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第四話 ー 依頼

今回は少し短めです。


「? 未熟?」


 予約者の言葉に、


「い、いや…そう、料理の話! 卵は未熟な方がいいよねーって!」

「ファル、それを言うなら半熟だろ!」


 シンが小声で話かけてくる。

 私は何とかごまかそうと、


「あ、え、き、気にしないで! 私料理好きだからちょっと話してたの!」

「お前、料理下手じゃーーぐぅっ。」


 私はシンの足を思いきり踏みつける。


「料理、ですか?」

「ああ、いいのよ気にしなくて! それよりお名前は?」


 私は適当にお茶を濁して、


「あ、はい! ルナ・アリと申します。」


 少し離れた所で、 私達は小声で話し合う。


「どうすんだよ、こんな時に。」

「あの時は自信あったからつい…。 そうだ! マスターにコメント書き直してもらえば!」

「いや、このコメントで予約入ってるから無理じゃ。」

「やっぱり?」


 顔から血の気が引く私。

 でも、請け負ってしまったのだから仕方ない、


「やるわよシン。 コメントには書かなかったけど、今度は()()で!」

「御意! 今度こそ俺も付いていく! 二人ペアだからな!」

「ええ、お願い。」

「やっぱ二人だよな!」


 シンが喜んでいる。

 大声で喋り過ぎた彼は、マスターに怒られていた。





「私の仲間を紹介します。とは言っても、あなた方のように二人なんですけれど。 おいで、ニアル。」

「………。」


 ルナさんが苦笑気味に紹介してくれたそのニアルと呼ばれた少年は、ルナさんの後ろから少しずつ顔を出した。


「ほら、挨拶して。」

「…………どうも。」


 ルナさんはまた苦笑して、人見知りなんですと言った。


「私達、親子で行動していて。 この子は魔法を覚えたてで、次の街に行く為にあの魔物が多い空洞を渡らないといけなくて。 早い話、護衛をお願いしたいんです。」



 空洞。

 この辺りの街の特長だ。

 広く長く、他の街に行く為には海を渡るか、その魔物だらけという空洞を通らなければならない。


「ちなみに、ルナさんのご職業は?」

「私は魔導士になったばかりの身です。 なので、この子を守りきる自信がなくて。」

「なるほど。」


 うんうんと頷くシン。久々の護衛依頼に張り切っている。

 コメントはとにかく、頑張り所だ。





「この光は…。」

防御壁バリアです。 この中は安全ですので、ご安心下さい。」

「魔導士さんって凄いんですね。」

「いやいや、俺なんかまだまだで。」


 今の所小さいゴブリン等しか現れない。

 念の為、『無神域ノーマル・サークル』を敷いておく。

 ノーマルというのは、無属性を表す。


 空洞の真ん中辺りに辿り着いた頃だった。


「! シン、前方に魔物が来てる!」

「了解!」

「ニアル、彼女達に任せておけば平気だから!」


 ニアル君はルナさんの声に反応して、ルナさんの近くから離れない。

 一方で、シンは防御壁を強め、私の放った一直線魔法に続く。


 しかし。


「き、効いてない…!?」


 私は仰天した。

 それを聞いたシンは、


「マジで!?」


 ルナさん達を庇うように後ろへと誘導する。

幸い、無神域を張っていたお陰で、すぐには攻撃されなかった。


土刀ドリル!」


 唱えると、グルルルという音と共に巨大なドリルが発射される。


無槍ノーマル・ランス!」


 続いてシンの魔法。


「ファル!」

「わかってる!」


ーー魔法を放った事で一時的に弱まった防御壁を立て直すシン。

 私はシンが防御壁を立て直すまでの間、時間稼ぎに幾つか軽い魔法を打ち、やがて強めの魔法を繰り出す。


神聖槍ホーリーランス!」


 空洞内に、轟音が響き渡る。

 ……



 出口が、見えた。


「よかった、倒せたみたい!」

「よし、ルナさんにニアル君、もう少しだから後方から何も来ないうちに走って!」


 シンが二人を促した。




「本当にありがとうございました。」


 ルナさんが深々と頭を下げた。


「いいんですよ、依頼ですから。」


 私は守れた事に安心していた。



…トクン…


…ん?

何だろう、この感じ…。


「これ、お礼です。 足りませんか?」

「そんな事ないです! 十分です!」

「ファル、お金もらう時のテンションがーーぐっ。」


 私は再びシンの足を踏みつけ、


「こちらこそありがとうございました! ニアル君、元気でね。」

「……………。」

「こら、ニアル! ちゃんとお礼を言って!」

「…………。」


 ニアル君は黙っていた。

 ルナさんがすみません、と一言。


「いえいえ。では、我々はこれで。」

「はい。」


 シンが軽く挨拶してから、私もお辞儀をし、帰ろうとしたその背後から、


「…………ありがとう。」


 ニアル君の声が、した。





「さーて! 足が痛いーーではなくて! さっさと全部の依頼こなして、登録消して、この街から移動するか、ファル!」

「………ねえ、シン。」

「ん?」


 私はふと口にした。


「誰かを守るって、凄い事だよね。 命が掛かってる場合すらあるよね。 そういう人って、強いよね。 …………ナリー、強かったよね。」

「…………そうだな。」



 何が私にその言葉を言わせたのかはわからない。

 ただ、今は沈黙の中に身を委ねていたかった。






 翌日、私達はギルドの登録を削除してもらい、残り全ての依頼を片付ける事に精を出していた。正直ヘトヘトだ。


「あと、十八件……。」

「お前があんなコメントで登録するから…。」

「ごめん…でもまた寝てスラれないように気をつけようね……。」







「よっしゃ、終了ッ!」

「お疲れ!」


 片手でハイタッチをして、小切手だらけの財布の中を覗く。


「えへへへ……。」

「ファル、よだれ……。」



「さてっと! 次の街に向かうわよ。 神殿のある方へ行くから、東かしら?」

「だな!」

「次回こそ反応しなさいよね、聖杖ハーナ。」


 あまりにも見つからない”ライト”。

 一体どこにあるのやら。


次回、シンの台詞が多いです。

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