10.最高の褒め言葉
『変わり者』と言われることが多々あるんだ。
変人や狂人でなく、『変わり者』だよ?
君って、変わり者だね。そう言われるまで、自分が周りと違うことに気づかなかった。
周りと違うってことは知ってたよ。でも、僕が、変わっていると思われていることは知らなかったなぁ。
どこが変わってるんだろう? 疑問に思って、しばらく人を観察してみた。
そうしたら、とってもおもしろいことに、趣味も、好みも、同じ人どころか、似たような人すら稀だった。
これって、ある意味すごいことなんじゃないかな?
今の学校には、僕よりも変わっていそうな子が何人もいる。
でも、その子たちは、似たような部類の子を見つけることができて、数人で固まっていることが多いなぁ。
僕はどうかって? いまだボッチだけど。まあ、それは置いといて。
同じような人がいないから、良くも悪くも、僕は目立つらしい。
似た考えの人があまりいないから、みんなが思いつかないようなのを発案することも、本当に稀にだけどあったりする。
特殊な趣味のお蔭で、みんなの答えられないような問に答えることも何度もある。逆はけっこう無理だけどね。
平均して、僕はやっぱり変わり者らしい。
そして、変わり者は、地味でも派手でも何かと目立つ。
つまり、良くも悪くも、周りに対してある程度は存在を証明できる、っていうことさ。
「『変わり者だね』って、最高の褒め言葉って思わない? だって、同じような人たちの集団に埋もれていない、ってことだもん」
やっぱり、周りと違うから、正直生きていきにくいよ。
でも、他と同一視されることはないでしょ?
ほら、さ。ねえ?
最高じゃんか。
将来の目標は、『まともな変わり者』になることさ。