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55.「何もできない」から、「何かをしたい」へ

 僕は、何もできない。ずっとずっと、そう思っていた。

 けれど、それはどうやら違ったみたいだ。

 いや、もしかしたらそうなのかも知れないけれどね。


 小学一年生のころから、ううん、保育園のころから。何があっても、反抗しても無駄だった。力という名前の重圧に負け続けてきた。

 僕の不安定な性格は、もしかしたらその時からなのかもしれない。特に気に留めてきたことはなかったけれど。


 まぁ、そんなわけで、だ。

 何もできないからやっても無駄、そう思い続けてきたのさ。


 でも、それは違ったみたい。

 だってね。

 書き連ねてきた文章はいつしか心を持って、誰かの心に届くようになった。

 自分勝手に綴ったものに、感謝の声が聞こえた。


 小説なんか大層なものは書けないけれど、詩で、エッセイで、誰かの心に触れる作品が、ほんのいくつかつくれてるらしい。


 それが少しずつわかってきたころに、僕の想いは少し変わった。

 人の心を動かせる作品をもっと書きたい。今度は絵を描いてみたい。自分がいいと思った景色を画面に収めたい。

 それまで何をやってもできやしないと思ってた僕に、やりたいことがたくさんできた。

 そして今は、生意気にも、それらが誰かの心に響いてくれたらいいなと思ってる。


「『何もできない』から、『何かをしたい』へ。何がキッカケになるかなんてわからないけれど、そうやって想いの向きが変わる出来事は大切にしたいよね」


 その言葉をもらえたことは、もしかしたら逆に、案外他愛ないことなのかもしれない。

 でも、その出来事が、僕に自信を少しくれた気がするんだよね。

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