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第9話 腐敗王を探して玉座

最初に俺が目指したのは王宮の玉座だった。

荘厳な宮廷内には恐るべき数のアンデッドがひしめいていた。

「魔王城よりアンデッド多いぞ!?」

さすがの俺も正直引いていた。街中にあれだけいたというのに、さらにこれだけ詰まっているとは、本当に王都はもうダメそうだ。

アンデッドナイトやゾンビ、スペクターやゴーストをスキルで薙ぎ払いながら進む。

「くらえ、バーティカルブラスト!!」

 玉座の真下から直接玉座を粉砕する。王国の王、クーガー12世は既にアンデッドと化していた。ならば玉座にいるのは腐敗王だろう。直下からの一撃で即死させて終わり。これが俺の作戦だった。青白い閃光が玉座を天井ごと粉砕する。

「バレットレイン!」

 ショウが砕ける天井めがけてライフルをマシンガンのように乱射する。

 果たして落下してきたのは死体でできたモザイクだった。

 そのモザイクはぶしゅぶしゅと汚らしい音でガスを噴き出し、見る間に人型になっていく。

「ザム、気をつけろ、フレッシュゴーレムだ」

 ショウの表情に余裕がない。

 それもそのはずだ。このモンスターはゾンビなど比較対象にならないほどの耐久力を持つ。おまけにスキルがバグっていたのか、召喚者のレベル×1,2倍の戦闘力を付与されている上に、即死の呪いを放ってくると来た。極めつけにこいつはアンデッドではなく、あくまでゴーレムのため、聖なる魔法や武器の効果は全く期待できない。

「とんでもない罠だな」

 俺もショウ同様焦る。不意打ちのバーティカルブラストがまるで効いていないように見えたからだ。

 ショウが弾丸を貫通弾から炸裂弾に切り替える。こいつに対しては行動不能まで破壊しないと倒せないからだ。

「ザム、俺がけん制するからなんとか吹っ飛ばしてくれ」

 ショウは言うが早いが愛銃ドラゴンファング10のトリガーを絞る。

一発目はヘイトマーカーだった。これでターゲットはショウに集中する。着弾と同時に猛烈な勢いで吸気を始めるフレッシュゴーレム。毒ガスをはくつもりのようだった。

「遅い!」

 ショウは炸裂弾でフレッシュゴーレムをのけぞらせ、自身は床を転がりながら次弾を装填する。

「必殺、グラビティスラッシュ!!」

 俺は駆け抜け、壁を三角飛びでフレッシュゴーレムの頭上を取ると、重力波と斬撃による攻撃をお見舞いしてやった。100万トンに達する重力はまるで粘土にブロックでも落としたかのようにすべてを押しつぶす。体力と気力、更にMPまで使う効率の悪い攻撃だが、即死魔法を使ったり、厄介なステータス異常を持つ敵には悪くない攻撃だ。

「ナパームフレア!」

 続けてショウが火炎弾を放ち、はみ出た死肉を焼き尽くす。どうでもいいがマヒしたと思っていた鼻が、肉の焦げるにおいで再び気分を悪くさせる。

 それでも動くフレッシュゴーレムは最後ッ屁とばかりに肉の砲弾を発射してきたが、俺もショウもそれは危なげなく回避する。

「腐敗王の奴、上でないとなると地下にでも行きやがったんだろうか」

 ブスブスと燃えるフレッシュゴーレムの残骸を見つめ俺はごちる。

「地下かー、まるでリッチだよな」

 嫌な敵を彷彿させる奴である。

 魔王・ザイオン2世と双璧をなす凶悪モンスターの一角にリッチは存在した。魔王と違って倒したら二度と復活しないタイプのモンスターだったが、噂によればいくつかの超激レア魔導器を落としたらしい。邪神の経典、死者の小手、不死の首飾りなど、オークションにも出てこないような伝説級の一品だ。邪神の経典はすべての魔法耐性と悪魔の召喚がMP0でできるというアホ武器の一つで、死者の小手はアンデッドナイトをやはりMP召喚なしで使役できる他、闇属性の魔法攻撃力を5倍にまであげるらしい。不死の首飾りにいたってはアンデッドボディというパッシブスキルを発揮するそうで、ばらばらにするまでHPが0になっても行動できるチート装備のようだ。

 王国の北にある巨大迷宮にいたらしいのだが、匂いや感触も再現されるVRMMOで遭遇したい相手ではないし、リルも嫌がったので俺達は挑戦しなかった。結局大量の死亡者を出したり、キャラクターロストまで攻撃してきたとかの恐ろしい話だけを情報で知っている。

「なあ、ショウ。この城にアンデッドナイトって異常な数いたよな?」

俺と同じ考えに至ったのか、ショウの表情が硬くなる。

「いた・・・な。腐敗王は死者の小手の所有者の可能性が高いか」

 更なる強敵との戦闘を感じ、俺とショウは緊張の糸を張りつめさせた。

 一歩間違えれば俺達が全滅し、リルも助からない。せっかく再会できるのだ。俺は絶対に生きて帰ってリルを起こしてみせる!

 ショウも覚悟を改めたのか、先ほどまでの青ざめた顔は普通の顔色に戻っていた。

 



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