1/4
プロローグ
昔々あるところに……とは言ってもいつから見た昔なのか? そもそも昔なのか? 語る上では現在では? ともかくそんなのはすべて無視して、昔の話。
世界には魔王が居て勇者が居た。
魔王はテンプレのように世界の脅威となり、勇者はその討伐に向かった。
そして勇者の腰に携えるのは伝説的な力を持つ剣……ではなかった。
「アハハッ! どんどん死んでく。こんだけ小さいと全身が弱点判定だ。アハハハ!」
頑強な見た目の砦の隅。小柄な男はそう言いながら、光を纏うように銀色のオーラを発している刃を蟻の行列に向かって振り下ろしていた。
意図的に何度も何度も振り下ろされる刃はアリを殺戮する。
大体察しが付くだろうが、この男こそが、蟻を殺戮しているこの男こそが勇者。
そして、この勇者が使う伝説的な力を持つ武器は………………ダガ―だ。




