寿樹を羨ましく見ているのである。
「よくジロジロ見るヤツだな!帰りまたエロ本見ようぜ。」
と誘ってくる。
今日は、良く喋る寿樹だ。