大金と冒険者登録と奴隷
何事もなくマルゼンに到着し俺は検問所の中で待たされ、一人の兵士が持ってきた水晶が目の前に置かれた
「はい、この水晶に触れてください」
「これは?」
「これは触れた人が盗賊だったり犯罪を犯してる人だったら赤く光、何も罪を犯していない人だったら青く光る魔道具です」
なるほど、そんな便利な魔道具だったか?そういう物もあるんだな
「はい、これでいいですか?」
触れると水晶が青く光った
「はい、大丈夫ですね。身分証を無くしたそうなので、この仮の身分証を渡しておきますね。1週間の間に冒険者ギルドなどで登録して、ギルドカードを持って来てください」
「わかりました。ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、これが我々の仕事なので」
そして、検問所を出ると
「アマギリ殿!無事に仮の身分証を受け取られたようですね。さぁ行きましょう奥様達がお待ちです」
騎士団長のガラムさんが待っていた
「えぇ、わかりました」
そして、すぐそこに停められていた馬車に乗って、物珍しげに街中を見ていた
「どうです?」
「えぇ、凄いですね。街の人も笑顔があって、素晴らしいてす」
「それはよかったわ。あ、そろそろ着くわよ」
「エリザベス様がお帰りだ!」
門番の方が門を開け入ると、綺麗で広い庭が目に入った
「この庭は、自慢の庭師達が頑張ってくれてるのよ」
「えぇ、本当に綺麗ですね」
そして、馬車が止まり、兵士が開ける。
「おぉ、大きい」
とても、大きな屋敷であった(神界の自分の家と比べるとかなり劣る)
「さ、こちらよ」
「早く行きましょう?」
エリザベスさんが呼ぶと、クリスちゃんが手を引っ張って一緒に屋敷の中に入った
そして、階段を降りてくる金髪藍眼の渋メンが降りてきた
「おぉ、ハニー!」
「もう、貴方ったら恩人の前で」
そう言ってエリザベスさんに抱きついた
「ん?おぉ!君がハニーと娘を助けてくれたアマギリ君だね!聞いてるよ!さぁ此方に来てくれ!」
テンションの高い人であった。そして、2階の応接間に入った
「自己紹介をしていなかったね。私の名前はグラン・フォン・マルゼンだ、気軽にグランと呼んでくれ」
「いえ、流石にそれは」
「いや、君は妻と娘を助けてくれた。それに君のような誠実な人が私は好きなんだ。だから私とは友として接して欲しい」
「……わかった、よろしくグラン」
「あぁ、よろしく頼むよ、アマギリ君…とと、そういえば助けてくれたお礼をしていなかったね。ハンス、例の物を」
そう言って扉の横で待機していた執事のハンスさんが何かを渡してきた
「この袋とバッジはなんですか?」
「袋の方は白金貨100枚、バッジは私の侯爵家の紋章が入った勲章だよ。それがあれば国のお城でも入れるようになるし貴族御用の店でも入れるようになるから失くさないようにね」
「そんな凄い物を…あのぉ、すいません。白金貨とは?」
「え?…あ、そうだったね。記憶がなくなってたんだったね。まずは貨幣のことを説明するよ…」
なるほどつまり大体は
鉄貨=10円
銅貨=100円
銀貨=1000円
金貨=100000円
白金貨=1000000円
ミスリル金貨=10000000円
てな感じか
・・・え!?いきなり一億!?
「さ、流石にこんな大金貰えません!」
「いやいや、これでも少ない方だよ。もしかしたら君が助けてくれなかったら妻と娘は命を落としてたかもしれないからね。だからこれでも少ないんだよ?だから、受け取ってくれ」
「………わかった、受け取るよ」
「それはよかった!あ、それと君はその強さだから冒険者になるんだよね?」
「え、…そうだね冒険者になろうと思っているよ」
「それなら私からギルドに推薦状を書こう」
「い、いや、流石にそこまでわ」
「いいから、君は紅茶でも飲んで待っていてくれ」
「あ、…行っちゃった、仕方ない待つか」
そして、10分後
「ふぅ、書いてきたよ。推薦状、これをギルドの職員に見せればいいよ」
「本当なにからなにまですまない」
「いいんだよ。私がしたいからしてるだけなんだから」
「それじゃあ、俺はそろそろ行くよ」
「もう行くのかい?もうちょっとゆっくりしていけばいいのに」
「早くギルドに登録して、検問所に行かないといけないから」
「そうかい」
そして、玄関まで行き
「またねアマギリ君。何か困った事があったら遠慮なく来てくれ。門番には伝えておくから」
「あぁ、それじゃあ」
「またね」
因みにエリザベスさんとクリスちゃんはお風呂に入っていたから来なかった
そして、門を出て、門番の人に冒険者ギルドの場所を聞き、向かう
冒険者ギルドに着き入ると
ガヤガヤガヤガヤ!
カンパーイ!!
予想してたより綺麗な所だった。そして奥のカウンターで行列が出来ていた受付より空いていたカウンターの方に行くと一人の歴戦の戦士といった感じの人がいた
「ん?なんの用だ?」
「冒険者登録をしたいのですが」
「それならこの紙に色々書いてくれ」
「あ、それと侯爵から推薦状を頂いているのですが」
「ブッ!」
ガタン!ゴシャン!ドガン!
ギルド内が騒がしくなり
シーン
直ぐに静かになった
「ん?どうしました?」
「お前、侯爵からの推薦状って言ったか!?」
「言いましたね」
「…ちょ、ちょちょこっちに来い!」
「え?あーれー」
腕を掴まれ2階に連れられていった、そしてギルド内は
「おい、今のあいつ侯爵から推薦状って言ったぞ!?」
「あぁ、俺も聞こえた、てことは」
「侯爵様が推薦するほど、強い!」
「もしかしたらS級になるかもな」
「わからん、でももしかしたら現最強冒険者レベル150の『蒼天使』に並ぶかもな!」
「ちょっと、ちょっと!今の人誰!?この街では見かけない程めっちゃイケメンなんだけど!?」
「知らないよ!私も見たことないし侯爵からの推薦ってことは凄い人だよ」
「てことは、かなりの有望株!?」
凄く荒れてた
「ギルドマスター!入るぞ!」
2階にあるドアを開けると背の低い白い髭を生やしたおじいさんがいた
「なんじゃ、なんじゃ?そんなに慌てて」
「それが慌てずにいられるか!こいつが、侯爵からの推薦状を貰ったんだよ!」
「!ゴホッ、ゴホッ!そ、それは本当か!?」
「え、まぁ、そうですね。はい」
俺は推薦状を渡すと食い入るように見たギルドマスターが読み終えると
「本物じゃ、しかも昔から世間を騒がせていた盗賊団『疾風の狼』を無傷で取り押さえ、使えるものが現在では2人しかいなかった氷魔法を使うとわ、お前さん一体何者じゃ?」
「ただの記憶を無くして森を彷徨っていたアマギリと言います。あのーそれで、俺は冒険者になれるんですか?」
「あぁ、その強さならS級からスタートじゃな」
S級?なんだろ?
「すいません。S級とは?」
「あ、そうじゃったのぉ、記憶がないんじゃったな。冒険者ギルドではランクが存在して、FからSSSがあるんじゃ。そして今の最高がSS級の『蒼天使』じゃ」
蒼天使、それが情報であったLv150の最強か
「わかりました、それでいきなりS級からでよかったのですか?」
「むしろ当たり前じゃ。前にA級のパーティが討伐に向かったが、返り討ちにあったからのぉ。盗賊たちは数も技術も高くて今いるS級冒険者は3人お主を入れて4人じゃ。そのS級冒険者に任せようと話があって、まぁお主が捕縛してくれたからのぉ本当に感謝する」
「いえ、困ってる人がいたら助けるのが性分なので」
「それはよかった」
「ほいギルドマスター」
そう言ってさっきの受付の人がギルドマスターに何かカードのような物を渡した
「さて、これがS級冒険者の証のギルドカードじゃ。身分証にもなるからのぉ今お主が受け取ってお主の情報を受け取り、お主以外が触れるとただのカードになるからのぉ。それとそれでギルドの金庫を使用できるから失くすんじゃないぞ」
そう言って、金色に光るSの文字が入ったカードを渡してきた
「ありがとうございます。それでは検問所に行かなくてはいけないのでこれで失礼します」
「そうか、それなら長く引き止めておくのも悪いのぉ。それじゃあのアマギリ君」
そうして俺は部屋を出て行った
「ギルドマスター、彼はどうだった?」
「彼は強い、いや強いなどという言葉では表せん」
「どういうことだ?」
「君もわかっておるじゃろ?元S級冒険者『紅蓮の獅子』よ」
「昔の名前だ。それで彼奴は?俺も大抵の人の強さは見ればわかるが、彼奴だけはわからんかった」
「それはそうじゃろう。なんせ彼のレベルは儂でも見れんからのぉ」
「な!?嘘だろ!?ギルドマスターのスキルは相手のレベルがわかる『見切りの魔眼』レベル500を越えない限り見えるはずだ!」
「つまりそういうことじゃ、彼はアマギリ君は『蒼天使』の150を軽く越えたレベル500を越えておる」
「マジかよ!じゃあ彼奴は」
「うむ、誰よりも強いぞ。さて、アマギリ君のことをギルド本部に伝えておかねばな。最強の冒険者が現れたと」
一方アマギリは検問所でギルドカードを見せS級だと驚かれた後、街を散策していた
「やっぱり活気のある街だなぁ……ん?」
そこでふと、奴隷商と書かれた看板を見つけた
「奴隷か、…どうしたもんか、この世界の情報を得るには奴隷が一番良いんだろうが、奴隷っていう前の世界での昔にあった奴隷の待遇を思い出すと、あんまり、なぁ」
考えていると店の中からふくよかなおじさんが出てきた
「どうです?そこのお兄さん。奴隷は?」
「え、あの。どうして、俺に声を?」
「それは貴方が大変素晴らしい服を着ておるからです。貴族ですか?」
「いえ、ただの平民ですよ」
「そうなのですか?でも一度見てください。気にいる子がいると思いますよ」
どうしたものか、でも情報が欲しい。うーん……よし
「わかりました。一度見てみましょう」
「それでは、こちらへ」
そして、奴隷商に入り奥に入ると檻に入った人たちがいた、でもちゃんと服を着せられ食事も与えられているからか健康的な肌をみんなしていた
「それでは1人1人ご説明していただきます。こちらの人族は24歳の借金が払えずに奴隷に落ちてしまった者です。料理スキルに掃除スキルなどの役立つスキルをお持ちです。そしてこちらの檻の……」
そして、1つ1つ説明を聞いていくと1つの檻の子達に目が止まった
「そして、こちらの檻にいますのは何故か森で倒れていたエルフのキャメルとドワーフにしては細い体のミレアそして狐人のシャルルそして狼人のセレアです。どうです?全員かなりの美少女ですけど」
どうしようか、正直買おうかなと思っている。全員から怯えた目で見られてるけど。それに鑑定で出たこの子たちの種族が気になる
名前:キャメル
種族:グランドエルフ
名前:ミレア
種族:グランドドワーフ
名前:シャルル
種族:九尾の狐
名前:セレア
種族:フェンリル
これである。正直なんで?と言いたいが、狐の女の子は何故九尾と書かれてるのに一尾だけなのだろうか?
「この子たちを買いたい」
「おー!毎度ありがとうございます。それではこちらの部屋へ」
そして、応接間で待つと、さっきの女の子たちもくる。…うん、全員可愛い。大体全員が13〜15といった見た目だ
「さて、それでは今から奴隷の紋章を刻みます。すいません、アマギリさん血を一滴この子たちの首に垂らしてください」
そういって、奴隷商の人が魔法を唱えて、4人の首にハートに鎖が巻きついている紋章が付いたところに血を垂らした
「これでいいです。さっき話した通り白金貨12枚です」
「はい、どうぞ」
俺はポケットから出したように見せアイテムボックスから白金貨12枚を渡した
「ありがとうございます。またのご利用をお待ちしております。アマギリさん」
「えーと、君たちの…主?になったアマギリだ、よろしくな」
「は、はい!よろしくお願いします!ご主人様!」
「よろしくです。主様」
「よ、よろしくお願い…します。ご主人様…」
「よろしくお願いするね!ご主人!」
うん、罪悪感半端ない。でもこの世界で過ごすにはならなくちゃそれぞれキャメルちゃんが元気な子で、ミレアが物静かな子、シャルルちゃんが臆病な子でセレアが、うん…犬だな。今も尻尾を振ってる。にしてもさっきまでビクビクしてたのにもう大丈夫なのかな?
「さて、まずは暗くなってきたから宿に泊まろうか?」
「「「「…はい」」」」
なんか暗くなったけどどうしたんだろう?
どうでしょうか?オリジナル種族、グランドエルフとグランドドワーフです。詳しい説明は次回に