16.星はこんなに近いのに
手を伸ばしても、届かないもの。
それは、とても近くにあるようなのに……
僕の住んでいる田舎では、電気が少ないから、夜には星がよく見える。都会では明るい星が見えればラッキーなのかもしれないけど、僕の所じゃあ、空が晴れて澄んでいれば、暗めの星でもよく見える。
そんな星々は、いろんなものに例えられるような気がする。
夢、明日、未来。
どれも、このまま生きていれば手に入れることができるもの。特に、明日と未来は、生きてさえいれば、気を張らなくてもやって来る。
けれど、ほんとに来るのかはわからない。
たとえば、「明日がある」ってよく言うけど、100%来るかといえば、そうとも言えない。
夢って、明日って、未来って、どれもすぐ近くにありそうだけど、意外と遠くにある。
手を伸ばしても、それに触ることはできない。
だから、星と似てると思うんだ。
星々は、空一面に広がって、手を伸ばしたら届きそうだけど、触れられることは絶対にない。
届きそうなのに、届かないもの。
「星は、こんなに近いのに、手を伸ばしても触れない。夢も、明日も、未来も――」
すごく近くにありそうなもののほうが、うんと遠くにあったりする。
悲しいことにね。