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不思議なことは毎夜続く。
花は毎朝窓からこぼれる。
さてその魔法使いは誰。
花を使わす者は誰。
ひそやかにささやかれるその主は誰。
夜露に濡れ、朝露に濡れその花々は降り注ぐ。
ある朝はしっとりと絹のように柔らかな大輪の花を。
ある夜は眠りをさそう、癒しの香を持つ青い花を
ある朝はほろほろと儚くこぼれる甘い花を。
ある夜は異国の太陽のような色の花を。
確かなことは一つだけ。
その花は姫のため。
塔に閉じ込められた姫のため。
毎夜その花が香る。
目覚めた姫の手に抱きしめられる。
取り上げられては飾られて、手にした香りに部屋は香る。
昼夜包まれる香り。陽と共に目に残る色はとりどりで、消えるまもなくくるくる変わる。
花を身近に置いてから、姫は確実にその身を取り戻していた。




