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第1話 主人公転生する

神「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない」

 ノリノリで爺さんが台詞をしゃべる。俺は激痛のする後頭部に違和感を覚えながら爺さんに声をかける。

「ここは?俺はリルと最後まで街の中にいたはず・・・」

あたりを見渡せば、どうみても神殿だった。ギリシアとかのあーいうやつ。


神「沙汰 神武≪サタ ジンム≫・・・なんかすごい名前じゃのう。これで頭と最後をとってザムか。お主、小学生の頃のあだ名はサタンかジムのどっちかじゃろ?」

さらっと爺さんがひどいことを言い出す。

「なんで俺の本名まで知ってるんだ?」

神「だってワシ神じゃよ?」

 俺はショックのあまりおかしくなったらしい。どうせならリルと二人きりの妄想の中で死にたいと思った。

神「安心せい、その妄想中にお主、死んじゃったから成功じゃ!!」


はあ!?


「ここに生きてるようなんだが。それ以前に俺が神様とやらに会えると思えないのだが」

 宗教やってないし、ゲームでも神官とかやっていなかったから縁がなさそうだ。

神「ああ、あれじゃよ。地異渡転生剣。あの魔剣の所有者はみなワシに能力をもらって、好きな世界にいけるんじゃよ」


 なんと読むのか気になっていたまま忘れていた魔剣の存在を思い出した!!ちいとてんせいけんってそのまんまチートか!?


 だが、好きな世界だと!?ならばリルのいる世界にもいけるのか??

神「ワシばっかしゃべっててあれだが、無論可能じゃ。ただしいくつか問題があるがな」

リルに会える!!他はどうでもよかった。

「何でもする、どんな障害だって越えてみせるから、お願いしたい!!俺をなんとかしてリルのところへ送ってくれ!!」

 俺は生まれて初めて土下座をした。

神「お主、本当にあの娘に惚れていたんじゃなあ。あの娘は自分で言っていた通りにNPCじゃ。停止した世界・・・言い変えれば死んだ世界に封印されてるような状態で今は眠っている。ワシの力でもって、そこにお主をねじこんでやるから何とかしてくるのじゃ」

「つまり、何とかしてリルを復活させられれば、再び彼女と過ごせると?」

 どんな苦行だろうとやってみせよう!!

 俺の目をみて爺さんの神様はこう付け加えた。


神「ワシとしても停止した世界とかあってほしくないんじゃが、そっちまで手がまわらんのじゃ。ほら、ワシ全知全能のマジゴッドなんじゃけど、ミジンコの産卵からビッグバンまで全部演算しててのう・・・。人間作った理由ってそのうち進化したらワシの手伝いすんだろ。くらいのノリだったから真面目に手伝ってくれるやつに能力を追加しとるんじゃ」


 さらっととんでもないことを言われたが、そこはどうでもいい。肝心なのはリルだ!!封印とか、リルかわいそう。必ず助けてやるからな!!

神「うん、お主もはや直結厨より性質悪いのう。復活させた暁には二人で飽きるまで過ごすと良い。向こうではお主とリルとで子孫を残すことも可能じゃ。がんばれよ」

「貴方は神か!?あ、神か。さまをつけさせてくれ!!」

神様「うん、よい。そろそろ出発するべきじゃな。お主の脳みそぶっ壊れてるしのう」

 後頭部をさすると指が4センチほど入った。

「・・・頭蓋骨陥没してる?」

神様「うむ、リルとお別れ中に、強盗にハンマーで殺されたんじゃよ。強盗はお主のヘッドセットPCをぱくって消えた」

 うわああああああああああああ。強盗さんありがとう!!お前のおかげで頭痛がひどいがリルに会う機会をくれたのだから、感謝してやる!!ありがとうございました!!!!


神様「うむ・・・お主、やばいのう。能力はそうじゃな・・・あんまりすごいのありすぎると脳みそ狂っちゃうから、レベルアップシステムにしとこうな。レベル上がるとあほみたいに強くなるが、慣らしでリミッターが解除されると思っといてくれ」

「なんだかわからないが、とりあえず気合入れて過ごせと?」

 俺の脳みそが本格的に死んでるらしいことを確認した神様は笑顔で目からビームを出すと、俺を異世界へと送りこんだのだった。


遠ざかる声で神様はこういった。

神様「現地には人間とか住めないから変なのいっぱいいるからのう」



果たして、目が覚めるとそこは荘厳な宮殿の中だった。黒や紫に輝くメタリックな内装がすさまじい。装飾は悪魔や邪神としか思えぬものばかり。赤い絨毯に整列している鎧の騎士達は全員が全員骸骨だった。


そしてその先の玉座に座るのは・・・。

「すげえ、魔王がいる」

 目の前に、かつての強敵。魔王・ザイオン2世が座っていた。

 リルとギルドの仲間12人パーティで5時間ぶん殴ってぎりぎり倒した相手だった。

 黒い鎧、とげとげした装飾、顔はかっこいい兜でかくれて見えないが、赤く光るそのを目を見た者は、人間と間違えることはないだろう。座っているが、すぐ横には大剣ソウルエクスキュージョナーが浮いている。魔王の固有ドロップで、ドロップ倍率0,00000000000000000000001分の1という鬼畜設定武器だ。実装されたものの実は誰一人として獲得したものはいない。運営何してくれてるんだ・・・。


 レベル1500のプレイヤーが10人いても普通に殺される。うちの12人はリル含めて廃神クラスのメンバーオンリーでぎりぎりセーフ。俺の知っている限りでは、こいつまだ数回しか負けたことないんじゃないか??当然、個人でこんな化け物と戦えるやつなんて存在しない。もし戦えたとしても最低でも30時間はかかるだろう。一瞬気を抜いたら死ぬ戦闘を20時間もできる人間はいない。


 これ戦闘だったら死ぬな。一瞬で俺の頭はそう計算した。

魔王「久しぶりだな、クソヒューマン。元気そうで何よりだ。とりあえず死ね」

開口一番これである。

 実はこの魔王・ザイオン2世は強すぎるものの、台詞に残念なものが多く、かなり関係ないレベルのプレイヤーまで多くが知ってる存在だった。口癖はとりあえず死ね。

魔王「さて、今この世界がどうなってるか教えてやるから耳の穴かっぽじってよく聞くがいい。時間停止の強制魔法が発動している。しかも停止したエリアを破壊する新種の魔物・・・この魔王の勢力に関係ないものがいるのだ。よってぶっ殺す。お前も手伝え」

 時間停止の強制魔法だけでなく、新種の魔物が破壊しているだと!?リルが危ないじゃないか!!

「よし、今すぐ殺そう。俺と組め!!」

魔王「よし行くか」

側近「いかん、脳が残念な方が増えた!?」

こうして俺はかつての強敵と最強タッグを組んだのだった。



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