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二回に一回

 私は路上で占いをしている。それが職業だからね。まあ、自分で言うのもなんだけど、よく当たると評判で、二回に一回は当たっているかな。半分も当たれば占い師としては上出来で、そこそこの稼ぎも出している。


 でもねぇ、今日はちょっと困ったよ。というのも、今までにない占いの結果が出てしまってね。それは占いに使う水晶球にお客さんが血だらけで死んでいる未来が映し出されてしまって。しかも二人のお客さんから。


 これは、どうしたものかと。おそらく殺されてしまったのだと察しはつくけど……占いも完璧じゃないから、そこまで深くは見えないんだよね。これが二回に一回は外している原因でもあるけどさ。


 それにしたって、これまでの経験から考えると、どちらか一つは当たることになるけど。うーん、近く、通り魔でも現れたりするのかな。で、運が悪い方が殺される、と。


 もっとも二人とも殺される可能性もあるけど。その方が私の占いの的中率も上がるし、嬉しいといえば嬉しい。


 ああ、ちなみにお客さんには正直に教えてあげたよ。近いうちに殺されますよって。そしたら、一人は若い女のお客さんだったけど、小刻みに震えながら去って行ったね。


 もう一人は男の人で、こちらも若かった。占いの結果を聞くなり、私に掴み掛かろうとしてきたからびっくりしたよ。殴られるかと思ったけど、私が女だから、それは思いとどまったみたい。険しい顔のまま去って行ったよ。


 さて、と。そろそろお客さんも途切れてきたし、この辺で仕事を切り上げて家に帰ろうかね。


 夜遅く、私は自宅に戻ると深くソファに腰掛けた。占いは疲れるんだよね。集中力を要するから。


 とりあえず、リモコンを手にしてテレビをつけると、ニュースをやっていた。内容は彼氏の浮気に逆上した彼女が、彼氏を刺し殺すという内容だった。


 あらら、この名前は……


 私はこの加害者と被害者の名前に聞き覚えがあった。そう、今日、占いにきて、殺される未来が映った二人だ。


 そうか、なるほどねぇ。彼女が彼氏を殺した。けれども、逆に彼氏が彼女を殺す可能性もあった。それは身を守るためかもしれないし、彼女を殺して浮気相手のところへ行きたかったのかもしれない。


 だから私の水晶球には二人が殺されている光景が映し出された。可能性としてね。でも、現実には殺される側と殺す側に分かれるので、どちらかは生き残る。


 うーん、相も変わらず、私の占い的中率は二回に一回か。ま、よしとしよう。


 もし、二人とも生き残るのであれば、私が通り魔になって、殺しておかないといけないところだったから、ね。

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