希望を求めて
綾のブレなささとリーダスの小物感、久々に書けて楽しかったです!
次期教皇として生活することになった綾は、日中の程んどを教皇レドリアの宮で過ごし、教皇になる勉強をして…いるフリ(一応礼拝時に補佐が出来るくらいの作法は習っている)をしてリーダス一派に不審がらせないようにしていた。ただ、魔法の授業はしっかりと勉強していた。自分の世界に帰る為に、少しでも聖樹を回復させるために…
そして、今日の魔法の授業は魔力の使い方だった。講師役のレドリア曰く、毎日の礼拝での祈りにも魔力が込められているとの事。なので今日は祈り以外の魔法の使い方を教えるとのことだった。
「まず、初歩的な所から行こう」
そう言うと戸棚の中から中くらいの水晶の塊みたいなものを取り出し、綾が座る机に置いた
「それ、どうやって使うんですか?」
ファンタジーでの定番は魔力の有無の確認がベターだが、リーダスに魔力を計られているのでそれはない、少し残念だが、それと同時に傀儡術を施そうとしたことに怒りを覚えた。そんな中レドリアは
綾の座る机の前に水晶を置いて説明を始めた。
「これは自分の魔力を制御するための水晶だ、見ててくれ」
そう言うとレドリアは水晶に両手を翳し、ゆっくりと魔力を注いでいくと
暖かく透明な光が満ちてゆく…綾はその光景をただただ食い入るように眺めていた
「上手く制御できれば水晶は透明な光で満ちる、制御できてない場合は赤くなる」
レドリアはお手本ということで魔力の制御をあえて乱し、水晶を赤く染める
「…こんな感じに赤は制御ができていない印、この状態で魔法を使えば暴走するから気を付けて」
食い入るように見ていた綾は、大きく首を縦に振った
「朝・夕の礼拝の時のように肩の力を抜いて、その水晶に手を翳してごらん」
コクコクと頷きながら、自分の目の前に置かれた水晶に早速手を翳すと、自然に何かが水晶に吸い込まれていくのが判った…
(これが…魔力)
始めて魔力を可視化した綾は真っ赤に染まる水晶をしばし見つめ、レドリアの言う通りに魔力制御をはじめたが…
「うぅ…魔力を制御するって難しい…」
今まで無意識に使っていた魔力を使っていたが、いざ制御するとなると魔力チートも欲しかったなぁ…と思いながら、真っ赤に輝く水晶に再び手を翳し
夕刻の礼拝の時間までひたすら魔力の制御と格闘するのだった。
(剣と魔法の世界で魔力制御をしてきた主人公、ヒロイン達よ…血の滲むような努力をしていたのね…)
半ば現実逃避、半ば気を失いかけた時、夕刻の礼拝の鐘が鳴った。
教師役のレドリアが法衣の着替えの為退出し、綾も自分の宮に戻り、禊をしてから着替えて大聖堂へと向かうのであった。
―――――――――
夕刻の祈りを終え、夕食を食べ終わった頃にリーダスからの使者が来て夜の庭園でお茶をしないかとお誘いが来た。
夜に、しかも当日にこちらの予定も聞かずに誘うとは非常識だとクローラ女史や他の侍女の皆さんはお怒りだったが
綾は使者に散策に行くことを伝え、庭園の東屋で落ち合うことになった。
部屋着ではあれなので、普段着のワンピースに着替え、軽く髪を結って庭園へとクローラ女史と共に向かうのであった。
庭園は綾の暮らす白華の宮とレドリアの暮らす緋蓮の宮の奥にその庭園はあった。
綾が東屋に行くと、すでに来ていたリーダスは既に着いており、椅子に腰かけていた。
そして、綾を見つけるなり、立ち上がって手を引き、東屋へ誘いクッションの敷かれた椅子に座らせた。するとクローラ女史始め従僕がお茶の準備を整え、それが終わるとリーダスが人払いをする。
そんな中、綾はちゃんと術に嵌ったふりが出来るかで心臓がバクバクしていた。
「さて、レミア・ミルレス…今日一日で教皇に何かあったか?」
早速の傀儡術効いています…フリのスタートだ
綾は一回体の力を抜いて前に倒れる寸前でゆっくり目にも虚ろな感じにして顔を上げた…
「いいえ、今日何も…私の次期教皇としての勉学を熱心に教えてくださいました」
「そうか、お前も次の教皇に決まったのだ、しっかり励め、そして私の役に立ってもらおう」
そう言うとお酒の少し入った紅茶を飲む
綾もそれに習うが、こちらの年齢ではお酒を飲んでいい年だが、なんとなく二十歳になるまで飲むのは控えようと、お酒が苦手と言うことにしていた。その為綾の紅茶には薔薇のジャムが入っていた
「私を拾ってくださったリーダス様の恩に報えるよう精進いたします」
内心では恩なんかない、この人攫い!と憤慨していた。
「うむ、では巫女姫様、私はこれより執務がありますので、夜の庭園を楽しんでください」
役職名で呼ばれると傀儡の術が切れるフリをする。
(うーん、声も見た目も良いんだけど…小物臭がするのよね…)
そんなことを考えながら、綾は残りの紅茶を飲み干して、人払いされていたクローラ女史と
夜の庭園散歩に出かけるのであった。
お読みくださりありがとうございます!




