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空は近いが、大地は遠い。
この場所は、隔絶されている。
長年使われたいわゆる「お古」のこの塔の外観は、古めかしく所々に蔦が這う。ところどころ端が欠け、修繕がなされた壁は白く厚ぼったい。
一応内装は一級品で整えられているが、どれも「御伽噺」に出てくるような、古い装飾物ばかりだった。
(使いまわしかよ)
姫は、その塔に閉じ込められた瞬間から、今を生きる人間の感覚を失った。
気のせいではなく。
音を立ててそがれる、『昔の自分』がいることに気づいている。
どうやって、あの窓を修復したのだろう?
どうやって、あの地面を走って逃げたのだろう?
どうやって、この世界を抱きしめたのだろう?
全てがあやふやになっていく。
姫が生まれ育った、いとしい大地は。
人間が点にしか見えない、隔絶された世界にある。




