プロローグ
※しばらくヒロインは出てこなくなります。
この小説はみなさんのご意見ご感想がないとかぴかぴに乾燥した干物に成り果てます。
さあ読め、そして感想をよこすのだ!!ふはははははは by魔王。
すごく嫌なことがたくさん起きてしまったので、俺は現実逃避でVRMMOをやっていた。
しかしさっそく問題が発生した。
何していいかわからない!!
どこいけばいいのかわからない!!
リアリティを優先したせいか、名前とか文字の情報がほとんど表示されないため、街の誰がプレイヤーだかわからない!!
家建ててるNPCがいれば、物乞いしてるプレイヤーもいるのに、魔王を退治してきた勇者がNPCだったり、王様がプレイヤーだったり、その隣にもう一人NPCの王様がいたり・・・・。
とにかくなんもかんもわからないゲームだった!!
タイトル自体もa strange land≪未知の土地≫と来たものだ。
なんでこんなタイトルを選んだかって?
恐ろしいことにこの時代のVRMMOと言えばこれ!!というほどに浸透していたのだ。
CPUのコア数が50個を超えたり、異様に性能のいいグラフィックボードが出たりしまくった結果、少し前のゲームのムービーよりきれいな画面で操作ができるようになった。おまけにゲーム用のPCが25000円とかで買えるようになった。
家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機は完全に駆逐されて、スマートフォンのアプリでガキみたいなゲームをやるか、腰を据えてPCで大作ゲームするかの二択の時代になったのだった。
ほかの運営会社がなかなかフルスペックでゲームを開発できない中、このゲームだけがフライングスタートとも言える早さで開発された。
とにかく何でもできる!というのが売りだったらしい。
実際、やれることが多すぎて俺は何から始めていいのかわからないほどだった。
町の爺さんに話かけたところ、クエストらしいものを請け負うことになった。
爺「近所の森・・・なんだったかな・・・あ、あれじゃ!あれあれ。そこに最近野犬が出るんじゃが、ワシはじじいじゃからちょっと怖くてな。お前さんが退治してきてくれたら、この魔剣・地異渡転生剣をご褒美にあげちゃうぞい」
おいおい・・・なんでこんな始まりの町の、どうでもよさそうな爺さんが魔剣とか配ってるんだ??
俺はフリーダムすぎるこのゲームに突っ込みを入れつつも、近所のよくわからない地名の森に行ったのだった。
「ぎゃあああああああああああ」
俺は森に入った瞬間絶叫した。
いきなり入口直後に内臓ぶちまけた死体が転がりまくっていたのだ。
ちょっと吐きそうになりながらもよく見てみると、かじりとられたような箇所が複数見られた。
野犬こえええええええええ!!
リアリティが売りとはいえこれはやりすぎだろう・・・・。
とりあえず剣を抜いて警戒しながら進むことにした。
5分ほど進んだところで気が付いた。
迷った。
とりあえず更に進んだ。
当然悪化した。
泣いてもいいだろうか。
そんな時、野犬がついに現れた。
だいたい1mくらいの体長の中型犬だった。
ただし5匹もいる。
「5匹で俺に勝てると思うなよ!」
思わず言ってしまったが、ただの気合入れである。たぶん死ぬんじゃね??
と脳裏をよぎる嫌な予感。
10分後
なんとか野犬は全滅。俺はそこら中を食いちぎられながらもぎりぎりセーフだった。画面の中の俺のキャラがだいぶしんどそうで痛々しい。つーかゾンビ?
どうやって帰るべきか悩んでいたところで更に野犬?が出てきた。
体長5mほど。角とか鱗とかはえててほぼ恐竜。つーかあれドラゴンかな・・・。
狼のようなシルエットに上記のごとくあってはいけない記号が満載された野犬?に遭遇してしまった。
これボスか・・・死んだな。
しかしただでは死ねない!!
いざ、勝負・・・と思った時に俺の後ろからものすごい閃光がほとぼしった。
ズドゴオオオオオオオン!!
直後に目の前の野犬?が10m近く上に飛んで行った。普通後ろに飛ぶんじゃないのか!?変なところがリアルじゃないゲームだ。
そんなことをコンマ2秒ほどで思考しつつも後ろを振り返ると、そこには銀髪の美少女が魔力の残滓を煌めかせながら立っていた。
その後はその子に補助呪文をかけてもらって、起き上がってきた野犬と死闘を繰り広げた。
「勝った!!!死ぬかと思ったーーーーー!!」
ようやく倒した頃には夜が明ける寸前だった。
「おめでとう、頑張ったね」
銀髪の美少女がかわいらしい声で俺の勝利を祝福してくれた。
その後、何してるのかとか、迷子―!!!!とか、色々話をしつつ例の爺さんのところまで送ってもらった。
神「ほう・・・野犬を退治できたのか!?てっきり死ぬかと思ったんじゃがやるのう。この剣はお主にふさわしいようじゃ。悪用しちゃいかんぞい」
おい、開発者・・・爺の名前が神にバグってんぞ・・・適当すぎる・・・。
本当につっこみ多いわ!?と思いつつも銀髪の美少女と意気投合した俺は、フレンドの申請をしてみた。
フレンド登録するとログインしたときにお知らせが来たり、一緒に戦闘すると経験値がよくたまったり、何かと便利なようだ。
「名乗るのが遅れたが、俺の名前はザムだ。用があれば呼んでくれ」
すっかりなりきった俺は孤高の剣士風に決めてみた。
「私はリルだよー。ザムさんよろしくね」
銀髪の美少女・・・リルというのか。普通、狼に襲われてピンチを助けるのは男の役目だが、俺は見事に逆パターンをくらったわけだが・・・運命的だ!!
そんなやりとりの後に俺はその日、久しぶりに悪夢を忘れて寝ることができた。
その後、リルとはギルドを作ったり、ボス退治したり、正式なパートナーになったりといろいろあったのだが・・・。
リルと出会ってから2年目。俺はある日気が付いた。
何をしていてもリルのことしか考えられない。仕事中も家事をしてるときも、だれかと話ていても、リルのことが思い浮かぶ。
親しい友人に聞いたところ、それは恋だ!と指摘された。
本当の顔もしらないどこかの誰か。中身はおっさんや豚みたいな人かもしれない。
それでもいいくらいリルのことが好きになって俺はついに告白することにした。
失敗した。
何度告白しようと思っても、この今の関係を壊したくなかった。
それが邪魔をして俺は言いかけて誤魔化す。
リルはそんな俺の気などしらずに無邪気に話す。
こくれねえ・・・・。
朝がくるたびに俺はうなだれた。
しかし事態は一変した。ある夜のこと。
『まことに申し訳ありませんが、本サービスは本日0時00分を持ってサーバーを停止します。詳しいことは申せませんが、大人の事情により会社が経営破たんしてしまいました。皆様今までありがとうございました』
突然。本当に突然このアナウンスが流れた。時刻は23時。
リルとあと1時間しか一緒に過ごせないだと!?
「リル、好きだ!!リアルでも付き合ってほしい!!」
とち狂った俺の脳みそは速攻でリルとのつながりを求めた。
そんな俺に、リルは笑ってこう言った。
「ありがとう、でも無理、ごめんね」
ふられた・・・・。
目からしょっぱい水が出た。
「ザムさん泣いてるかな?ザムさんのことは大好きだよ。でも私はNPCなの。あなたのいるリアルにはいないんだよ」
後頭部をハンマーで殴られたような衝撃が俺を襲った。
ぽたぽたと鼻血が出た。
「そんな、じゃあ、サーバーが止まったらリルは・・・・」
NPCとかリアルにいないとか、それすらどうでもよくなっていた。
リルが消える!?リアルの話をすると、リルは黙ってしまうことが多かった。個人情報漏えいしないようにしてるのかな、とも思ったが、よくよく考えるとそんな時の彼女はいつもさびしげに笑っていた。
遠くの空が見えなくなった。稼働停止が始まったのだ。城が灰色になり、更に消えていく。急速に世界から色がなくなり消える。俺は最後の最後にリルに愛を伝える。
「リル、愛してる!!今までありがとう。何年かかるかわからないけど、必ずまた会いに来る!!」
サーバーを運営から買い取ってでもリルを失いたくない!
「うん、信じてるね」
リルはそういうと灰色になって、消えた。
そしてその直後、後頭部に激痛。
俺はそのまま死んだ。
誤字脱字は発見次第ぶっころ・・・。