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お姫さまは最近、窓へ乗り出して、下を見るようになっていました。
その様子に、召使たちはとても心配しています。
なぜならお姫さまは、そんなに皆から嫌われてはいません。
ただ、昔々からの決まりは、お姫様と話す人をそれなりの身分の者と決めています。だから召使たちはお姫様が何を話しかけようと、それに言葉を返してはいけません。
お姫さまはひとり。
ずっとずっとひとり。
お話をする相手といえば、あの堅苦しい従者しかいません。
「今までずっと、町で暮らしていたんでしょ?」
「そりゃあ最初は『儲けたなぁ、姫さん』って思ったさ。
でもこれじゃあなあ。」
「ただの監禁だよね。
……この場所に慣れてない、あんなちっさい女の子がさ」
「相手があのヒロイ様だろ?」
「頭がいいのはわかるけど、あの気遣いのなさじゃなあ……」
「どうにかしてやれないの?」
「私たちじゃ、結局なんにも出来ないね……」
そんな声が、お姫さまに聞こえていたら。
もしかしたら、もう少し元気が戻るかもしれないけれど。
お姫さまに召使のお話は聞こえないし。
召使は、仕事を失ったら、ご飯を食べて暮らせない。




