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滅びゆく世界ー巫女姫と魔術師の鎮魂歌ー  作者: 花菱(ハナビシ)
第一章 ~始まりと…~
12/23

教皇と巫女姫

久々に長くなっています

 その日はお天気も良かったので綾は中庭に設えられたテーブルで朝食を摂っていた。

そこへ侍女頭のクローラ女史が今日の夕刻頃に教皇猊下が聖樹への参拝から戻ってくると伝えられた。

この国で一番偉い人…どんな人だろう?怖い人でなければよいなぁ…と思いながら綾は午前中の日課をこなすために朝食を綺麗に平らげたのであった。

 授業は礼儀作法の復習だった、これは教皇様対策だろうと真剣に姿勢を正したり

指の先まで意識したお辞儀等々をこなしていたら、いつの間にか昼食の時間になりクーロラ女史が

レッスンルームに迎えにきてくれた。一息ついてから女史について自室に戻って行ったのだった。


(どんな人だろうなぁ、教皇様って)


ダイニングに向かいながらぼんやりと考える綾だった…

この後の地獄のメイクアップが待っているとも知らずに…


―――――――



 一方リーダスの方は綾の事で悩んでいた

他の聖職者達の前で綾を神殿前で拾い、魔力位が高い為保護し巫女姫として祀り上げた

そのことを今日戻ってくる教皇に話さねばならない…そして、彼女を召喚する為に

魔力をかなり使い、自分の派閥の聖職者にも魔力枯渇死した者が居るなど話せるわけが無かった

教皇が戻ってくるまでにシナリオを用意しなくてはならない…焦りが強くなるほど良い案は浮かんでこない、冷静にならねばと思う程焦る…リーダスは自分の執務室で頭を抱えているのだった。


 リーダスが悩みに悩んだ結果、召喚の間として使用した地下倉庫の入り口を魔法で周りの石壁と同化させ、レリアの事については他の聖職者達が信じている綾が神殿前で倒れて居るところを保護し、魔力も白銀位…しかも教皇並みの魔力持ちだったので巫女姫として神殿で保護している事にした。これで教皇への報告は何とかなりそうだと一人で納得し、執務室の椅子に身を預けた。



――――――――



 そして夕刻、教皇の乗った神輿が神殿に到着したことを告げる鐘が鳴る

リーダスを始め他の枢機卿が前に並び、綾は巫女姫モード(地獄の磨き隊のフルコースを受け、ややげっそりしている状態)でリーダスの後ろに並んだ

教皇は従者の手を借り神輿から降りてきた。綾は降りてきた教皇の若さに驚いた、それ以前に

イケメンであったことで暫く…もう見れないだろう大好きな漫画の主人公を思い出す。


(きゃ~!イケメン!思ってたより若いし!ラノベ物の鉄板だね!…そして!護衛騎士キターッ!自分についてくれてる護衛騎士も良いが、やはりトップを守る騎士は一味違う!)


基本的に教皇等は初老か老齢の方を思い浮かべるが、魔力量の多い者を教皇とするのが

この国のしきたりで、現白銀位の30歳のレドリアが教皇の座に就いていた。そんな教皇を守護する騎士達に

綾は動悸が止まらなかった…綾は騎士ヲタクだったのだ…自分についてくれている中堅騎士も良いが

最高位の教皇様を守る精鋭たち…姿勢の良さからさり気なく辺りを警戒している視線…


(あぁ…かっこいい!彼ら見てるだけでご飯食べられちゃうよ!)


そんな綾をよそに教皇は歩みを止め枢機卿陣に声をかけた


「今戻った、私の留守中変わったことはなかったか?」


(ぐふっ!教皇様、まさか声まで低音のイケボイスだとっ!)


ヲタクである自覚はある…渋メン・騎士が大好物ですが何か?隠す?何それな人種の綾その為類友も多かった、この状況…

腐界に生息している友人なら創作意欲が涌くに違いない…

そんな彼女達の描くほんのり薔薇(初心者向け)を読むのも好きだったので、此方に来て

一番に残念なことだと綾は思った。部屋に帰ったらこの状況を一緒に召喚されたカバンの中にあるノートに事細かに書いて渡せば読める!そう思いながら許可が出るまで頭を下げ続ける。


「教皇様、お慶び下さいませ!教皇様が巡礼中に、この方が神殿の目の前で倒れていたので助けたのですが、魔力値を計ったところ、教皇様の聖樹の選別以来の白銀位持ちだったのです!」

熱弁するリーダスの後ろで綾はただ頭を下げていた。


 聖樹の聖別とは子供が10歳の時に受ける魔力量の測定の儀式の事である

各国にある聖堂や城で魔力量を測定し、一定数値を超えると親元から引き離される

この国では魔力持ちは神殿に引き取られ、神官や巫女としてフィークス神に仕えることが

義務付けられていた。勿論家族には何不自由ない生活が約束されるが

可愛い盛りの子を魔力の値だけで人生が決まってしまうのがなんだかやるせない気持ちになる…

そしてこの国で白銀位であることはすなわち未来の教皇である…レドリアも10歳で親元から引き離され、教皇見習いとして当時の教皇に師事し、聖句の唱え方、各種儀式の手順、礼儀作法、帝王学等…様々なものを詰め込まれていった。最初のうちは家族が恋しく泣いていた時期もあったが、初めて先代教皇と共に聖樹に参拝したとき自分はこの樹を守る為に教皇になるんだと直感で思った。まだ緑豊かで暖かく神聖な気を纏う聖樹、それを祀り祈る者の頂点になる。そう決意した瞬間だった。

 そんな教皇の足元で跪くリーダスを見る、そしてその後ろで頭を下げている白銀位だという少女に

目線をむけ「面をあげよ」と告げた。リーダスに続き綾も顔を上げた


「10代後半くらいか?名は何という?」


「お初にお目通り致します、レリア・ミルレスと申します…今年で18になります」


法衣の裾を持ち上げゆっくりと頭を下げてから、またゆっくりと顔を上げ、レドリアを真っすぐ見る

今までの特訓の成果で優雅な礼をとることができた。

そんな綾を見た教皇は違和感を感じた、10代後半でリーダスが魔力を計り白銀位と判明した

ヴェールの隙間から覗く髪の色は艶のある黒髪、自分をまっすぐに見てくる瞳も同じ黒…

珍しい色合いである、しかも10歳で受けなければならない聖樹の選別をしていれば今頃

自分の後継として引き取っていたはずだ…何かある


「そうか、レリア殿…この国で白銀位を持つものは次の教皇候補となる、その話もあるので明日の昼過ぎに私の執務室へきてもらえないだろうか?」


「畏まりました、猊下の命に従います。明日の昼過ぎに執務室へ参ります」


綾はおっとりとした口調で礼を取り了承した。

そして今までいた位置まで一歩下がった。そして教皇が神殿内に入ると、それに続くようにリーダス達枢機卿たち、綾もそれについて神殿に入り、白華(はっか)の宮へと戻る

宮に戻ると一気に疲れが襲ってきた。ヲタクとしての萌えと教皇様のイケメンぶりに精神が追いついてこなかったらしい…何とかソファーまで行き、ソファーにへ垂れ込んでしまった。

クローラ女史が医師を呼ぼうとしてくれたが、お茶を飲んで休めば平気だと言うとあっという間に

薬草茶を入れてくれた。それをゆっくり飲んで落ち着くと、夕飯まで書斎にいることを伝えると

部屋着にさくさく着替え、執務室の机に向かい一緒に召喚された学生カバンの中から買ったばかりのノートに同じくカバンから取り出した筆箱からシャーペンを取り出して、さっきまでの事を

詳細にノートに書き込んでいったのだった。



――――――――



 一方教皇の方では…



「今年の聖樹の聖別では白銀位の子はいなかった…なのになぜ10代後半のレミア殿が神殿前に倒れていた?魔力持ちは国で管理されるため他国から逃げ出してくることはないだろう…位も位だ、逃げることなど出来ないほど警護の者がつくはずだ…まさか!」


座っていた椅子をけり倒し、教皇の顔はみるみる青くなる

そして机を一回軽く叩くと、黒ずくめの男が目の前に現れた


「私が居ない間の過激派の動向が知りたい」


それだけ言うと男は「御意」と一言言うとあっという間に消えてしまった。


「嫌な予感が当たらなければ良いが…」


教皇はで暮れ行く空を窓から眺めながら1人呟くのだった







お読みくださりありがとうございます!

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