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花々は、従者の命によって片付けられた。
香りがまだ淡く残る部屋で、姫は床に座り込んでいた。
誰も見咎める者はいない。
「…………花」
久しぶりにかいだそのにおいも、感触も全てが懐かしくいとしかったのに。
従者は簡単にそれを取り上げてしまった。
うなだれる姫が座り込む床は冷たい。
引かれたじゅうたんは薄く、石の下地の温度が伝わってくるようだ。
柔らかで、いくつもの布を合わせて作られた服をかいくぐって、その温度は姫に伝わる。
花が落とした花粉
花が落とした土の屑
花が落とした花の一部
どれだけそれが自分の一部であったかを、姫は思い出した。




