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風が動く。小さな窓際に引っかかっていたらしい、花びらが姫の頬に舞い降りた。
すこし動揺したものの、頬にあるその花びらを手に取ると、お姫様は微笑んだ。
見下ろす小さな大地には、小さな人びとが四角く切り取られている。
その中に一人の人物を見咎め、お姫様はその笑みを深くした。
「おやさしいヒロイ様」
口に出してみるとおかしくて、お姫様は声を上げて笑ってしまいました。
キラキラキラキラ、反射するような笑い声が、塔の中に響き渡ります。その声を聞いた周りの人びとはちょっとびっくりしましたが、その声がいつものお姫様よりも度を抜けて明るかったので、次第に他の人びとも微笑んでいました。
誰かの笑顔が、また誰かの笑顔を呼び寄せます。
お姫様は、隠していた花びらをそっと手に取ると、
たくさんの花に目をやって、返る朝日に感謝する。
贅沢な花はすぐ枯れる。
枯れるその前に花々は去る。
従者は整った服を、土や花粉や汁で汚す。
お姫様は下に花びらを落とす。振ってくる花びらに、あの青年は何を思うだろう。




