05.困難な道を選べだって?
仮に、目の前に2つの道があるとしよう。片方は楽な道で、もう片方は困難な道だ。さて、君はどっちを選ぶかな?
先生の問に、僕は、楽な道を選ぶ人が過半数を越すと予想した。人間っていうのは、できるだけ楽をして、仕事分よりも大きな結果を得ようとする生き物だからね。
当てられた二人の意見は分かれていたけど、コソコソと話している声を聞いていると、予想的中、楽な道を選ぶ方が圧倒的に多かった。
先生は、後々のために、困難な道を選びなさいと言った。それは間違いではなかったから、みんなが賛成していた。
僕以外はね。
声に出したら面倒なことになるから言わなかったけど、僕は、どっちの道も選ぶ気になれなかった。
一見して正答率が50%でも、正しい答えなんてありやしないからね。
それに、困難な道の方が本当に正しかったとしても、楽しくなくて、途中で投げ出したら終わりじゃん。
「困難な道を選べだって? そんなの、嫌だね。僕は、迷わず『ずっと通して楽しめそうな道』を選んでやる」
それがたまたま困難な道だったら、先生は何も言わないんでしょ?
楽しいことって言っても、一時期の楽しさじゃない。
悲しいこと、つらいこと、苦しいこと。全部味わってもなお、続けようと思えるような楽しさのことさ。