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夜の光は薄暗く、くらくらとただかぶせた布が揺れた。そこから差し込む光は月の光。ひとすじ、ふたすじの光が、交互に揺れて廻る。
お姫様の住む場所は、塔だと決められていたし、その塔の大きさも限られている。だからお姫様の部屋は誰かが住む前のように、モノがきちんと並んでいた。お姫様さえいなければ、ほんの少しのホコリがかぶるだけで、そこは何十年も誰もすまない物置に見えるだろう。手を加えればきれいになるかもしれない。でもお姫様はソレをしない。この場所が自分にはふさわしくないと思っていたし、どの道あと数年のことだとあきらめていたのだ。
それは一国の姫が暮らすには、簡素すぎる住まいだった。
その簡素な中なので、光が踊る様子は、よりいっそうきれいだとお姫様は思いました。
だけれどそのきれいな光をにらみつけるように顔をしかめて、お姫様は呟きました。
「眠い」
イヌだったら、グルルと鳴いているところである。
昔々、お姫様が街のお嬢さんだったころは、こんな真夜中の夜に、良く逃げ出したものでした。月の光が明るい夜や、星の光がピカピカと瞬く夜などは、キョウダイだと思っていた男の子や、近所の女の子達とこっそり抜け出し遊び倒したものです。
それでもその習慣は、もうお姫様の身体にとっては遠い過去のものなのです。
(どんどん変わるのね)
いっそお姫様は淡々と、その事実を受け止めます。
それは状況になれただけなのか、それとも生活習慣が改善されているものなのか。お姫様にはよく分かりません。とりあえず今日だけはしっかり起きていようと、お姫様は目に力を込め、耳を澄まし、時折手を動かしました。
それでもいちおう、眠ったフリはしなければいけないので、お姫様は大変です。
その買いあってか、幾度かソレをしているうちに、時はやってきました。
耳を澄ましていなければ、気づかないようにそっと。
ソレが気のせいかと思う前に、一片の花びらはお姫様のベットに降りてきました。
(きたきたきたー!)
ドキドキするお姫様の鼓動に、予想外です。
その相手に聞こえてしまうのではないかと、お姫様はあせりました。なにぶんこんな緊張は久しぶりです。眠り続けてチャンスを見なければ、じゃじゃっじゃーんじゃん!やばいじゃーん! ドキドキしながらも、お姫様はチャンスをうかがいます。
そのうち降りてくる花びらの数は増えました。しかしソレはゆっくりと。ゆっくりと
遠目に映る一筋の光は、窓を離れるにしたがって淡く闇と同化する。ひらひらと舞う花々は、その光と影を一身に受けて踊る。
さて指揮者は誰だろう。
意を決したお姫様は、 淡く光を反射する花の色は明るい。寝返りを打ったふりをして、月の光、姫はそれをもつ人の顔を見た。




