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滅びゆく世界ー巫女姫と魔術師の鎮魂歌ー  作者: 花菱(ハナビシ)
第一章 ~始まりと…~
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裏工作は順調に

仕事に追われて全然こっちに来られなかった…

 レドリアが眩暈を起こしてから一日経った、その日の真夜中…綾はレドリアと共に

綾を召喚した魔法陣がある地下へ向かっていた。物珍しさにきょろきょろと見て

歩いていたお陰で場所は大体覚えていた。


「あれ…確かここだったのに…」


地下の階段の突き当りが召喚の間であったはずだが、入り口が見当たらない

綾は目の前の壁をペタペタと触っているが何の変哲もない石壁だった

そこへ、レドリアが壁に手を翳すと薄っすらと魔法陣が浮き上がった


「なるほど、魔法でこの石壁を作っているようだ…下がりなさい」


綾が後ろに下がったことを確認するとレドリアは石壁に魔力を注ぎ

大きな音を出さないように石壁を砂状にして崩していく…

そして入り口が開くとそこには複雑な幾何学模様…魔法陣が描かれていた


「これだけの魔法陣を使って綾殿を呼び出したのか…」


「呼び出したと言うか…拉致とか浚う方がしっくりきますけどね」


綾は目の前の魔法陣を見て無意識に握っていた拳に力が入る

この世界の在り方には同情するが、この地に生まれたわけではない

他の時空にある星に生まれ、この世界の事も知らず、両親と妹と暮らし

仲の良い友達が沢山いた世界から引き離され、この世界の(ことわり)に当て嵌められ

しまいには、個人の権力闘争に利用される。帰郷の願いも叶いそうにない

そんな状態に涙が自然と零れてきた…

そんな綾をレドリアは優しく抱きしめる


「綾殿には酷なことをした…許して欲しいとは言わない…」


綾を抱きしめたまま、耳元で言囁いた

綾は顔を真っ赤にして耳まで真っ赤になっていた

それでもレドリアの私服を握りしめ、留まることがない涙を流した


 綾が落ち着いた頃、魔法陣はそのままに陣の構成を羊皮紙に記し

2人は外に出た、そして砂状にした石壁を元に戻した。

リーダス一派に綾召喚の事実がレドリア側に知られていないようにする工作だ

その後、レドリアは彼の腹心である枢機卿に綾を預け、白華(はっか)の宮へ

送らせ、自分も緋蓮(ひれん)の宮に帰り、文机に向かいシェルナ王宛に文をしたためた。

此方の過激派のせいで、一人の少女()の人生が狂い巫女姫と祀り上げられ…世界ただ一本の聖樹…この際世界樹を枯らしかけた原因だったことを詳細に書き込み、現在過激派が自分に毒を盛り次

の巡礼に、傀儡術を掛けたと思っている巫女姫を教皇の名代とし、過激派の筆頭リーダスが

補佐としてついて行くだろうことを書ききり、封筒に入れ蝋を垂らし教皇印で封をする

そして、傍にいた従僕に手渡しなるべく早く届くよう言付け、従僕が退出を確認すると

外の空気を吸うために庭にでた、夜空には煌々と月が輝いていた。


翌日、朝の礼拝が終わった後、綾は緋蓮(ひれん)の宮で日課の魔力制御を行っていた

大分コツも掴めてきたようで、最初の頃より赤から透明になるのに時間が短くなってきた

そして夕方の礼拝前には魔力制御成功のお墨付きを貰った。

礼拝後、レドリアに礼拝以外の魔法…地、水、風、火、の四大元素、光と闇の魔法も

習得するか尋ねると二つ返事で


「覚えます!もしかしたら元の世界に戻れる可能性があるかもしれないじゃないですか!

あとリーダスに一発位入れてやりたいですし!」


巫女姫モードを脱ぎ捨てた綾の本音であるが…


「気持ちもわかるが周りに誰も居ない頃を確認してから素に戻ろうね?」


と叱られてしまった。今は互いに腹心の護衛騎士と枢機卿数名しか居ないので良しとされた。

とされた。

綾は謝りつつ、レドリアと夕飯を共にする約束を朝の礼拝前にしていたので

彼に続いて緋蓮(ひれん)の宮へと向かった。



―――――――――――――――――――――



 一方リーダスの方では綾が順調にレドリアに毒を盛っている事に笑みを浮かべる

あと少しで巡礼の日がやって来る…その頃には床に就いているレドリアに代わり

綾が参詣する、その際の補佐役としてついて行ける…漸く聖樹をこの目で見れる

そして、端枝の一本でも持ち帰ればフィークス神聖国の聖樹も蘇るかもしれない

そうなれば救国の英雄として君臨することも可能た。しかし、過去にシェルナの聖樹の枝を切り

同盟国各地に聖樹を増やそうとしたが、切り口から魔力が大量に放出され、枯れかけたことがあった

『厄災の日』と呼ばれるこの事件…よくシェルナの聖樹が枯れなかったのか…それは各国の

魔力持ちの犠牲の上に成り立っている事を示している、その為聖樹を傷つける事は禁忌とされた

だが、端枝ならそこまで魔力の放出はないだろうと言うのがリーダスの考えだ


「このまま順調にいけば…」


ほの暗い彼の執務室に低い笑い声がこだました。


―――――――――――――――――――――


 綾が四大元素の初級を習い始めた頃から、レドリアの体調は悪くなっていった

眩暈が続き、公務に支障をきたしている…というのは表向きなので、綾は師である

レドリアが心配だからと毎日緋蓮(ひれん)の宮へお見舞いに行っていた

そして、それを利用して魔法を教えてもらっていた。

ベッドに横になり、上半身をクッションで上げて、今日は座学の授業を行った


「このようにして、魔力にはそれぞれ属性があり…」


綾は真剣に机に向かっていた、と言ってもこのあたりの基本は娯楽の溢れた日本人

四大元素の相性などはすんなり頭に入ってきた。下地があるとありがたい…

しかし、その元素を魔法として使うのとはまた別問題であり、術式は流石に創作ものと現実では当たり前だが全然違う、その為その辺はしっかりと勉強するのだった。

綾が巡礼に行くまで後数か月…それまでどこまで伸びるか

レドリアは出来る限り自衛が出来るようにと魔法の在り方を彼女に教え込むのだった。





お読みくださりありがとうございます!

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