第3話 迷子からの戦争開始
「効率が悪いな」
魔王「うむ、正直な話かなり固い。おまけに数が多すぎるな」
あれから数日かけて周辺の白いモンスターを狩りまくる俺と魔王がいた。
俺のステータスはどうやらゲームの最終装備と変わらないようだった。神様の爺さんが言うにはレベル上がると強くなるチートがついてるらしい。今の状況でもほぼ最強なわけだが、今回の相手は今の状態で苦戦している。つまりさっさとレベルを上げるべきだと分かったわけだが・・・・。
魔王「まとめて焼いてレベルアップ作戦・・・悪くはないと思ったのだがいかんせん敵を釣りすぎたな」
そうなのだ、大量に集めて魔王の火力で焼いてもらい、PTメンバーの俺が経験値ゲットしてレベルアップ!!としゃれ込もうと思ったのだが、どうも生き残るのが多い。それをちまちま退治しているのだが、1日かけてもレベルはあがらなかった。
「俺のレベルが上がれば少しは早くなるだろう。とにかくやろう」
結局3日かかった。
レベルが1501になった。
ステータスが3倍近く上昇した。何これ・・・。
魔王「だいぶサクサクいけそうだな」
あまりのチート成長ぶりに一瞬頭の中が白くなった俺だったが、よくみると魔王も鎧が豪華になっている。
「なあ、お前もレベル上がってね?」
俺が指摘するまで本人は気が付いていなかったようだが、全体的にごつくなっていた。トゲ10%増し。
魔王「これならいけるだろう、狩りの時間だ!!」
その日はすでに1日分を狩り終えた後だったが、俺と魔王は慣らし運転を兼ねて少し先まで進むことにした。
白いモンスターは確かに硬い。硬かったのだが・・・2,3発も斬れば倒せる!!
魔王「魔王スペシャル改!!」
つかんで投げ飛ばした白いトカゲのようなモンスターを、白いモンスターの群れに叩きつける魔王。そこに両手から赤い波動をぶつけ、一瞬にして黒い塵に変えてしまった。
「やはりヤケクソにパワーアップしてるな?」
魔王「うむ、これで作業がはかどる」
いつもよりはるかに楽に敵を撃破したところで俺達は気が付いた。
「おい、帰り道わかるか?」
魔王「うむ、わからん」
迷子二人で魔王城目指して進んだところ、いくつかの街が解凍されていた。
どうやら凍っていた時間のことはみんな一切記憶にないらしい。
「腹減ったからそこのパン屋行ってくる」
公園の地図とにらめっこする魔王を置いて俺はパン屋に入っていった。
「いらっしゃい、冒険者のにーちゃんか。サービスするよ!!」
店のオヤジがいい顔で話しかけてきた。
「ああ、でかい連れがいるんだがいいものあるかい?」
魔王にもなんか買っていってやろう。そう思ってオヤジに聞いたところ・・・。
「そうだな、じゃあこれだ!!いい竜の肉が入ったから焼いたんだが、これがうめーのなんの。ドラゴンステーキサンドだぜ!!1つ20000エヌ!!!!」
ぶぼ!?
一つ2万エヌとか、一食でひと月分の庶民の食費になってしまう。なんでこんなパン屋でそんなものを売っているのか意味がわからんが・・・・幸いというか、俺の所持金は10ギガエヌほどある。毎食これを食ってもなんら問題なぞない。速攻で2個買った。
「うお!?マジで売れるとは思わなかった!これはおまけだよ」
そう言うと店主は何かを投げた。
キャッチしたアイテムは地図だった。
「助かる」
地図とドラゴンステーキサンドを片手に公園に戻ると、魔王は遊具と化していた。
微動だにせず地図とにらめっこする魔王はフルアーマー。その魔王のトゲトゲを避けつつ、近所のガキが魔王を上り下り、ぶら下がりをする。
「こら!!そんな危ないモノに上るんじゃない!!」
俺はガキ共を散らす。
魔王「ごぎゅるるるるる・・・」
どうやら魔王は腹が減っていたらしい。
「食えよ・・・」
すっとドラゴンステーキサンドを差し出すと、そっと手に取った魔王はマスクのバイザーのすきまにねじ込む。むしゃむしゃがつがつごきごきばりばりズドドドドドド!!!!
食事らしからぬ音を炸裂させながら魔王はドラゴンステーキサンドを食べ終えたのだった。
俺もさっさと食って戻ろうとしたとき・・・大問題が起きた。
魔王城が街につっこんできたのだった。
大轟音と共に外壁を粉砕して停止した魔王城。緊急時と、街の冒険者や兵士達戦闘員が突っ込んでいく。そう、もともとこの辺は魔王城が近所にあるのだ。兵士も冒険者も凄まじい腕前のものがたくさんいた。
「おい、戦争になっちまったぞ?どうするんだ」
魔王「ついでだ、この街は吸収して次だ!!城へ帰るぞ!!」
なんだか理不尽すぎるがこれもリルに会うためだ。俺は心を鬼にして魔王城へと続いたのだった。