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短編童話シリーズ

作者: 敬愛

私は人が骨になる事を恐ろしいと思った事がありませんでした

お爺ちゃんの骨もお婆ちゃんの骨も他にもたくさんの人の骨を見てきました

でも悲しくて泣いたりしたことは無かったと思います

それだけ幼かったのでしょう 死が分からなかったのでしょう


みんな私に言います 可哀想にね 悲しすぎて涙も出ないのね

悲しいでしょう しっかりしてね と

私はこいつら何を言ってるんだ? と幼心に馬鹿にしました

何の事だかさっぱりわからない宇宙の言葉みたいでした


そして私は今大人になって男の人と付き合うようになりました 

それなのに不安なのです この人も私もいつか骨になるのかなと思って これが恋かは分かりませんが

私だってそりゃいつかは死ぬ事はこの歳になれば分かります

でもこの美しい体がカルシウムだけになって粉々に砕かれるのは我慢なりません


何とか方法は無い物か…… 私は西洋の黒魔術の本を読み漁りました

それには一か月水も食料も摂らないようにしなさい 体が弱り衰弱して……

ダメだ それは自殺する方法だろうに

何てこった 産まれて来なければ良かった


他にも赤ちゃんのへその緒を食べなさい とか ハブに噛まれてみなさい

雲に向かって消えろ 消えろと念じなさいとか

訳が分からんわ 新興宗教か? 

西洋黒魔術もあてになりません


そうだ 恋をすればいい 恋をすれば骨抜きになると言うではないか

それは言葉のあやだろうが 

確か黒魔術の本に相手に身を捧げるつもりで恋をすれば劇薬であると書いてあったし

その相手の男性は素敵でしたから


私は抱きしめて下さい と 彼に言いました

彼はいいのかい? 後悔しないかい? と私に聞きました

もちろんです するはず有りません 彼に抱きしめられると全身の骨が抜けるようで

あれ? あれ? 腕がぶらんとして 膝がガクンと折れ 肺が潰れるようで 脳が耳から出てきました


これで良かったんだよね ふふふ その声は私にはもう既に聞こえませんでした 

その男の人は骨を司る悪魔の生まれ変わりだったのです

私の体はドロドロに崩れ落ち 骨も溶け

土に還りました 望みは叶ったのです

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― 新着の感想 ―
[一言] 私が感想書くとマズイかなーと思いつつ…… 面白かったです! 西洋黒魔術の本の所が笑いました。雲に向かって消えろとかー可笑しすぎます♪(´ε` )ハマりました、そこ。 うーん、骨を司る悪魔の生…
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