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朝から昼になりそうな暖かな日差し、お姫様はまどろみがち。
イライラとした従者の声が、波のようにお姫様を揺らします。お姫様をにらみつけるその顔があまりに怖いので、周りのめしつかいたちは、一歩一歩後ろに下がってしまいます。
「あわわぁ」
「…………大きな欠伸を私の前でなさる以上、その理由に自信がおありなのでしょうか、『ルルイ』姫」
声にありったけの怒りをこめて、ヒロイの顔はなんとか無表情になります。
「あらあらあらあら」
お姫様の声は、まるで何かを歌うよう。言葉ひとつひとつが、踊るような軽やかさ。その様子に、ヒロイは不思議に思いました。
何が不思議かといわれれば、それはよく分かりません。ヒロイは表情をあまり変えないので、少々変わってもそれがどの表情なのか分からないのです。
それに比べて、従者はそわそわそわそわ身体をあちこちに移動させています。部屋の角や段の上、隠した花束を探しているのか、
色々質問してくるヒロイに、お姫様は軽くかわす。
花は捨てました。窓の外から。
あなたは捨てちゃうんでしょ、みたいな。
すると苦い顔をしたヒロイは、とって付けたような用を見つけて退出していく。
気づいていないでしょう、肩にかかる花粉。
窓際につるして隠した花の花粉。




