いつまでも好きだと思わないで
リリーロズとロバートは幼馴染みで、そして両想いだった。
だがロバートが一年先に学園へ行き、リリーロズも一年遅れて学園へ入学すると、ある噂が広がっていた。
ロバートとマヤリーンは恋人同士であると。
リリーロズは二人を見た。イチャイチャと広場のベンチでクッキーを食べさせ合い、そしてキスをしているのを。
リリーロズは泣いた。偶々通りかかった男子生徒が心配するほどに。
それがアルバートとの出会いだった。
アルバートは伯爵家の次男であり、将来は父親が持つ子爵を引き継ぎ、飛び地の領地の当主になることが決まっていた。
リリーロズは領地経営について勉強し、アルバートと意見交換をすることが何よりも楽しみになっていった。
卒業が近づくと、二通の手紙が届いた。
一つはロバート。もう一つはリリーロズを婚約者にしたいというアルバートからの手紙。リリーロズはロバートの手紙には見向きもせず、アルバートの手紙には返事を書いた。後日、アルバートの父親から正式な書簡が届き、リリーロズは喜ぶ。それを複雑そうな顔をしつつ、リリーロズの父親は了承の返事を送った。
卒業式に向けてアルバートからドレス一式とアクセサリーが届いた。それと同じにロバートからもドレス一式とアクセサリーが届いたが、リリーロズはそれらを全て送り返した。
「リリー! どうして無視するんだ!」
卒業式の会場で、ロバートがリリーロズを見るからに怒鳴りつけてきた。
眉を寄せるアルバートは驚くリリーロズを背中に隠す。
ロバートは眉を寄せる。
「僕はリリーに話があるんだ! 関係ない奴は引っ込んでいろ!」
ロバートは気づかない。二人が互いの色を纏っていることに。
「リティは私の婚約者だ」
「はあ!?」
「君はマヤリーン・トレイロ男爵令嬢と恋人同士だろう?」
ロバートは言葉を詰まらせる。
「彼女は、ただの友人だ。恋人じゃ、ない」
「だが仲良くしていただろう? それも、リティを放って」
「そうだ! リリー! いつこいつと婚約したんだよ!? 僕たちは両想いだったじゃないか!
」
リリーロズはアルバートの背中から前に出る。アルバートは心配そうな顔をする。
「何もなければ、私とロバートは婚約するはずだったわ」
「ほら!」
「でも! ロバートは、私以外の女の子の所に行っちゃったわ」
「だから友人だと言ってるだろ!」
「私がいるのに、クッキーを食べさせ合ってたのに? キスをしていたのに? そもそも二人は恋人だと噂が立つほど仲良くしていたのに?」
ロバートは言葉を詰まらせる。
「それは……でも、友人だ! 結婚するならリリーがいい!」
「いつまでも好きだと思わないで」
ロバートは顔ご引きずる。
アルバートが肩を引いて、リリーロズはその場から立ち去った。膝をつくロバートに、リリーロズは振り返ることはなかった。
だが、愛おしそうに見つめるアルバートに、リリーロズは愛おしそうに見つめ返すのだった。




