最終話 ー 『三人で一つ』絵付き・重さ注意
最終話です。
何やら悪魔が勘違いをしています。
「いっくよぉぉっ!」
フォーンは早速魔法を何発か唱える。
これはシンの防御壁で持ちこたえる。
「いや、だからお前を倒しに来たんじゃねえって言っただろ! ナリーを助ける為に来たんだよ! 何一人で盛り上がってんだ!」
「そうよ、こんなのただのとばっちりよ!」
『あなたの相手をしに気た訳じゃない』と何度も言いたいのだけど、一向に邪魔してくるフォーン。
「僕の為じゃないの…? そんな…そんなの酷いっ!」
フォーンは封じられたナリーの前に位置を変え、
「じゃ、君達が勝ったら許してあげる。」
「また厄介な事を…。 仕方ないわね、いくわよシン!」
「おう!」
「でもね、」
フォーンは笑いながら話しだした。
「封印を解くという事は、神殿がまた崩壊するという事と同じだよ? 逃げきれなくて、以前のように再度誰かに犠牲になってもらう?」
彼の言う通りーー
ナリーは以前この場所に来た時、今のようにフォーンと戦闘になり、神殿が滅びかけた。
封印されるという形で自らの魔力を神殿に注いだナリーは、崩壊しかけていた神殿を支え、私達二人を逃がしたのだ。
「お前が破壊したんだろうが!」
「あはは、ごめんねっ、もう楽しくってさ~!」
そう言うと、
「ねね、嘘なんだよね? 僕の為にまた来てくれたんだよね?」
「違うって言ってるじゃない! 前から思ってたけど、あなた一体何なの!?」
「僕? 決まってるじゃないか。
僕はね…。ただ、遊び相手がほしいだけだよ。」
ジジジ、ギギッ
フォーンの口調が変わった。
その時ーー
「シン!」
シンは、フォーンの”殺意”を拾っていた。
いつの間にか防御壁が展開されていたのだ。
「怪我ねぇか、ファル…っ。」
「平気よ、感謝するわ!」
随分と重い一撃だった。 受けていない私でもわかる。
「こん位…、鍛えただけある…っ!」
シンは回復魔法を唱えた。防御壁を少しも緩めず、何と両立している。
猛烈な修行の賜物だ。
シンについては、攻撃魔導士でありながら一般的な聖職者より聖職者としての力があるだろう。
「いいねいいね、君達やっぱり凄いや!」
彼は続ける。
「そっかぁ。 シン君、支援魔法得てるんだ。なら尚更君から始末しないとね。」
フォーンの強力な魔法が放たれる。
「ぐっ。」
ここは先程同様シンが防御壁で食い止める。
ギギギギと重く鈍い音が伝わってくる。
相当な威力だろう。
「まだまだいくよーう!」
「させないッ!」
私も”殺意”を拾った。
炎纏剣がフォーンの言葉の前に放たれる。
だけど、彼は自分の回りに絶えずに見えない防御壁を張っているのか、全く通用しない。
「うーん、判断はよかったんだけどなあ。 僕のこの結界、貫き通せる?」
「っ…。」
言いながら、フォーンは物凄い速さで魔法を連発してくる。
シンが防御壁で何とか凌いでくれているけど、時間との勝負かもしれない。
何とかして、あの結界を破らなければ。
「どう? シン君、耐えられる?」
「何を今更…っ、耐えてみせる!」
フォーンは嬉しそうな表情で、
「楽しいなぁ! じゃ、もっと行くよぉ!」
凄まじい魔法の連発に、シンは足元から押されている。
私に、できる事はーー。
トクン…
「ファルちゃん、もう怖じ気付いちゃったの?
つまんないなぁ。 怖いんだ?」
ーー怖い?
ううん、もう全然怖くない。
だって一人ではないのだから。
「ほ~らほら。 どうしたの?」
退かない。
必ず、ナリーを助けてみせるのだから。
私は、
トクン…
私達は、
トクン…
「『三人で一つ』なんだよぉッ!」
ガガガガガガガッ!
大地が、激しく揺れる。
それと同時に、私は光に包まれる。
ふ、と気付くと、
「聖杖の、”光”が…三つ…!?」
「!」
フォーンも気が付いた様子で、
「(あれは…!? まさか、聖杖・ハーナ!?)」
眩い光が辺りを照らす中、フォーンは聖杖を凝視していた。
「(何でこいつらがこんな杖を!? しかも完全に魔力が! …今、灯したのか!? まさか…光とは…)」
ーーそう。
”光”の正体は、
『大事な者を助け、守りたいという、”精神エネルギー”』だったのだ。
焦っているフォーンを置いてきぼりに、やがて光と共に、風も荒々しくなる。
いける。
今ならいける。
「悪魔…これでも喰らいなさいッ!」
私は光をレーザーのように操り、放つ。
光はフォーンに命中すると、
パリンッ
彼の結界は崩れた。
「何だって!?」
「「爆火ッ!」」
フォーンが体勢を崩した刹那、私とシンは同時に一点集中魔法を放った。
両方共、フォーンに思い切り入る。
「うぐっ…」
彼が怯んだその一瞬の隙に、私は動いた。
「ナリー、どうか目を覚ましてッ!」
私は封印されているナリー目掛けて、思いきり聖杖を振りかざす。
ガキィン!
何かが、壊れる音がした。
同時に、目も眩む程の光が溢れていく。
その光の中からは、紛れもない”友達”の姿が徐々に見えてきた。
「ナリー、ナリー!」
「…ファル…?」
「平気か、ナリー!」
「シン、も…。」
「…約束したじゃない。 必ずあなたを助けに行くって。」
「…守って、くれたんだね。 ありがとう。 でも、私が目を覚ましたのならーー。」
ナリーの予測通りだった。
封印を解いた後、崩壊し始める神殿。
「ナリー! こっちへ!」
逃げ切れるかーー
いや、逃げ切ってみせる。
あの時のようにはさせない。
必ず、『三人で』帰還するんだ。
「僕、負けるのか…? そんな…そんなの許さない! 許さないか、ら…。」
何とか立ち上がったフォーンは、神殿に向かって大打撃な魔法を放つと同時に、私達に対して強力な魔法を放った。
「これで…神殿と一緒に吹っ飛んじゃえ!」
その魔法は、ナリーのいる方に飛んでくる。
私は慌てて、
「危ないっ!」
と叫んだその瞬間、
「うおおおおおッ!」
シンが、覚醒した。
厚い厚い防御壁が発動する。
崩れる神殿なんてもろともしない。
フォーンが死物狂いで放った魔法すらいとも簡単に弾いてみせる。
ナリーは防御壁の中へ素早く入った。
「神殿なんて、壊したきゃ壊せッ!」
シンの防御壁でガードしてもらいつつ、私達は急いでその場から離れる。
「こんな、はずっ…うわああ!」
呑み込まれたのは、一人の悪魔だけだった。
「ナリー、怪我はない?」
「ええ。 …強くなったね、二人共。……また三人でいられるなんて、信じられない。」
「ずーーっと鍛えてたんだぜ、俺達!」
「…ありがとう。」
そして、
パンッという私達恒例の片手ハイタッチ。
「「お帰り、ナリー。」」
これからも、『三人』で旅をしよう。
平気。もう迷わない。
こんな事、二度と起こさせない。
何より、大事な仲間を失うなんてあり得ない。
私達は、『三人』で笑いあった。
今度こそ、『三人』で神殿を後にした。
「懐かしい、ね。」
「本当だよな! でも、”光”がこんな形で三つ集まったなんてすげーよ! まさか聖杖が丁度ここで覚醒するとはな!」
「あら、覚醒ならあなたもさっき覚醒してたわよ。」
「はぁ!? マジかよ、自覚ねぇよ!」
「自覚、無かったの?」
「ナリーまで…畜生…。」
「でも、逃げ切れたのはあなたのお陰よ。」
「そうだよね。 もしかして、支援魔法勉強したの?」
「まあな。支援魔法覚えた方がいいって話でーー……………………………。」
神殿から街へ戻る為に通る平原に、いつまでもじゃれあう音が響く。
やがて、考える事は皆同じだ。
だからーー
「シン! ナリー!」
「おう!」
「はい!」
「行くわよ!」
ありがとう、二人共。
私達は、ようやく『三人』で新しい旅路へのスタートを切ったのだった。
ーーやっぱり、私達三人は最高のパーティだ!
左からナリー、ファル、シンです。
いろいろ可笑しいのはご愛嬌という事で(^_^;)
ここまで読んで下さった方、いらっしゃいましたら本当にありがとうございます。
また話が浮かぶまでは読み専に回ります。
ありがとうございました!




