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花の種類はたくさん。
同じところを探すとしたら、うすい黄色の花っていうことだけで。
お姫様の手のひらくらいの窓は、それは8つもあるけれど、
お姫さまのお部屋には、大きな窓がひとつだけしかない。
お姫様が間違っておちたりしないように、ずっとずっと上にある。
そこからこぼしたようにぱらぱら。
つもるくらいの花。
風が吹くごとにはらはらとおちてくる。
ほのかなそれの匂いとは別に、その色は淡いながらも、鮮やかに姫の胸に残る。
一歩一歩近づき、花を拾う。
ひとつ
ひとつと、花は近づくごとにその芳しい香りを濃くする。
(ああ、)
姫は微笑んで、胸いっぱいに呼吸をする。
かぐわしい匂い。
花の匂いに、洗ったのだろうか水の香り。茎の少し青臭さと。
柔らかな土の匂い。
それは姫が以前暮らしていた場所のものではなく、洗練され、可憐なものではあったけれども。
(ああ、これは地面の匂いだ)
大地の匂いに、姫は伏せる目の端に涙を浮かべた。




